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パリに恋する映画5選

 パリに行きたい!住みたい!永遠の憧れの地を、フィルムに焼き付けた名作5選をご紹介。もちろんConnecting the Booksなので最後にはブックレビューもあります。翼よ!あれが巴里の灯だ!

1本目
フランソワ・トリュフォー
大人は判ってくれない

 フランソワ・トリュフォーのデビュー作にして、ヌーヴェルバーグの傑作。少年の葛藤を描いた本作は、監督の自伝ともいわれ、その心理描写に優れたシーンの数々は、今見ても鮮烈。子供たちの日常から見えるパリは、とても花の都ではないのかもしれませんが、当時の空気を見事なまでにフィルムへ焼き付けています。ヌーヴェルバーグは難解な作品が多いですが、本作は見やすく誰にでもオススメできる作品です。

2本目
ジャン・リュック・ゴダール
女は女である

 ヌーヴェルバーグのもう一人の巨匠であり、生きる伝説ゴダール。彼を描いた映画まで登場し、映画と書いてゴダールと読む、と言っても過言ではないでしょう。ゴダールはこれまでたくさんの映画でパリを描いていますが、中でも最もイキイキと、そして鮮やかな面を切り取ったのが、本作です。キュートで、カラフルで、ポップ。裏腹なセリフの連続で、これぞゴダールと言わしめる名作です。パリの空気、カルチャーを存分に味わえます。

3本目
レオス・カラックス
ポンヌフの恋人

 パリは大都会であり、その光が強ければ影もまた濃い。そんなことを感じさせるのが本作。タイタニックの船の先端でのシーンの元ネタであることでも有名です。舞台はパリのど真ん中、シテ島の先端に架かる橋ポンヌフ。大道芸人と、眼を病んだ画学生のボーイミーツガールは、永遠のラブストーリーです。

4本目
ジャン・ピエール・ジュネ
アメリ

 初めてパリを訪れた時、宿が東駅に近く、周りはアラビア系ばかりでした。イメージしていたパリからは程遠かったのですが、帰国後しばらくしてから公開された本作で、全ての印象が鮮やかに、オシャレに塗り替えられました。まさに女子のための、スーパーキュートフィルム。オードレイ・トトゥ以外考えられないハマり役で、フランス映画としては空前の大ヒットでした。まだ見ていない人は必見!こんなにパリを可愛く描いた映画はありません。

5本目
リチャード・リンクレイター
ビフォア・サンセット

 これぞ等身大のパリ。長回し1カットでできているんじゃないかと錯覚する手法で、観る側は主人公たちとパリの散歩気分が味わえる、そんな映画です。本作は3部作の2作目で、できるなら全て観てほしいですが、パリを味わう意味では本作だけでも十分楽しめます。こんな素敵な散歩道は、住む人の特権ですね。

今回の一冊

和田誠著
倫敦巴里

 先ほど亡くなられた偉大なクリエイター和田誠さん。日本にイラストレーターという職業を根付かせた偉人は、しかし自らイラストレーターの殻を破り自由奔放に創作活動をされた多才なマルチクリエイターでもありました。本書はその幅の広さを存分に発揮するジャンルレスな一冊。そこには映画に対する深い愛も垣間見えます。映画は映画を観て楽しむものですが、そこから派生するカルチャーもまた映画であり、そんなことを感じさせてくれる本の形をした映画です。古本屋でしか手に入りにくいようですが、ぜひ見かけたら手に取ってください。

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Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。