白のフワフワ

あの子が帰って来てそばにいるのに
眠くてどうしても起きられないのだ
疲れる夢だった
4年経ってもまだこんな夢を見る
もうどこにもいないというのに
ふわふわの毛並み
暖かな身体
澄んだグリーンの瞳で見つめられると
世界さえ美しく見えた
私の誕生日の翌朝
いつものようにおはようと声をかけると
冷たく固くなっていた
待っていてくれたんだね
私の誕生日と命日が重ならないように
がんばってくれたんだね
お祝いの日が悲しい日にならないように
火葬業者はとてもいい人で
お骨をペンダントにしてくれた
人生の勝負の時が来たら
絶対これを身につけて行こう
きっと守ってくれる
きっと私に力をくれる
骨壺を抱き締めながら家に戻る帰り道
私は人目もはばからず大泣きしていた
おかしな人だと思われても構わなかった
だって愛してた
愛して愛して愛し抜いた
なのにもうどこにもいない
信じられなかった
とても受け入れられなかった
冷たい身体を抱き締めて一晩中泣いた夜
一睡もできないまま
あの子は灰になった
今でも大切にとってある
お気に入りだったおもちゃ
嫌いだった爪切り
そして膨大な数の写真
缶のふたを開ける度
涙が溢れて止まらなくなる
霊視ができる友達に言われた
猫の霊がついてるよ
ほんとうに?
ほんとうにそばにいてくれているの?
でももう二度と抱き締めることは出来ない
夢の中で出会うだけ
愛して愛して愛し抜いた
天国でまた会えるなら早く死にたいくらいだ
あのふわふわにもう一度触れられるなら
天国でも地獄でも構いはしない
あの澄んだグリーンの瞳で見つめられてる時
私は世界さえ愛してた
こんなになにかを愛せる自分を知らなかった
気づかせてくれたのか引き出してくれたのか
4年経っても何一つ色褪せることはない
夢の中だけでもいいから
また私の元へ帰って来て

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