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短編たち

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短編たち集です
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#短編小説

静寂閑雅

少しの静寂と本があれば生きていける。
僕はそっと耳を塞ぐ
周りの音が聴こえないように。

耳を塞げば静寂が僕を落ち着かせてくれる。
小学生の僕は少しだけ背伸びしてて
周りの大人は子供らしくないとか
可愛げがないとか嫌な言葉をぶつけてくる。

それも聞きたくない、聞こえないように
耳を塞いだのにあの子が話しかけてくる
「ねえ、ねえ。何を読んでるの?」
「探偵が出てくる本だよ」
口の形が小さくて唇がふ

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人外との恋(短編)

「俺はお前が好きだ!!!」
と無機物の重機に顔を擦り付ける。
周りから見ると変人扱いされるのだが、気にしない。
ガレージに駐めてある重機(ベアトリーチェと名付けた)に
「行ってきます!」と声をかけ俺は仕事に向かう

俺の真横を通った小さい子どもが俺を指差しているのを隣にいる母親が止めている。
「ねーままー」
「こら、やめなさい」とそさくさと立ち去る。

子供の頃から重機が好きで好きでどうしてもショ

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上司と後輩(短編)

俺の貴重な連休が台風と喧しいやつらのせいでことごとく潰されている…腹立たしい。はあ。どいつもこいつもタイミング悪すぎるだろ。タイミングが悪いのか、俺の運が悪いのか……。殻になったたばこの箱を潰してズボンの後ろポッケに突っ込み、灼熱の暑い中
歩きながら最後の1本のたばこを吸っている。
くそ、あちい…
真夏の太陽がジリジリと俺の肌を焼いていく。
歳も30後半だが、いろいろ理由があって実家暮らしをしてい

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僕と彼女のとある日々

あぁ嘆かわしい。
ガチャを回す石をまた、回収祭りせねばならんとな。と俺はひとりごちながら家のソファでごろごろしていると
「またスマホゲームしてんのー?」
と横から覗きこまれる。
「うん〜推しキャライベントがね」
スマホを奪われて、
「スマホばっかり禁止〜、ゲームとかツイッターばっか見てるしー」と彼女に睨みつけられる。彼女は美人で自慢の彼女なのだが気性が少し荒いところがある。
「あー俺のスマホ……」

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今日もまた

脳内で言語化して言葉として発する。
今はそれができるように練習を行っている。

夜になるとバタバタ…ドタドタ…足音が聞こえる。
心霊現象?いやいや、隣の婆さんの足音だ。
壁が薄いためよく聞こえてくる。

少しボケてきているせいなのか、なんなのか
眠れないからと、なぜかドタドタバタバタ
水を飲んだり、うがいをしたり、おかげでこっちが眠れなくなる。

スイッチも何回も何回もカチカチ…カチカチ。
うるさ

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短編 温かいスープを君と一緒に

⚠️注意⚠️ ゆるい百合短編です 苦手な方は回れ右してください。

ベランダでたばこを吸っている私の事をぼんやりとしたお月様が低い空から覗いている。
後ろからそっと抱きつかれた。抱きつかれた手を優しく握る。

「何してんのー」と耳許で囁かれる。たばこを咥えながら振り向き
「危ないから・・・」と優しく諭すとたばこを奪われた。

あっ、という表情をしていたのも束の間、唇に優しくキスを落とされた。
「も

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短編なのかポエムなのか。読む人に判断願おう。

降りたい駅を切なげに見送る。ここは俺が降りる駅ではないからだ。降りる駅に降りて、待ち合わせの時間までまだだいぶあるので周りを観察しつつ歩くことにした。

ついつい人間観察をしてしまう。
人間観察をして、妄想を膨らませ、文字に起こす。それが楽しくて堪らないのだ。

言葉が出ない時も、そういう時もあると深く考えない。待てば良いのだ。
ぼんやりとしていたら1駅降りる前の駅で降りてしまった。
僕はインプッ

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短編 (今までの怒りをぶつける)

タイトル通りですw
オリジナルなのであしからず。

お前本当いい加減にしろよ!!!!!!」
俺は今まで貯まっていた怒りを言葉にしてぶつけた。
「小言も悪口も全部聞こえてんだよ。聞こえてないとか、こっちは何も言わないとか思ってた?大間違いだわ。
自分の責任こっちに全部押し付けて、腰が痛いならじっとしておけよ…なあ」
「動線もなんで動くたび邪魔するんだよ!!?
RPGかよ!!!!!!!RPGに出てくる

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ドタバタ密室

「なんであんたとこういう状況になるわけ??!最悪!!!」
狭い密室の中で閉じ込められた男女

「ちょっといい感じに壁ドンしてんじゃないわよ。私じゃなくて他の男にしなさいよ」

「そっちこそやけに色っぽい格好してるけど、俺は全くもって興味ないしな。」

何故か今日はエレベーターが急に止まってしまい、二人は閉じ込められた。

突然エレベーターが大きく揺れて、男性が女性に 壁ドンをしている

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短編 顔がほころぶ。

彼女の洋服の試着を待っている間に、人間観察を行う僕。

ショッピングモールにはたくさんの人が行き来していて、見ていても飽きることはない。

「この服とこっちの服、どっちがいいかな?」と彼女は聞いてきた。

僕は純粋にどちらも可愛いと思ったので
「どっちも可愛いよ」と答える。

彼女からしたらそれは正解ではないらしい。

頬を膨らませ
「どっちもじゃなくて、どっちか!なの」と言う。
うーん難しい質問

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短編🍀

限られた時間の中で俺は何を思うか

今思うと短い人生だったな・・・とぼんやり考えつつ

海のなかに一歩、また一歩と足を踏み出していく。

ちょ、だめーっだめだってば!!と女の子の声が聞こえ近付いて来た。

すごい勢いで引っ張り出されて砂場に戻された。

「止めないでくれよ・・・俺にはもう何もないんだよ」

「ごちゃごちゃ言ってるんじゃないわよっ!」と平手打ちされた。

「簡単に死ぬとか言ってるやつ

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