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メジャーじゃなかった心の病パニック障害【21】

ー 追い込みすぎでの挫折 ー

晴れて飛行機関係の仕事にこぎつけ、ここで病の克服スタートを切る決意で、成田界隈の寮に引っ越した。
仕事内容は、ほぼほぼガテン系で、しばらく飛ばない飛行機の軽微なメンテナンスを行う。機内においては、座席の数量や配置転換、機内の細かい部分をくまなく掃除する。簡単に言うと大掃除である。
機体の外部については、翼の周囲とギヤ(タイヤ)をメインに大掃除をおこなう。
翼は主翼の後方にある、エルロンとかフラップとかスポイラーと呼ばれるものが、
(飛んでるときに少しパタパタしてて、着陸のときベローンとジュディ・オングの袖のようになっているあれら。です)
すべてだらしなく?全開になった状態で、掃除してくれよ!といった感じで格納庫に駐禁されています。
そこはメチャクチャ汚れており、ウエスにシンナーの匂いがする謎の洗浄剤を含ませ、オエオエ言いながら、ひたすらごしごし掃除をしていくのです。
この業務をシフト制で回していくのですが、
早番、遅番、夜勤、明け休み、そして休み。
のサイクルで、全くもって慣れず、夜勤の時、夜中にとる昼飯があったのだすが、正直気持ち悪くていつもたべられないものでした。国内にいながら時差ぼけがおきていたのです。
幸いにもシフトの巡り合わせで、平日の診察日に休みがとれ、クスリの在庫をきらさないで済んだのでした。
では、関心な病気の具合はというと、新天地で慣れないことと、だいっ嫌いな飛行機の仕事で常に緊張状態であり、
自分に対してあえて負わせているダブルパンチのリスクのため、薬の量は、それはそれは増えていく一方でした。
作業服は支給されたツナギをまとうのですが、これのポケットにはいつも頓服を4錠仕込んでいたのです。
そのうち慣れるだろう。と思いながら仕事をこなしていくのですが、寮から仕事場に行く通勤バスに乗ることが、例のごとく発作をおこすんじやないか?と不安を感じ始めていったのでした。
通勤手段は、
会社の通勤バス、自家用車、バイク、
のいずれか3通りであり、自家用車で通えればリスク低減になるのですが、職場の通勤者の駐車場は、保安上の決まりで契約する必要があり、しかも、ぼくのように寮住まいで契約社員は、その権利がなかったため自家用車での通勤はNGでした。
遅番の帰りは、会社がタクシー(但し相乗り)を手配してくれるのですが、職場の人が皆優しくて、車で寮まで送ってくれたりもしました。
しかし、この好意がぼくにとってそれまた不安の要因となり、いつ発作が起き、今まで隠し通せている病気がついにバレてしまうのではないか、との思いが段々強くなっていきました。
せっかく克服するチャンスなのに。
優しい先輩たちの親切が大きなお世話になってたのです。
これじゃマズイと、すぐさま対策を練り、実家にある原付バイクを自分のワンボックスカーに積んで、寮まで持ってくることに決めました。
休みの日に原付バイクを実家にとりに帰り、そのままトンボ帰りで寮まで戻って来ました。
寮の駐車場で車からバイクを降ろしていると管理人さんから「なんか面白いことしているね。」と聞かたれ、
『バイクで通おうとおもって持ってきたんです。』
ととっさに答えるも、
「毎朝バスが来るんだから、そっちのほうが身体も楽だし安全だし、お金もかからないのに何でまた?」と質問されてしまった。
たが、なんで?の理由は本音を言えるわけがなく、通勤時間が読めないことと、遅番の帰りに送ってもらうのが申し訳ないことなど、予め用意していた偽物の回答で釈明をした。
こうして通勤に対する不安は解消されるのだが、肝心な本業での不安は全く解消されないのでした。


つづく。

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