劇場

自分の才能はこんなものじゃないと信じているのだけれど自信がない。他を否定することで自分を安心させているような情けない馬鹿な男がいる。

そんな男を好きでいてくれる彼女は優しい以外の何者でもない。ただただ優しいその存在はある意味異質で恐ろしくもある。

彼女は自分のことを心から好きでいてくれている。馬鹿な男でもそれはわかる。

わかってはいるのだけど、堪らなく不安で、彼女の優しさが自分の物だと確認するために傷つける。ベクトルが彼女にしか向いていないのだ。

好きだから側にいて欲しいと伝えれば苦労しないのに、格好つけで照れくさくて言葉に出来ない。それだけ彼女の優しさが眩しい。

彼女が自分の居ない世界に出てしまえば、誰かに奪われてしまう事は目に見えているので閉じこめる。自分以外と上手に話す彼女を見るのが自分にとっては否定されることと同じなのだ。

排他的で独占的で格好付けで情けない馬鹿な男と優しい女の恋の話。

共感しすぎて、慢性的に泣きそうだった。主人公の全てに共感した。

これは私の話だ。

今日は妻に好きと言おう。

…きっと無理だから手を繋いで眠ろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?