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メジャーじゃなかった心の病パニック障害【6】

3診察【4】

ー 病院をかえよう。 ー


【1】~【5】のあらすじ

飛行機内で発病。
会社の健康診断で
自律神経失調症と
あいまいな診断をうける。
上司に打ち明け
会社の総合病院で
神経内科の門をたたく。
そこの医師が
いわゆる(やとわれ)で
自分のクリニックへ誘導。
そして、
その診察に
疑問。

ーセカンド・オピニオンー

会社が引っ越しをすることに。
五反田から飯田橋になった。

ぼくは、
有給休暇をとり
会社の周辺で
神経内科を探し
セカンド・オピニオンに挑んだ。

会社から徒歩圏内の
大きな病院に
神経内科があった。

この科の待ち合いは
すごくこみ合っていて、

患者が呼ばれては
すぐ出てきて

すぐ次の患者が
呼ばれ、

せわしなかった。

ぼくは初診なので、
問診票をかく。
他の病院にかかっているか?との
記載する欄があった。

正直に書いた。
かよっている、と。

1時間は待っただろうか。

診察は
女性の先生だった。

問診票にかかれたことを
理解したのち、

『紹介状はありますか?』

紹介状いるんだ。
知らなかった。

そもそも紹介状って
どうやってもらうのか
しらなかった。
前の(紙切れ)みたいのが
必要なの?

「それって、どうやって
もらってくればいいんでしょうか?」

女医にたずねる。

『病院を変えたい。と言えば、
書いてもらえますよ。
ただ、お金はとられますけどね。』


この先は、
この"紹介状"がないと
進めないとのこと。

実はこの時、
処方されている
クスリはもう
底をついていた。

ぼくは、
薬がなくなった不安で
判断を焦った。


早く病院を変えなくては。
紹介状を書いてもらおう。


思い立ったら
その足で、
今日までかかりつけであった、
y先生の某クリニックへ
"電車"で向かった。

平日昼間の都心の電車は
さほど、混んでいなかった。

1時間弱で
某クリニックへ到着。

予約していない日に
来たので、y先生は

『今日はどうしたのですか?
仕事はお休みでですか?』


ぼくは、言いたいことを
すぐ言えず、
「クスリがなくなってしまったので…
今日は薬だけで結構です。」


こう告げ、会計することに。
支払いを済ませ、窓口の事務の方へ
「病院変えたいので
"紹介状"
作っていただけないでしょうか?」

『作れますけど、
先生と相談していただかないと…』
と、少し困惑の表情で、
『先生に聞いてみますので、
お掛けになってお待ちください。』

たまに見かけるオバサンが
診察室から出てきた。

そのすぐに
ぼくの名前が呼ばれ、
再び診察室に。

y先生は
なぜ、病院を変えたいか
訪ねてきた。

顔が怖い。

ぼくは、
会社が引っ越したので

ー会社の近くで治療したいこと。ー

ここは自宅から遠く、
ー通うのがつらいこと。ー

決して
セカンド・オピニオンを受けたい
とは、言わず
当たり障りのないように
答えた。


『クスリを2週間分を倍量で
処方するから、もう少し頑張ってよ。ね。』

『そうすれば4週間に1回くれば
済むから。
そんな大変じゃないでしょ。』

すごい、説得をして来たのを
20数年経った今でも、
このやり取りは、
おぼえている。

ぼくは、
申し訳なさそうな芝居をし、

「もう、これ以上は…」
言葉を濁し
うつむいた。

『わかりました。紹介状書きます。』

『但し、今日処方した薬は渡せないからね。』
ここからタメ語に変わったのだ。

え、そりゃないでしょ!
電車で帰れないよ…。
しかも、怒った顔で
目が異常に怖い。


ぼくは、血の気が引いた。
そして必死に
「困ります。それは困ります。
薬は出してください。」

y先生
『無理。だせない。』
『待合室に戻って下さい。』

ぼく
「お願いします。薬のまないと
帰れないんです…」

y『むり。だせるわけないでしょ』
怒っている。

ぼく
「それじゃあ
電車に乗れないです。
お願いします。」

メチャクチャあたまを
さげたのを
今でも覚えている。

薬がないと…お願いします…。

何度も言い続けた。

yは観念し

ー1錠だけだすー

と、言った。
1錠だけと。

それでもありがたかった。

薬なしでは
社会のなかで
生きていけないくらい
悪化していた
時期であったのだろう。

紹介状は5000円とられた。

つづく。




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