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クラスがしんどい。 その5 クラスの中の関係性を見てみよう。


 さて前回までは、クラスがしんどいと感じる大きな原因になっていると思われる、気になる生徒と教師との関係性をどうやって築いていくのかに焦点を当ててきました。今回は、クラスの生徒同士の関係性からくるしんどさについて考えていきたいと思います。
 個人的には、気になる生徒と関係を築こうとするのは、担任の仕事の中ではそこまで難しいことではないと思っています。なぜなら、気になる生徒は、その行動やふるまいで教師にシグナルを発することができるので、関係性が目に見えるからです。例えば、あるとき急に生徒の私に対する態度が変わったとしましょう。私はそれをみて、「ん?なんかあったのかな?悪いことしちゃったかなあ。」と、これまでの関係を振り返ることができます。そういう意味で、個人との関係性の変化が目に見えるのです。目に見えれば、何らかのアクションを起こすことができます。
 しかし、これが集団となると、どこで何が起きているのかを把握することが困難です。例えば、授業で何となくやる気のない雰囲気が漂っていて、発問をしても何の返事も反応もない状態。または、同時多発的にいろんなところで騒がしい状態、話を聞かない状態が起きている。こうなってくると、どこからどうやって手をつけたらよいのか分からなくなります。思い起こすだけでしんどいですね。
 中学校は教科担任制なので、同じ内容の授業を複数のクラスでやっても、クラスの中の関係性の違いによって、反応や動きが全く違ったりします。私がそういうクラスに入った時に、まずやってみることがあります。それは

クラスの中の関係性を見てみよう。

ということです。具体的にやることを書き出してみます。

  • まずは休み時間。早めに教室に行って、教室の様子を観察してみましょう。休み時間の様子を見れば、誰と誰が仲が良いのか、そうでないのかが分かります。いくつかの仲良しグループの狭間で、ひとりでポツンと本を読んでいたり、ぼーっと座っている生徒もいます。私に自分から近づいてきて話しかけてくる生徒もいます。継続的に見ていくと、仲良くしているメンバーが変化したり、一人でいる生徒の様子が変化したりします。あとは、クラスで遊んでいない、一人で他のクラスに遊びにいく生徒もいます。今、生徒がどこが一番居心地の良い場所なのかが何となく掴めてきます。

  • 授業では、なるべくいろんな生徒が関わり合う場面をつくってみましょう。しんどいクラスでやると本当にしんどい時間になります汗。私がよくやるのは、その日の4人グループをトランプでランダムに決めるというものです。Aから9までのトランプを生徒に引かせて、同じ数字の4人グループで分かれます。関係性が希薄なクラスは、この時点で誰とグループになるのか戦々恐々とする様子が見られます。

  • 時折、自由にグループを組ませてみると、クラスの中の生徒の人間関係が如実に表れます。うまくグループが組めないこともあります。

  • 関係性を見るときに大事なのは、ひとりぼっちでいる生徒が悪いわけではない、ということです。むしろ、ひとりでいることに寛容で、困った時はいつでも助けを求められる、というのが居心地の良い関係性なのかなと私は思います。

 こんな感じで、まずはクラスの中の関係性を『目に見える範囲で』観察することで、クラスで何が起きているのかを把握することが大切です。しんどいなあと思うクラスに入ると、何となく居心地の悪さというか、関係性の過度な偏りが見られることがあります。
 ちょっと余談ですが、グループをトランプで決めたり、自由にグループを決めることに対して、抵抗を感じる先生がいます。おそらく、座席をランダムに決めたり自由に決めさせたりすると、グループ活動がうまくいかないんじゃないか、という心配があるからだと思います。これは私の考えですが、グループ活動がうまくいくような、恣意的に選ばれたメンバーで活動したとして、たとえそれが教師の思惑通りうまく行ったとして、そこにどんな学びがあるのだろうか、と思ってしまいます。学校でクラスを編成する際、学級委員が勤まりそうなリーダー、班長ができそうなリーダーをうまく振り分けます。そして座席を決める時も、彼らを軸にうまくいく様な座席を決定します。リーダーはずっとリーダーとしての役割を求められることになります。ここでは言いませんが、その逆の役割も然りなのです。
 本来であれば、誰とグループになっても、誰と一緒になったとしても、ちゃんと協同できる、関係性を築くことができるようになることが大事なんじゃないかと私は思っています。まあ、うまくいく生徒たち同士でやらせていた方が、表面上は楽なのですが、それ以外の生徒との関係性は一向に平行線を辿るわけです。

 さあ、ここまでは、クラスの中の関係性を『目に見える範囲で』観察することについて書きました。『目に見える範囲で』とカッコを付けて書いたのは、あくまで教師としてのあなたから見た、目に見える範囲で推測した関係性であるということを強調したかったからです。クラスの中の様子が少しだけわかってきたら、次にやることは「生徒に直接聞いてみよう」です!
 今日はこの辺で。


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