見出し画像

狂った愛の結末は!?:神話の恐ろしい恋愛”メディア”part.1

 愛しすぎた為に相手を憎んだり、人々が理解できない行動にでる。そのような人物が神話や小説に描かれることがありますよね。これを聞いて、皆さんはどんなキャラクターを思い出すでしょうか。例えば、オスカー・ワイルドの作り出した『サロメ』では、ヨハネの首をはねた後、サロメは彼に口づけをします。(下の絵画は、今まさに口づけをしようとしているシーン)

画像1

 これだけ聞いたらその行動が全く理解できないし、その愛の形はなんなんだと困惑しますよね。このような狂った愛は他の物語にも見られます。

 さて、今回はそんな狂った愛が起こした『イアソンとメディア』の悲劇の物語を関連する絵画と共に紹介していきます。メディアの狂気に注目ですよ。

【イアソン王位奪還の物語】

 この物語の主人公、イアソンは幼いころ父(その土地の王)を亡くしております。彼には王位継承権がありましたが、その若さから父の弟、つまり伯父が次の王となりました。(注:叔父が王になった経緯は諸説あり)

 成人したイアソンは伯父に王位を明け渡すよう進言しますが、彼は応じませんでした。どうしても王位を渡したくなかった彼は、イアソンに難題を突きつけ、諦めさせようとします。その試練が「コルキスにある金羊皮を取って来い」というものでした。コルキスは、イアソンがいる地から2,000km離れたところにあり、コルキス王の監視下において眠らぬ竜が金羊皮を守っていると言われております。この申し出を断らないのがイアソンの強さ。叔父の難題に立ち向かうべく、彼は仲間50人連れて、コルキスへ向かいます。さて、イアソンは金羊皮を奪取出来るのでしょうか。

【コルキス王の娘:魔術師メディア】

 イアソン一行は、いくつもの戦いを経てコルキスの地に辿り着きます。そしてイアソンは、コルキス王へ金羊皮を渡すよう申し出ますが、王は断ります。逆に王はイアソンを罠にはめるべく、いくつかの難題を与えるのです。この時、イアソンを見て一目惚れしたのが、コルキス王の娘で魔術使いであったメディアです。

画像5

イーヴリン・ド・モーガン『メディア』1889年

 実はこの一目惚れ、神々の企てで引き起こされた偽りの恋だったのです。女神ヘラはある一件でイアソンを大変気に入っておりました。その為、彼の身に危険が訪れないよう、常に見張り、彼の運命が好転するよう努めていたのです。今回のメディアの一目惚れもヘラの企てのひとつで、彼女がアフロディーテに頼み行ったのです。正確には、アフロディーテの息子エロスが、愛の矢を放ち、メディアが恋に落ちたのです。下記のトロワの絵画にはエロス(キューピット)が矢を放った場面が描かれていますね。

画像2

トロワ『イアソンはメディアに永遠の愛を誓う』1742年

 イアソンに恋をしたメディアは、その魔術を使い彼を助けようとします。それはつまり父を裏切ることになるわけですが、その代わりに、”自分との結婚”を条件として提示します。これを受け入れ、結婚を約束したイアソンはこの後、コルキス王の難題に立ち向かっていきます。

【続く】

 メディアの狂気がまだ出てきておりませんが、長くなってしまうので次の記事までのお楽しみに。ちなみに次回出てくるこのメディアの眼、悪い表情してますよね。

画像4

モロー『イアソンとメディア』1865年



追記:冒頭ご紹介した”サロメ ”の物語はこちらから確認できますよ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?