八朔

ヨイトマケ

八朔

ヨイトマケ

最近の記事

ノコギリザメ!

ノコギリザメのユートピアを考えよう 外敵の居ない温暖な海 豊富な餌 果ての無い海 私の考えうる世界などたかが知れている もしかしたらノコギリザメだってワルツを踊りたいかもしれない 天敵が一匹居た方がいいかしら 人間になりたい? そんな事を考えるのも知性を持つ私自身が人間だからなのであって、ノコギリザメがワルツを認識しているとは到底思えない ユートピアは実現出来ない仮想空間というより 夢見た桃源郷のような世界を思い描くが どれもこれも私の意識の範疇を超えないのは考えうる

    • 美しき生き物の告白

      その人の好きな動物は、その人の人間性から成る一種の性格だと思う。恐竜だから、爬虫類だから、猛禽類だからどうという訳ではない。 ただその人にとって好きな動物はその人のどこか根源的な大事な部分、それこそ恐竜の牙を形成する遺伝子みたいなものだと思う。 今でこそ形式な有り触れた質問の「好きな動物」だけど、それくらいでいいの。その場しのぎの回答だって私は真に受けるわ。 その回答を選ぶのも貴方自身なんだから、本能ってそういう事でしょう。 私はずっと考えても分からないの 生き物は大好き

      • 愛論

        過去の無い人間なんていないのです。 それなのに私は相手の潔白らしい処女性なるものを求めてしまうのはどうしたことでしょう。 嘆かわしい欲深さは理性を無くし相手に主体を宛てがって終いな訳です。 溜め息が出ます 決して泣く事はしません 私には理性がありますから 私が愛に考える時 それは絶望を想うに等しい 私の愛には未来が無い、終わりがある 私が愛を語る時 それは独りを正当化する右翼に過ぎない つらつら論ずる愛への理解 教授の前だけぽっかり空いた大講堂を彷彿させる これから一

        • ちいこきいのち

          呑んだくれが吐いたげろを、一羽のハトが啄みました 酒呑みのげろです。酒気を帯びた吐瀉物はお腹を空かせたハトの好物でした おいしい、おいしい 久しい味の濃い食事にハトは大満足 夢中で貪りました するとそこへ別の呑んだくれが近づきました 「そんなもん食べちゃいかん」 ハトを追い払おうと呑んだくれは両手を広げて暴れました 逃げては戻り 食べては逃げる ハトは呑んだくれとげろを何度も行き来しました 他の人間達はハトにもげろにも興味が無いのに、この呑んだくれはとてもしつこく暴

        ノコギリザメ!

          空と引き分け

          「せーの」 震えた声。制服を着た二人の女の子。高い所。 飛んで行った。「バン」鈍い衝撃音。 泣いてもいいでしょうか 階段を上り続ける様な日々でした。 あとどれくらい上れば、生き永らふ事なく、死に損なう事なくサヨナラ出来るのでしょうか。 たまに身を乗り出してみても、まだ地面の模様を描ける程です。コツコツやってみます。 いつの間にか高い所まで来ていました。頭が痛いです。最期に一服と思い、ポケットをまさぐりますが、どうやら忘れてきてしまったようです。一旦取りに帰ります。そんな

          空と引き分け

          天使とよばれた女

          大人になるに連れて、風邪をひかなくなるのはどうしてでしょう。無邪気でわんぱくな少年少女の方がすぐに体調を崩しますよね。 あれは一体どういう理屈でしょうか。 その問いかけは全くと言っていい程に、答えを求めていない事は男にとって明白であった。 私が思うにだ。少年少女の魂は球体だ。 オレンジで血色のいい脳のようなシワを蓄えた魂 それに比べて大人の魂とは平面なんだよ。 薄く伸ばしたチェダーチーズ 所々に穴ぼこが空いてるのが見て取れる いいかい、大人はその穴ぼこでないがし、」

          天使とよばれた女

          ふゆ!

          戒めの様な寒空の下 不機嫌な私は今日もコインランドリーへ向かう。 昼過ぎに干しても乾ききらない事実から目を背け、半乾きのニット達を小脇に歩いて5分程の目的地に歩く日々。 スペア含め3つの鍵を1ヶ月で無くした私の移動手段は徒歩かキックボードとなってしまった。 「無くし物はなんですか 見つけにくいものですか」 はい。それはそれは見つけにくくカバンの中もつくえの中もありゃしません。 拝啓、井上陽水様 2番くらいは探し物ではなく「無くし物」でもええんちゃうかと思う私です。 そ

          渇いた汗、枯渇

          セーターに滲む汗を 私が全て舐めとってあげる 彼女の笑顔は雨を孕んだ それでも私は神が好きだから あなたの水分を残さず飲み込む だってその方がよく燃えるでしょう 家族、友人、恋人、世界 全て燃やしたい 水分を感じたら飲み込み その上でまた燃やす あなたを燃やす日 私は幸福だった 飛び散る灰でまた神を作れる ありがとうさようなら 君って灰は本当に美しいから 容易に神になれるだろう あ、そうこうしてる内に 信者達が群がってきた 厚かましい奴らめ 奴らは君の汗臭さに鼻をつまんでた癖

          渇いた汗、枯渇