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2020年9月の記事一覧

こもりうた

こもりうた

風は
夏を惜しむような
涼しい草の匂い

白い
暑い太陽の光を
思い出している
子供たちの笑い声を

ああ、彼岸花
わたしはその名を知っている
鮮やかな赤

わたしは知っている
この気持ち
この花
この虫の音
死を
そしていのちを

これで終わりなの?
思ったより短い

さよなら、世界
わたしは死ぬけれど
いのちは永遠だから
もう少し歌わせて
こもりうた
まだこの世に生まれる前の
新しいいのちに

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いちどきり

いちどきり

あんなに
青かった
空に向かって
元気一杯だった
それなのに
いつのまにか下を向き
ところどころ黄色くて
風に落ちるものもある

せかいは
祈りの準備中
皆が静かに眠る頃には
もうこの世にいないものたち
たったひと春
ひと夏のいのち

さみしくないの
問いかけたら
どうして?と

一度きりだから
楽しいんだよ
はじめましても
ごきげんようも
さようならも
一度きり
この風も
揺らぐ僕らも
さわさわ

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木と人

木と人

葉っぱは木の子ども
春になったらかわいい赤ちゃん生まれて
成長して若々しく光を浴び
木に養分を届けるけれど
やがてお別れ
枯れ葉となって散っていく
何度も何度も出会いと別れを繰り返し
木は成長する
沢山のいのちを見守り見送り
自身も歳を取り
いつまでもひとり、生き続ける
木は人を見つめる
誰かと出会い
共に生き
添い遂げられる人間は恵まれている
木はいつか人になりたいと思う

2020.09.14

思い出話

思い出話

あなた、その話
楽しそうにするの
わたし、あなたの話
嬉しそうに聞くの

出会ってきた沢山の人たち
訪れた場所や触れたもの
あなた、好きなのね
わたし、彼らや彼女らには会えないけれど
そこへは行ったことないし
見たこともないけれど
繰り返し何度も聞くうちにほら
少しずつ見えてくる
若さの匂いとか
悲しみや絶望の手触りとか
迷いや苦しみの輪郭とか
喜びや希望の本質とか

きらきら光って
宝石みたいね

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ありがとう

ありがとう

ありがとう
今日もしあわせな
心、交わせました

ありがとう
今日もたいせつな
時、積み重ねました

誰のおかげでしょうか
それは何より
彼女や彼や
あのひとのおかげ
でもそれだけじゃない

ありがとう
通りすがりの道行く人
ありがとう
そこの街路樹
ありがとう
道端の蟻に
ありがとう
今日の曇り空

そして
ありがとう、言葉
わたしたちの世界
交わして膨らむ
無限大の宇宙
言葉がきれいなとき

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