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データ戦略の会社が考える「データ分析は、課題を見つけるものか、解決するものか」

少し前に、『統計学が最強の学問である』の著者である西内啓さん (@philomyu) のこんなツイートが話題になっていました。


これは、この中に出てくる「分析屋さん」「クライアント」の両方から見て、確かにと思う所があります。

分析屋さんから見れば、そもそも課題もなく、データもない状況では分析しようにもできないでしょうし、クライアントからすると、それができないから外部に依頼してるんだということでしょう。

鶏が先か卵が先かみたいな話ですね。

私は、この話のポイントは、実は「分析屋さん」というのが職能ないし専門性を表していて、「クライアント」というのが発注側という商流上の位置を表していて、実は同じレイヤーのものを並べていないということだと思います。

前提として、データ分析プロジェクトを通じてビジネスに売上げなり利益なりのポジティブなインパクトを出すためには、通常のプロジェクトやビジネスの問題解決と全く同じプロセスが必要です。つまり

あるべき姿の定義

現状の把握

課題設定

解決策の立案

意思決定

解決策の実行

(以下、結果レビューなど)

というプロセスです。

その上で、「依頼する側(=クライアント)」と「される側」というのは商流の話であって、プロジェクトを成功させるためには、「依頼する側」と「される側」が1つのチームとして、↑のそれぞれの部分を、それぞれの専門性を生かして分担・協力して進行する必要があります。

その意味で、本質的・構造的に、依頼者側でないと行えないのは「意思決定」と「あるべき姿の定義」です。(あるべき姿の定義については、ベンチマーキングやインスピレーションのために他社のケースを紹介することはできますが)

逆に言うと、それ以外の部分は社内で調達してもよいし、外部に依頼することも可能です。ただし、その場合には適切なチームを選ばないと、冒頭に紹介したような行き違いが起きます。基本的には、後にデータ分析を通じて新たな課題が見つかる可能性もありますが、ビジネス上の課題設定(データ分析上の課題ではない)くらいまでは自社で出来ていることが望ましくはあります。が、もし課題がはっきりしていない場合には、課題設定から依頼したいということが明確になっていると、上記のようなミスマッチも起こりにくくなるのではと思います。

例えば、データ分析に入る前の課題の例としては

あるBtoBソフトウェア会社
・カスタマーサポートの問い合わせへの返信リードタイムが目標よりも長くなってしまっている
・一方で、新たな人材の採用も人手不足で難しい。

ある金融サービスの会社
・数百万人いる顧客のうち、ロイヤルカスタマーの解約による機会損失がXX億円発生している
・解約防止のためのダイレクトアプローチを実施しているが、成功率が低くX%程度までは改善したい

ぐらいになっていると、プロジェクトとしてはスタートがしやすいです。
今回の例で言えば、こういった課題設定を依頼側が行うか、分析屋さんが行うか、ツイート中には登場していない社内ないし社外のメンバーを追加するかということになります。

その上で、課題に対してデータ分析でどのようなアプローチが有効か、例えば業務のこの部分はAIやRPA導入で改善できるのではないか、そのために有効な手法やアプローチは、という仮説を立てて、プロジェクトを進めていくのが良いと思います。(今回の例にも登場するデータの整理は、いわゆる「分析屋さん」がやることも多いですが、もちろんできる限り社内で事前に整理したほうがよいに超したことはありません。分析業務の中身のほとんどは分析に必要なデータの整形、のようなプロジェクトも多いです)

課題設定が難しい、データ分析で課題を見つけたいという話もよく聞きます。「データ分析」と一口に言っても、いわゆるビジネスコンサルのようにビジネス上のデータを収集して分析することや、機械学習や深層学習のモデルを作ること、画像を解析することなど、様々な領域が含まれています。課題設定の例であれば、課題設定に貢献できるようなビジネス上のデータ分析が得意で業界知識もあるようなメンバーを、社内外から連れてくる必要があります。

つまり、あるべき姿の定義から解決策の実行までをスムーズに行うために、必要なスキルをもったチームを編成し、1つのチームとして行うことが一番成功への確率を高めることのように思います。

なので、冒頭の問いに戻ると、

「データ分析は課題を見つけることにも解決することにも使える手段であるが、そもそもの問題解決の王道である課題設定を誰かが適切に行う必要があり、それは社内でやるか、外部に頼む場合には、そこにちゃんと専門性のある人に依頼すべき」

というところかと思います。

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