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ジャポニズムの火付け役、葛飾北斎:西洋絵画に引用された作品を紹介!

 LIFE誌が1999年に発表した『この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人』の中に、日本人で唯一選ばれたのが葛飾北斎です。

 欧米で認められた彼は、西洋にどのような影響を与え、どんな引用をされてきたのでしょうか。皆さんよくご存知の画家が、北斎の構図を用いた例を紹介していきます。

【葛飾北斎×ポール・セザンヌ 】

 セザンヌといえば”近代絵画の父”と呼ばれる存在で、多くの人がその名を耳にし、実際に作品を目にしているのではないでしょうか。そんな彼も北斎から学び、自らの作品にその構図を取り入れているのです。

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ポール・セザンヌ 『サント・ヴィクトワール』

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葛飾北斎『富嶽三十六景 駿州片倉園ノ不二』

 左右対称ですが、非常に似た構図の2枚の作品。上はセザンヌが連作で生涯描き続けた画題である”ヴィクトワール山”で、彼の故郷にある山なんです。下は”富嶽三十六景”のうち、いまの静岡市あたりから眺めた富士山を描いた作品です。

 両作ともに絵師が愛し、好んだ画題であり、山の神々しさや崇高さが表現されているのではないでしょうか。

【葛飾北斎×メアリー・カサット】

 メアリー・カサットは、アメリカ人ですがフランスを拠点に活躍した19世紀から20世紀の画家です。バレリーナを好んで描いた、エドガー・ドガと親交があったり、アメリカへ印象派美術を伝える手助けをしたことで有名です。そんな彼女の作品にも他の印象派の画家と同様、北斎の構図が見てとれます。

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メアリー・カサット『青い肘掛け椅子に座る少女』

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葛飾北斎『北斎漫画 初編(部分)』

 2人の構図を比較する前に、カサットの主題である少女の描き方に注目します。現代の私たちがこちらの少女を見た時、”奔放だな、何かに飽きたのかな?”と感じると思います。しかし、この描き方が当時としては常識はずれだったのです。この作品以前、子供を描くときは慎ましく、小綺麗な佇まいで描かれておりました。確かに、こんなぐうたらな構図見たことないですよね。

 本来子供の持っている無邪気さや奔放な雰囲気を描く為に引用されたのが、北斎漫画にある布袋さん(七福神の一人)です。本作では、神様でその役割を果たすべく持っているはずの堪忍袋を寝床にし、おやすみになられている場面をユーモラスに描いております。このイメージを転用したメアリー・カサットは、正しさの概念を打ち破った先駆者ですね。

【葛飾北斎×〇〇】

 今回紹介した以外にも、マネやゴーギャン、ガレなど多くの芸術家が北斎の作品に影響を受け、創作に取り入れております。あなたはどんな西洋の作品に北斎を感じますか?

 ちなみに5/28から、葛飾北斎の生涯を描いた映画『HOKUSAI』が上映開始です。楽しみですね!


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