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セザンヌの親友でマネを評価した小説家:エミール・ゾラ

 こちらの記事で、マネのスキャンダラスな絵画『ナナ』を紹介しました。マネは『草上の昼食』で賛否を巻き起こした後にも、破廉恥な内容の絵画を作り続けたのです。

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マネ『ナナ』1877年

 当時の人々には受け入れがたい画題を描いたマネは、多くの非難を浴びせられます。一方で、彼を擁護した人物もいるのです。その代表格が、エミール・ゾラでマネの作品の批評を書き、それらを評価します。

【ゾラとマネは仲良し?】

 ゾラは小説家として、当時の社会を映し出す作風で執筆していました。中でも、1876年に発表された『居酒屋』は大反響を受け、大変売れたようです。その後、ゾラは『居酒屋』の続編として、1879年に『ナナ』という小説を出版し、こちらも大ヒットします。ここで勘の良い読者さんはお気づきかと思いますが、マネの描いた『ナナ』は、小説『ナナ』をモデルに描かれております。もっと言うと、マネはゾラの小説の広告として”ナナ”を描いたと言われております。事実、マネは他の小説家の為に、ポスターを描いたという実績がある為、あり得る話ではないでしょうか。また、マネがゾラの肖像画を作成していることから、彼らの親密さが伺えますね。

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マネ『エミール・ゾラの肖像』1868年

【ゾラとセザンヌの友情】

 映画『ゾラの生涯』、『セザンヌと過ごした時間』では、ゾラが『ナナ』を書くに至ったモデルとの出会いを観ることができますので、チェックしてみてください。加えて本作では、少年時代からの親友である、ポール・セザンヌとの友情や表現者としての対立も描かれております。

 両作を通して大変興味深いのが、セザンヌの気難しさです。彼のこの性格は大変有名な話で、美術史を学んでいるとよく目にするのですが、映像で観るとより面白いなと感じます。特に『セザンヌと過ごした時間』での、ゾラがセザンヌを招いた食事会のシーンでは、マネやピサロ、画材屋で有名なタンギー爺さんと談笑します。しかし、マネの絵画論に嫌気がさしたセザンヌは、彼を罵倒しその場を立ち去ってしまうのです。何もそこまで言わなくても良いのにと思いますが、正直に意見しないと気が済まない性格だったのでしょう。

 通説では、ゾラとセザンヌは中年以降、仲違いし、その後一生会わなかったと言われております。しかし、彼らの文通を確認したところ実際にはそうでは無く、晩年までその友情が続いていたのではないか、との説も出てきております。研究が進めば生涯親友説も出てきて、ウキウキな展開の映画も作られますかね?

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