ダン・コージ Dan Koji

1979年東映「暴力戦士」でデビュー。1986年に渡米しステラ・アドラー等に師事、メソ…

ダン・コージ Dan Koji

1979年東映「暴力戦士」でデビュー。1986年に渡米しステラ・アドラー等に師事、メソッド・リアリズム・フィルムアクティングを学ぶ。1990年「Come See The Paradise」でハリウッドデビュー。| https://www.dankoji.info/

最近の記事

センスメモリーと集中力

演技前の集中力が明確でないと、緊張で周りが見えなくなり、自分が何をやれば良いのかも分からなくなる。辛うじて演技が終わった後は、身体が宙に浮き立ってただけで演技にはほど遠い状態になるのだ。 「Stage Fright」。 これもActor's Problem(俳優の問題) と呼ばれる現象の一つで、演技は出来るのに本番になると実力を発揮出来ない俳優の現象だ。 カメラを目の前にして周りから来る空気感が真剣であるがために、凄い圧力を感じてしまう。そしてその圧力に押しつぶされ自分が

    • Method Acting "Taste"

      Taste 味、風味。 エクササイズの手順を紹介する。 例えば、リンゴを一つ取り出し手の上に乗せてゆっくりと肌触り、重さ、香りを感じてみる 次に口元に持って行く。そしてゆっくりとかじってみる。 食感、口の中での広がり、喉を通って胃の中で広がる。そして身体中に染み渡る。 エクササイズでは実際のリンゴは使わない。 実際のテクニックとしてシーンに使う場合は、五感のエクササイズと同じきく絶えずタスクであるTasteをキープするが、特に感情が上がる場面では強くしていく。

      • METHOD ACTING "TOUCH"& "SMELL"

        五年ほど前に富士サファリパークで撮影した写真だ。 先ず最初に感じるのはTOUCH(感触)。 毛皮の触りごこち、もちろん肉球から足と身体中触りまくった。 係員の人は唖然としていた。 次はSMELL(匂い)。顔の近くに寄せると何とも言えない独特の匂いだった。アフリカが臭って来る。 どちらも実際のエキササイズの時は感じる!がテーマである。そして言葉にならない衝動が走った時は、アーッと声を出す。後はSIGHTの時と同じ手順だ。 SIGHT :遠い過去、思い出、哀愁、激昂、

        • メソッドアクティング "SOUND"

          SOUND(聴覚)は主にキャラクターの思考過程に用いる。極度の緊張、精神的に不安定、又はラブ ストーリーの中での告白、失恋、そして演技的に内側のテンポを上げたり下げたりする時にも使える。 (例)映画『シャイニング』の様な、異様な館に入った時SIGHT(視覚)、SMELL(嗅覚)、TEMPERATURE(温感)そしてSOUNDが来る。演技の順序はカメラのアングルにもはっきり出てくる。最初はキャラクターが入って感じる風景を観客に見せる。そしてアップでキャラクターの見解をSOUN

        センスメモリーと集中力

          メソッドアクティング"SIGHT"

          SIGHT(視覚)は一枚の写真を使う。貴方にとって思い出深い写真を一枚選んでみて欲しい。 この写真をジーっと見ていき、感情が湧き上がったらアーッとロングトーンで大きな声を出す。背景のストーリーや、思い出に思考を動かさない。思考を入れると方向が変わってしまうからだ。 実際のエキササイズでは写真は見ない。目を閉じた状態で写真を思い浮かべるのだ。 感情が走り出したら目を開ける。感情が違う世界に連れて行こうとするが、また写真に戻る。すると違う感情が沸き立つ。また声をアーッと出す

          メソッドアクティング"SIGHT"

          OTHER EXERCIZE

          全てのエクササイズはEmotional Memoryに繋がるが、入り口の違いで身体の機能の仕方が変わる。 俳優が台本からキャラクターのイメージを掴んでいないと、何が必要でどう機能させるか?がハッキリしない。 よく感情を込めて一生懸命演じている人を見かけるが、ピントがズレていて可哀想なぐらい空回りな状態だ。 (例) 精神不安定なキャラクターが決断を迫られている。ただでさえ心が不安定なのに、決断を迫られているなら追い込まれている状態である。どう演じたらよいか? カメラはア

          HOW TO CREATE

          演技の最初のステップは勢いと情熱である。自分の感情をキャラクターに繋ぐことから始まる。 次のステップはキャラクターの職業、考え方と行動。台本を読む理解力と分析力が要求される。 最初のステップで大事なことはリズム&テンポ、相手とのタイミング、 Q台詞、身体中で大きく表現する、だ。 次のステップで大事なことは、キャラクターが発する台詞から大事な言葉を抜きとり、思考の流れををみつけること。 そして、仕上げに欠かせないのがボイスプロダクションから呼吸法へ移行。音量調整はもちろん

          HOW TO MASTER VOICE PRODUCTION

          人間は感情動物である。 しかし、本能のまま好き嫌いの感情を剥き出しにしていたら社会のルールからはみ出してしまう。故に感情を抑え込むことを子供の頃から教わる。それが理性だ。 良い俳優になるには、本来の感情を自由自在に操れるようにならなければならないが、閉じ込めて来た感情はそんな簡単には表に出ては来ない。 子供の頃、悔しい思いをしたり、何かで泣いてる時、歯をくいしばって、呼吸を止めて身体の奥底に送り込んだ経験は誰もが持っていると思う。または嬉しくて大笑いした時なども、呼吸で自分

          HOW TO MASTER VOICE PRODUCTION

          SECOND EXERCIZE

          プライベートモーメントのエクササイズ。シャワーの次はコップ、グラスを使って行う。まず両手でコップかグラスを軽く持ち、重量はもちろん、手触りやグラスのシェープなどを手のひらで感じ取る。 次に実際に飲み物を入れる。そうすることで重さも変わるが、温かいか冷たいか、温度も変化する。そして口元に持っていくと、飲み物の香りがする。口の中に飲み物を含んで喉を通過したら胃の中で広がる。拡がりは身体中を駆け巡る。 コツは、自分が一番反応しやすい飲み物を見つけること。そして練習は空腹時が効果

          Voice Production と呼吸法

          エキササイズの最中に衝撃が走ったら深い呼吸で身体の中に押し込むか、声を出して身体中に衝撃を走らせる。エキササイズによってどちらで繋ぐかが大事なポイントだ。 選択を間違えないように! メソッドアクティングを機能させるには台本、設定が読めているかが重要となる。台詞が身体に入っている状態だ。 キャラクターを機能させるには何を使うか分かっている。ボイスプロダクション、呼吸法が出来ている。 以上が実践メソッドアクティングを学ぶ準備である。ただ闇雲に感情表現だけを練習しても、演技と

          Voice Production と呼吸法

          FIRST EXCIRSIZE

          俳優の仕事は、人前でキャラクターとしての自分をさらけ出すことだ。 どんなにキャラクターを演じているつもりでも、人前では自意識が働く。 自意識を消すにはプライベートモーメントというエキササイズが必要になる。何かに集中して、人に見られている意識を外すエキササイズである。 心身共にリラックスをしている状態でないと自然体の動きは出てこない。 一般的には「シャワー」と呼ばれるエキササイズから始めるが、これも初歩から上級までの段階がある。 先ずはシャワー室の中で、温度を調節しながら

          実践メソッドアクティング

          ハリウッドではメソッドアクティングの手引きは必修だが実践で使えるようになるにはかなりのトレーニングを必要とする。 メソッドアクティングはセンスメモリーのエキササイズから始まるのが一般的だが、沢山の俳優志望者達がセンスメモリートラップに陥り俳優になれない。 目的と手段の違いが明確に見えていないと勘違いが始まる。そして人格破壊に陥る。 メソッドアクティングとは自分を極限状態まで追い込み、意識している自分を消し去る。自分を使うが、無意識の世界まで入り込まないとキャラクターには

          実践メソッドアクティング

          台詞=言葉=人格

          以前にも書いたと思うが、台詞が言葉にならないとキャラクターは人間として生きてこない。 人間の発する言葉には何が含まれているのか? 本質としての育ち方、考え方、見解、その人の話し方で性格や出身地、教養、好き嫌いの好み、まで解る。 場面では、意思、意図、意向、感情、、、 相手に対しては見解、思い、感情、望み、、、 つまり台詞=言葉=人格=キャラクターなのだ。 キャラクターを演ずる前に、台詞を暗記する前に、俳優が台本から見つけなければならない事柄である。 台詞の中で知らな

          台本の分解 〜 役の組立て

          オーデションシーンを渡されて俳優が一番最初にやる事は何か? ほとんどの俳優は台詞を覚え始め、そしてどう演じるか?を考えている。 その結果、感情発表会で終わってしまったり、シーンが要求している事とは違うキャラクターを演じたりする。 ハリウッドではScript Analysis (台本の分解)と呼ばれるクラスがある。台本が何を要求しているかが読めないとキャラクター像、そしてどう演じるかが分からない。 同じ台本でも、監督、編集、俳優、の読み方は違う。 音楽家には楽譜があり、

          台本の分解 〜 役の組立て

          演技のメカニズム

          『サブテキスト』 キャラクターをキープする為に、何かで自分の体内を活性化させないと設定内で人間が生きていない。自分を通して現象としてのキャラクターを表現することが出来ないとキャラクターはない。 体内にキャラクターの精神状態/コンディションがないと、中身のない生きた人間が台詞をそれっぽく言っているだけになる。台本を読んで、キャラクターが見えたら体内に流れる血液のようなものを何でつくるか?が課題だ。 サブテキストとは台本&俳優を何で繋ぐか?、そして俳優をキャラクターの精神状態

          演技のメカニズム

          TO BE OR NOT TO BE ?

          ジョン・サルノのクラスで最初に観たシーンは、小さな舞台から飛び出して来るような次元の違うインパクト/迫力があり観てる方がぶっ飛んだ。さらに驚いたのはジョンの演技者に対する質問だった。 John「What did you work on?」(何に集中してた?) A「Heat!」(熱!) B「Cold!」(冷寒!) 私には会話が全く読めなかった。今まで学んで来たクラスでは、台本からキャラクターがどんな気持ちで何をこの設定の中で達成しようとしてる?、どんな生き方?性格や癖は?願