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ゼロから始める。営業の「仕組み」のつくりかた

こんにちは。
カイロスマーケティングという営業やマーケティングのSaaSの会社の代表を務めております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

今日はこの記事の続きです。


仕組みの骨組みは「営業ステージ」と「標準タスク」

営業活動の仕組みは、商談の進み具合である進度を示す「営業ステージ」と、商談の進度に応じてやらなくてはならないことである「標準タスク」の組み合わせで仕組みをつくっていきます。

営業のステージ

営業の進み具合である「営業ステージ」に対して、各商談のその「営業ステージ」で必ずやらなければならない「標準タスク」を設定します。「営業ステージ」を1つ前に進めるためには、その「営業ステージ」にある「標準タスク」を完了していることが条件となります。このように、「営業ステージ」と「標準タスク」を組み合わせることで、営業活動の全体を仕組み化します。営業という行為を仕組みにするというと難しいように感じますが、「営業ステージ」とその「標準タスク」の組み合わせをつくるだけになります。

営業活動の仕組みをつくることで営業部員は、どの段階になったら、どのようなことをしなくてはならない、ということがわかるようになります。お客さまに対して、営業活動の仕組みで定められた「営業ステージ」における「標準タスク」を次々にこなしていくことで、売れる営業活動を仕組みとして学びます。仕組みの主語は自社の営業部員です。だから営業部員は仕組みの「標準タスク」を自分でこなさなくてはならないのです。

仕組みは営業のマニュアルのようなものです。まだ営業経験の浅い営業部員でも、やることをやれば十分に成果をあげることができるため、本人の成長につながります


「営業ステージ」をつくる

営業活動の仕組み化では、「営業ステージ」をつくることから始めましょう。受注活動を、商談の進度にあわせていくつかの「営業ステージ」に分けます。受注活動は、業界や取り扱う製品、お客さまの慣習によって若干異なることがありますが、およそやるべきことと、やるべき順番が決まっています。「営業ステージ」をつくることに不安があるなら、社内のベテラン営業部員に話を聞きながら、「営業ステージ」をおおよそ決めてしまいましょう。

営業ステージの例

図は一般な「営業ステージ」の例です。受注を除いて営業プロセスを五つの「営業ステージ」に分けました。初めて「営業ステージ」をつくるときは、図のように3から5くらいに分けることをお勧めします。

「営業ステージ」が多すぎると、営業部員が「営業ステージ」をより詳細に理解しやすくなる一方で、覚えることが多くなりすぎて覚えにくいという問題が生じます。もちろん営業管理職が営業を管理する上では、「この場合はこちらで良いですか?」という営業部門から多くなることで、営業管理職の頭を悩ませます。複雑かつ煩雑な運用は、営業部員に対して営業の仕組み化の定着を妨げることになるため、最初は3〜5くらいの「営業ステージ」の設定が経験的に適切であると考えています。「営業ステージ」の数は、営業管理職として「ちょっと少ないかなぁ」、と思うくらいがちょうど良いのです。

しばらく仕組みを運用してから問題が生じて、AとBの「営業ステージ」を分けたいと思ったなら、その時に「営業ステージ」を分ければ問題ありません。「特定の『営業ステージ』にタスクが多すぎる」「『営業ステージ』を細分して商談の歩留の箇所を見たい」などの理由が原因で「営業ステージ」を分けることになると思います。明確な理由があって「営業ステージ」を分けることは問題ありませんが、営業管理職の好みや勘だけで「営業ステージ」を細かく設定しないようにしましょう。

「営業ステージ」が少なすぎるという例はあまり見たことがありませんが、もし少なすぎる場合には、特定の「営業ステージ」に対してやるべきことが増えすぎてしまいます。この場合も営業部員にとって業務がなかなか覚えられなくなるか、本来はやるべき「標準タスク」が漏れてしまうため、営業部員が仕組みどおりに業務をしても成果を出せなくなります。


「標準タスク」の設定方法

「営業ステージ」の次は、各ステージで営業部員が行うべき「標準タスク」を決めます。

「標準タスク」の設定は、およそ決まりきったタスクを、ポストイットなどを使って洗い出しましょう。重複や漏れを避けるためにポストイットで「標準タスク」整理すると便利です。ベテランの営業部員に意見をいただくことも重要です。

「標準タスク」は、誰でも実行できることを選びます。例えば、「見積りのためのお客さまヒアリングをする」、「見積りの社内承認を取る」、「提案のための面談に先方の上席の同席を依頼する」などが、誰でも実行できるタスクになります。「提案のための面談に先方の上席を同席させる」というタスクは必ず実行できるとは限りません。もちろん、これが実現できることが望ましいですが、実現できないといつまでもその「営業ステージ」をクリアできないことになります。

「標準タスク」は100以上出すことも可能です。初回は重要かつ誰でも実行可能なものに限定して50以内に絞り込むことをお勧めします。あまりに細かいタスクが増えすぎると、営業管理職による監督が煩わしくなるだけでなく、営業部員にとっても覚えにくく業務に定着しにくくなります。
まずは営業部員にこの新しい行動を定着させることが第一目標ですので、「標準タスク」は50程度にとどめることが重要です。

標準タスクの例

上の図は、「営業ステージ」と「標準タスク」をまとめた例です。「標準タスク」が50程度になるようにまとめました。これでも結構多く感じるかと思います。

ある「営業ステージ」から次の「営業ステージ」に移行するためには、ある段階での「標準タスク」が全て完了していることが条件になります。

「標準タスク」を決める途中で、再び「営業ステージ」を調整したいと思うことがあります。もちろん「営業ステージ」を調整していただいて構いません。それぞれを決める作業の行き来が発生することはよくあります。これを繰り返しながら最後に、それぞれの「標準タスク」と「営業ステージ」と紐づけて整理します。

進め方は、みなさんが一番やりやすい方法で柔軟に対応してください。


初期の仕組みは30点くらいの完成度で

営業活動の仕組み化のための「営業ステージ」と「標準タスク」は、最初から完璧につくる必要はありません。最初は30点くらいの完成度で十分です。こう説明しても、みなさん相当な時間をかけて百点に近い完成度を求めてしまうのです。あえて強調する意味で繰り返します。最初は30点くらいの完成度の仕組みで十分です。

営業部員と営業管理職の双方からのフィードバックをもらいながら、営業管理職として営業全体の活動状況が把握しやすくて、営業部員としても使いやすい、という点で改善をします。改善することが前提であれば、最初は三十点の完成度で十分なのです。

営業部員と営業管理職からフィードバックをもらうことで、営業部員も営業管理職も「営業ステージ」と「標準タスク」をもっと良くするために真剣に考えていただけるようになり、現場を巻き込んだ受注活動の仕組みの改善につながるためメリットがあります。

「営業ステージ」と「標準タスク」は、それをつくる人たちのものではありません。それを利用する営業部員と営業管理職のためのものです。つくることで満足しないようにしましょう。営業部員がみなさんの会社の営業の仕組みを実行できるかどうかが大事です。実行できるかどうかは、実際にやってみないとわからないものです。

「営業ステージ」と「標準タスク」は数日をかけて大掛かりに考えるよりも、数時間の営業部員へのヒアリングと、数回の一時間程度の会議で仕上げるくらいに留めましょう。

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