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営業活動は、お客さま視点で「商談をヨム」べし

おはようございます。
カイロスマーケティングという営業・販促のITツールを商っております、代表の佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

「この商談、取れるかな?」

その答えは、自分を主語にした営業活動の進み具合と、お客さまを主語にした購入の度合いの両方を見ないとわかりません。提案したからって受注にならない。それは、お客さまがどう感じているかを知ることで、商談の確度がヨメるようになるからです。


ヨミとは何か?

前回はで「営業ステージ」と「標準タスク」を組み合わせて受注活動を仕組み化してきました。

「営業ステージ」が進むことで、商談の進捗状況である「進度」がわかるようになりました。確かに「進度」が進めば、商談の受注の可能性は高くなります。それだけで売上の予測を立てても良いものでしょうか?

ここである商談の例を見てみます。以下のAとBのお客さまは、前述の「提案見積り」の「営業ステージ」にあたります。

お客さまA:「およそどれくらいの費用がかかるか知りたいので、一度、概算見積りいただけますか?」
お客さまB:「社内稟議のために見積りをください」

どちらのお客さまも見積書の依頼をしている点では同じです。しかし、お客さまAは興味本位で料金を確認していますが、お客さまBは契約に向けて社内の稟議を進めている点は大きく異なります。お客さまBは購入に向けた社内の稟議を通そうとしているため、お客さまBの方がお客さまAに比べて受注の可能性ははるかに高くなります。「営業ステージ」という「進度」だけで商談の受注の予測をしてしまうと、上記のAとBのお客さまの商談を同じ「確度」で考えてしまうことになります。

この二つの商談は「進度」は同じ見積りにありますが、売上の予測を考える上では別のものであると考えるべきです。仕組み化された営業活動の売上の予測の精度を上げるために、「ヨミ」という「確度」の要素を営業の仕組み化に導入します。「ヨミ」語源は明らかではありませんが、おそらく「確度を読む(ヨム)」からきているものと思われます。


自社専用のヨミを用意しよう


ヨミは、四段階くらいに分けておくことが一般的です。ヨミの定義とは、それぞれのヨミの基準がわかるようにすることです。

下の図はよくあるヨミの定義です。みなさんの受注活動でも、およそそのまま使えると思います。それぞれのヨミが感覚的にわかるよう、受注の確率を追記しました。確率はあくまで参考程度に見ていただけると幸いです。


Aレベルのヨミは最も確度が高い状態です。お客さまから口頭により発注の意思を確認できている状態であり、およそ受注が確定しています。
Aレベルのヨミは営業部員が確実に受注すべきである責任ある商談になります。

営業部員が商談の状況を確認するようになるために、受注前に必ずヨミがAレベルであるかどうかをお客さまにヒアリングするように指示することをお勧めします。商談がAレベルのヨミになるよう日々の営業活動を工夫するため、営業部員の成長につながります。

Bレベルのヨミは、お客さま側の決裁者が前向きに検討している、もしくは担当者が自社の提案内容で社内稟議や調整を進めている状態になります。数社から提案を受けていますが、およそ選定の目処がつき、あなたの会社の商材で進めていただける状態を指します。

Bレベルのヨミでは、価格調整や社内反対者との調整などの購入までの障壁あるかもしれません。お客さま側にある購入までの障壁を取り除くお手伝いをすることが営業の仕事です。お客さまにヒアリングして障壁の有無を聞き出しながら、手助けをすることで確実にAレベルのヨミになるようにします。

Cレベルのヨミは、こちら側の商材にお客さまが興味を示しており、導入に向けて提案を求めている状態です。単なる情報収集目的ではCレベルのヨミにはなりません。

お客さまが希望する提案から導入への進め方、こちら側で支援できることを、などを確認しながら、その商談がBレベルやAレベルのヨミになるように進めるようにします。

ネタはA〜Cレベルのヨミ以外の商談を指します。ネタとなった商談は、営業対応の優先順位は下がります。ただし、手持ちのA〜Cレベルのヨミが少ない場合には、ネタの商談にも接触してA〜Cレベルのヨミになるよう進めなくてはなりません。お客さま側の課題を整理して、その解決に進めるための助言や提案が必要になります。

営業ステージは「引合い」「訪問」「提案見積り」など、自社の営業社員が何をしたかによって決まります。それに対して、ヨミはお客さまの発言や反応によって決まります。つまり、営業ステージの主語は営業部員であることに対して、ヨミの主語はお客さまなのです。ここに大きな違いがあります。ヨミはお客さまの発言をしっかりとヒアリングしないとわからないのです。


ヨミがもたらす効果


ヨミを定義して運用するが、自社の営業力を強くすることは間違いありません。お客さまの反応や発言によって決まるという性質を持つヨミを導入することで、営業部員がお客さまの反応や発言をしっかりと回収するための質問をすることで、商談の「進度」に加えて「確度」を営業部員が知ることになります。

その結果として、どんな行動をしたら、商談の確度が上がるようなお客さまの反応や発言を得られるようになるかを考えるようになります。ヨミは営業部員の成長をうながします。営業部員が成長すれば、それは営業力の強化になります。

「営業ステージ」という「進度」が進んだ商談が増えると、成約につながる商談が十分にあるように感じます。可能性が低い「進度」がある商談を積み上げているだけかもしれません。これでは目標に対してどれだけの実績があるかわかりません。

商談の確度をヨミで測るようになると、自分の目標と実際の乖離がより鮮明に見えるようになります。例えば、稟議にあげてくれそうな商談が○つあるので、今月はもっと提案見積りにつながる商談の発掘をしないといけない、など、営業が目標を達成するためのより細かな行動指針につながるのです。
ヨミによって受注数を増やすための営業部員の思考や行動を変えることができます。

「営業ステージ」に対してヨミを設定することで、重点的に対応すべき商談の優先度がわかります。同じ「営業ステージ」にある複数の商談のなかから、金額が大きかったり、具体的な時期が決まっていたり、もしくは、社内稟議中の商談などが区別できるようになるため、各営業がどの商談に注力すべきかわかるのです。

もちろん営業管理職も、営業部員に同席して商談成立をしっかりサポートすべき商談が見えてきます。商談の進め方の確認やアドバイスができるようになり、より成約数を増やすことになります。


ヨミを営業会議で活用する


ヨミは営業会議で確認することをお勧めします。ヨミを確認する会議は「ヨミ会」と呼ばれることがあります。ヨミ会は、営業全体でも営業部員と個別にやっても構いません。ヨミ会では、各商談の「進度」と「確度」を合わせてチェックします。月次ではなく週次程度の頻度で確認することが一般的です。

週次でヨミ会を開催すれば、営業部員はヨミの一覧の更新を最低でも一週間に一回は更新する必要があります。ヨミの更新頻度が高ければ、目標達成に向けたお客さまとのコミュニケーションを増やそうとする意識が働きます。少なくとも一週間に一度は、自分自身の目標に対しての差分を確認し、その差分を確認しながら次の一手を考えて営業の仕事することになります。

このように営業部員が目標に向かった次の一手を一週間に一度は考えて実行することで、営業部員として自力で目標に向かって行動ができるようになります。つまり営業部員が自ら率先して営業成果を出せるようになるだけでなく、営業部員の成長を促すことにつながります。

ヨミ会では、進行している商談のヨミの一覧表を利用します。SFAにはヨミの一覧を表示する機能がありますので、その機能を使うと便利です。前回の会議から変更を中心として、確度、購入の時期、購入の金額の情報を元にしながら、営業組織として、個人としての目標を達成するための次の一手を詰めていきます。ヨミ会でSFAを使うことで、営業部員がSFAに記録することの定着をうながします。

ヨミ会では、営業部員が各商談で抱える不安や懸念材料を持ち寄り、参加者の知見とノウハウで解決する方向になるように導きましょう。次の一手という有効な打ち手がない商談は、ヨミの一覧から削除して失注扱いにするよう進言してください。有効な次の一手がない商談をヨミの一覧にそのままにすることによって、目標を達成するためのヨミ化できた商談がたくさんあると錯覚するようになり、新規のヨミ化をするための優先度や意欲がなくなってしまいます。

ヨミ会では営業管理職から「この件、どうなっているんだ?」「気合いでなんとかしろ!」と営業部員を解決策なく責めないようにしましょう。営業部員が営業管理職から怒られることを避けるために、商談の進展がないのに、ヨミの一覧に記載したままになっている商談が増える結果となります。


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