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日銀の追加緩和, IFCとIDAの出資

高橋ダンのダイアリー
令和4年月1日


日銀の追加緩和, IFCとIDAの出資

令和2年3月24日に財務金融委員会が衆議院で開会され、インターネット審議中継で視聴しました。IFCとIDAへの出資、日銀の追加緩和、に対しての質疑で自らの所見を述べたいと思います。

第一に、国際金融公社(IFC)と国際開発協会(IDA)への出資に対して質疑が行われました。IFCとIDAで合わせて4600億円以上を出資する法律案が提案されました。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が悪化しているので、この金額を他の使い方に優先するべきだ、という意見がありました。経済が落ち込んだせいで借り入れが必要となった事業者達にとって、緊急融資は実際にはとても受けにくい状態。主な理由は、日本政策金融公庫 (日本公庫)は、既往な貸出金について条件変更がない場合のみ融資を承認しているからだ、という説明がありました。日本公庫は倒れリスクを十分にカバーできるように、潤沢な自己資本は持っていない。 IFCとIDAに出資を増やすより、 日本公庫や信用保証協会の組織等に出資を増やすほうが優先だ、と言う意見がありました。

IFCとIDAの出資に対して麻生大臣が答弁をしました。日本公庫は売上が急減した中小企業者に対して財務強化のサポートをしている、と答えられました。不安の声も聞くが、閉店時期を今は初めて伸ばしているといういい話も聞いている。いきなり知らない人にお金を貸すのは難しいが、すでに付き合いがある人に対してはお金が借りやすくできているという点が標準プロトコル承認だ、と話されました。

第二に、日銀の追加金融緩和に対して質疑が行われました。 日銀が先週に発表した追加金融緩和について、”新たに導入する企業支援策”というニュースが日経新聞で報道されたが、実際には金融機関業界のみが有利になっている、という発言がありました。この金融緩和は、金融機関が差し入れた貸出債権を担保にして、日銀が金融機関に0%金利で最長1年間融資資金を供給しているオペレーション。主な目的は金融機関が日銀の融資で企業に貸し出しを増やせる方法だが、実際にはそうなっていない。なぜなら、金融機関業界は日銀から0%金利で金額を調達して、当座預金に貯めている。マイナス投資商品が多い今の金融業界では、日銀の新たな0%金利融資を使ってマイナス金利でない部分を増やすことができ、金融機関がマイナス金利を避けられるメリットになっている、という説明がありました。低下金利の背景で金融機関業界にとってはお金を貸しにくい状況になっており、貸し出しが企業に対して伸びていないので、金融緩和のやり方も変えるべきではないか、という提言がありました。

日銀の追加金融緩和に対して黒田日銀総裁が答弁をしました。日銀は現在金融面で中小企業の資金繰りや円滑が最も重要だと思っている、と答えられました。このオペレーションは確かに金融機関に対して有利で、資金供給を行うことによって、金融機関の緊急予備金をしっかりとバックアップする仕組みだ。このオペの発表から1週間以内に18の金融機関がこのオペ使いを希望し、本日に実施した第1回目のオペでは約3.4兆円の資金を供給した。金融業界の円滑な活動が他の業界の支援に繋がると思っている、と説明されました。

第三に、これらの話題について私の意見を述べたいと思います。IFCとIDAの出資は確かに経済が悪化している状態ではタイミングが悪いかもしれません。4600億円の出資は新型コロナウイルス対象のために使うべきだという意見も多いかもしれません。しかし、日本はG7メンバーの先進国であり、こういう危機のときこそ世界の様々の機関に支援を続けて、リーダーシップを示す時だと思います。それに、IFCとIDAは世界銀行(World Bank) との繋がりがあり、将来日本がWorld Bankから支援出資が必要な時が来るかもしれないので、強い関係を継続するのが懸命ではないかと思います。

今回の日銀追加緩和は、過去の金融緩和と似ているオペ方法を使っていると思います。意図はいいのですが、現時点の経済問題はお金の供給問題ではないので、いくら金融機関に資金供給の支援を増やしても、低金利環境のため金融業界は新たな貸し出しをするインセンティブが少ないかもしれません。私も日本大手銀行や地方銀行の貸借対照表や損益計算書を過去に勉強したことがありますが、銀行の主な収入戦略は、短期的で借り入れ、長期的で貸し出すことだと思います。したがって、短期金利と長期金利のスプレッドが会社の生産性と利益率を決定する場合も多くなります。野村証券会社の有名なアナリスト、リチャード・クー氏はかつて「バランスシート不況」という言葉を引用しました。これは、企業の貸借対照表に現金が多すぎて、現金を生産的に使用する方法がわからない状況です。今の日本金融業界はこれと似ている状況かもしれないので、日銀も類似のオペで金融機関の資金供給に焦点を当てるより、短期金利と長期金利のスプレッドを広げる政策にフォーカスした方が効果が出るかもしれないと思います。

高橋ダン


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