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チリで24時間長距離バスに乗った話

大学5年生というものはとにかく暇なものですね。時間を持て余し、だがしかし例に漏れずお金はないので、ひたすらNetflixを観ながらインドア生活をエンジョイしているところです。

最近、水曜どうでしょうのサイコロシリーズがNetflixでも観れるようになりました。水曜どうでしょうのただひたすら移動するだけのスタイル大好きです。サイコロシリーズは、そのスタイルの際たるものと言えるでしょう。目的地に着いたらすぐにサイコロを振って、次の目的地を決める。交通手段は電車、船、長距離バス。ほとんどは深夜バス。

道産子のシェアハウスメイトと「私たちもこれやろうよ!」と盛り上がっていた時、「私24時間一度もバスから降りずに移動したことあるんで、余裕です」と言ったら、本当にびっくりされました。ちょっと引いてました。

もうあれは2年も前のことですが、私は南米大陸を(ほぼ)一人でバックパッカーとして旅していた時、チリのアタカマからサンティアゴに行く24時間の長距離バスに乗りました。そして何だかとっても楽しかったのを覚えています。またやるかと言われたら、ちょっと悩んだ後に結局やらないと思いますが、何でも初めての体験って良いですよね。

南米大陸は、長距離バスがとってもポピュラーで、とりあえずバスターミナルに行けば、隣の国であってもどこでも行けるようになっています。島国日本に生まれた私には、少し不思議な感覚。

私の旅は極めて流動的で、適当にその日の気分で動く感じだったので、予約などをしなくてもとりあえずバスターミナルに行けば移動できる、長距離バス旅は自由でとってもよかったです。飛行機は日程も時間も指定されてしまうので、「やっぱりもう1日ここにいたいー」ができないのです。バスならそれができる!

アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、チリを旅し、ほぼすべてを長距離バスで移動していましたが、流石に例の24時間バスは、乗る前からそわそわ、ブログでいろいろ調べてました。ただ、私が乗るアタカマ─サンティアゴ間のバスに関しては、そもそも24時間もバスに乗り続けようという猛者があまりいないようで、1つくらいしか記事を見つけられませんでした。

途中、客を降ろしたり乗せたりするためにバスターミナルに寄ったりはするものの、乗客の休憩はなし。食べ物もクッキーと紙パックのジュースが支給されるのみとのこと…ご飯が食べれない!過酷すぎる!と思っていましたが、次に進まなければ留学先のブエノスアイレスに帰れないため、チケットを買うことに。

チケット売り場のお兄ちゃんは「ご飯3回出るよ!」と教えてくれました。そうか、流石にクッキーのみ支給は辛いから変わったのか、と食事にちょっと期待してバスに乗り込みました。

たまに、バスの隣の人と仲良くなってお話ししたりもするんだけれど、そのバスではそんなこともなく、特に何も起きず、ただ24時間、一人で自分の席にいました。幸いなことに14時間くらい寝れました、よかった。それ以外の時間は、ただひたすら窓の外を眺めているだけ。

今考えると10時間くらい風景を見てるだけって相当ヤバい時間なんですが、不思議と嫌じゃなかった。無欲になれました。あまり辛いと思わず、穏やかで良き時間を過ごせました。

旅を始めるちょっと前、ブエノスアイレスにてiPhoneを盗られてたので、携帯もなく。友達にもらった2GBしか容量のないサムスンの10年前のスマホにその時好きな音楽を選りすぐってダウンロードして聴いたり、ひたすら考え事したり…。

結局、支給された食事はイチゴ味のクッキーと紙パックのオレンジジュースのセットで、全く同じものが3回来ました。食欲も湧かず、少しのクッキーと水を摂取するのみ。服も適当、勿論化粧なんてせず、人と話すこともなし。あんまり変わり映えのないチリの風景だけが新しい。

楽しかったなぁ。しかも、着くと達成感を感じられるんだよなぁ、何もしてないのに。

長時間の移動は、確かにちょっと辛いですが、過酷なほど楽しいということを水曜どうでしょうはあんなにも早く発見していたんだなぁ。意外と旅行そのものよりも移動の間の楽しい時間を覚えていたりしませんか?

楽しかった移動の思い出、また思い出して書き起こします。誰かにわざわざ話すことでもないのでね!

写真:アタカマ砂漠から大都会サンティアゴにやってきた真っ黒な私

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