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営業DXの基本である、覚えておきたいメルマガの基礎知識

おはようございます。
カイロスマーケティングで代表を務めております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

先日開催した経営者の営業DX勉強会でも、メルマガが話題になりました。いまさらメルマガと言えるかもしれないのですが、されどメルマガなんです。営業が忙しくてなかなか会えないお客さま、あの製品をご購入いただいているけどこの製品に興味を持っていただきたいお客さま、などメルマガで情報をお届けするべきお客さまがいます。

さて、本記事は、こちらの記事の続きです。

お客さまには、どんなメルマガを送れば良いのか

デジタル顧客カルテ」をつくったら、メルマガを始めます。メルマガで届けるべきは、お客さまの事業や業務の役に立つ情報です。決して売り込みすぎてはいけません。売り込みとは売り手の一方的な行為であり、売り込みを通じてお客さまと良い関係を築くことにはなりません。みなさんも企業からのメルマガを受け取る機会があるでしょう。商品紹介だけの売り込みが強いメルマガが勝手に届くことにうんざりしていると思います。

しかし、いざメルマガの読者の立場からメルマガを企画する立場に変わると、売り込みが強いメルマガを企画してしまうのです。マーケティングによって新たな商談をつくらなくてはならない、と思うと、どうしても意気込んで売りっ気が強いメルマガを企画してしまうのです。当社でも、当社のお客さまでもこの事象を数多くみてきました。例外なく、相当な売り込みの強いメルマガを書く傾向にあります。

繰り返しになりますが、見込みのお客さまが欲しい情報とは、事業や業務のヒントになるお役立ち情報です。お役立ち情報をお客さまに読んでいただくことを通じて、見込みのお客さまと良い関係を築くと同時あなたの商品や会社を覚えてもらうことです。ここを注意してください。とにかくメルマガでは売り込まずにお役立ち情報を届けることです。これくらい繰り返し伝えても、やはり売り込みのためのメルマガになってしまうのです。

では、何がお客さまの役に立つ情報なのでしょうか。


我が社にはそんなお役立ち情報などない、という声もよくうかがいます。ほぼ全てのお客さまがこう言います。しかし、詳しく話を聞いてみると、ほぼ全ての会社で、社内に見込みのお客さまにとって役にたつ情報がたくさんあります。

みなさんの事業領域においては、みなさんは専門家になります。専門家ゆえに、お客さまよりもみなさんの方が知見やノウハウをたくさん持っています。そして、お客さまとみなさんの会社の知見やノウハウの差分が、事業における利益を生み出しているのです。この知見やノウハウの差分が、お客さまにとってのお役立ち情報であり、それを読んでお客さまが「これは役に立つ!」と思っていただけるようになるのです。

専門家であるがゆえに、「こんな情報がお客さまの役に立つのだろうか?」と思えてしまうのです。


お客さまが商品を選ぶ基準のうち、商品に関係のあるものは、メルマガのネタとして活用が可能です。それがお客さまにとっての役に立つ情報になります。

例えば製造業であれば、特定の部品や素材に関する知見や市場の動向などがあります。「暗い色で光沢がない素材は高級感がある」「〇〇という素材の世界的な高騰により、代替品としてこんな素材が考えられる」などがあげられます。これらは、みなさんにとってあたりまえのことです。しかしこれらの情報は専門領域であり、お客さまにとっては新鮮かつ役に立つ情報なのです。

「こんな情報が役に立つのか?」と思えるでしょう。でも勇気を出してメルマガのネタとして見込みのお客さまにお届けください。売り込みでなければ、お客さまに怒られることはありません。もちろん、お客さまに不快に思われることもないでしょう。


いざメルマガを書こうとしても、なかなか書くべき内容が思いつかないことがあります。そんな時に役立つ方法とは、そのメルマガをある特定のお客さまに送る想定をすることです。

特定のお客さまとは、〇〇株式会社の〇〇さんくらいに具体に想定して、このお客さまにとって役に立つ情報は何かを考えます。お客さま名は、過去の商談で会ったお客さまあたりで考えると良いでしょう。「あの時、こんな情報を伝えたら喜んでたなぁ」などの自身の体験からメルマガの内容を考えると、メルマガで書くべき内容がすぐに思い浮かんできます。

それでもメルマガで書く内容に悩む場合には、営業部員と立ち話でもしてみましょう。営業部員には、「最近お客さまとどんな話をしましたか?」や「お客さまが、『へぇ〜』って感銘を受けた情報ってありますか?」などの軽いもので十分です。この答えにヒントがたくさんあるはずです。


カイロスマーケティングでもマーケティングの施策として、十年以上もメルマガをお届けし続けています。「いつもメルマガを読んでいます!」とか「いつも役に立つ情報を届けてくれてありがとうございます」「メルマガで勉強しています」などの感謝のお言葉をよくいただきます。ある意味での当社のメルマガのファンです。そして、いつか検討の機会がある際には、当社の商品も検討候補に入れていただけます。購入前からファンであるお客さまは、購入した後にはロイヤルカスタマーになり、長きに渡ってあなたの商品を愛用してくれます。

一方で、あるメルマガを読んだだけでご購入いただいたお客さまは記憶にありません。メルマガの文章だけではすぐに売れない現実があります。

メルマガではあなたの商品は売れません。しかしあなたのメルマガのファンになってくれる見込みのお客さまはいます。購入前からのファンは、購入後にロイヤルカスタマーになる可能性が高くなります。メルマガのこの特性を覚えておきましょう。


メルマガの7つの基本をおさえよう

メルマガを手がける上で守っていただきたいことを7つの基本としてまとめました。ここでは、メルマガの基本となる、頻度、時間帯、内容、CTA、文量、件名、目指すべき成果、の7つの基本について説明します。

メルマガの基本をまとめるだけで一冊の書籍になります。ここでは要点のみを簡潔にまとめます。


メルマガの7つの基本要素

メルマガを送る頻度

メルマガをお届けする頻度は、まずは二週間に一度くらいを目指しましょう。少なくとも月に一回はメルマガを届けることを目指しましょう。メルマガがお客さまに届くことで、あなたの会社や商品を覚えていただける効果を考えると、二週間に一度、最低でも月に一回が目安になるでしょう。

メルマガを送るべき時間帯

メルマガの配信時間は、多くの人がメールを開封する時間帯の直前が最適です。お客さまがメールの受信箱を開いた時に、受信箱の上部にあなたのメルマガがあることが望ましいという考えが背景にあります。

法人の見込みのお客さま向けのメルマガであれば、出勤直前の朝9時前、昼休み直後の13時頃、退勤前の16時過ぎなどがゴールデンタイムであることが、十年以上の当社のメルマガの経験からわかっています。ご参考になれば幸いです。

メルマガの内容

メルマガの内容は、メルマガでは強く売り込まない、がメルマガの原則です。見込みのお客さまにとって役に立つ情報を届け続けることで、あなたのメルマガのファンになっていただけるようにしましょう。

また、一通のメルマガには一つのテーマに限定します。複数のテーマを一つのメルマガに詰め込まないようにしましょう。メルマガの件名を決めにくいだけでなく、文量も増え、そして伝えたいことがぼやけてしまうからです。


お客さまにとっていただきたい行動(CTA)の設定

メルマガを読んだ後にお客さまにとっていただく行動を考えます。メルマガではこれが最も重要です。法人向けのメルマガの場合、以下の三つのうちのいずれかの行動をうながすようなメルマガ本文にしましょう。

①メルマガにご返信いただく
②メルマガ本文内のリンク先の資料をダウンロードしていただく(ページを見ていただく、セミナーに登録いただく、など)
③メルマガの内容を業務で実践していただく

メルマガの最適な文量

メルマガで最適な文量は、およそ3分以内でメルマガを読み切れることです。業務の合間にお客さまがメルマガを読むことを考えると、これは妥当な数字だと言えます。

人間が平均的に一分あたりに読む文字の量が500文字と言われています。よって、メルマガは1,500文字以内することが望ましいと言えます。


メルマガの件名

メルマガの件名は、メルマガの本文の内容を適切に表現しているべきです。およそ30文字以内にまとめてください。メルマガの件名が長くなる場合には、件名の文頭にキーワードも持ってくるようにします。


メルマガで目指すべき成果

メルマガで目指すべき成果の指標に、メルマガ開封率およびメルマガ本文のリンクをクリックしてくれた割合を示すクリックスルー率(CTR)があります。メルマガの開封率は三十%以上、CTRは二%以上を狙いたいところです。

メルマガの開封率やCTRの計測にはMAツールが必要になります。


短時間でメルマガが書くために

いざメルマガを始めようとすると、人目をひくキャッチなメルマガの件名と、美しいデザインのメール本文が必要であると考えがちです。小さな組織のマーケティングでは、必要以上にメルマガの件名とデザインを磨き上げる必要はありません。むしろ手を抜くくらいに考えた方が良いと考えています。

メルマガの開封率を左右する要素には、メルマガの件名と差出人があります。メルマガ受信者がメールの受信箱で見つける情報は、メルマガの件名と差出人だからです。

メルマガの差出人は会社や商品名よりも個人名の方が、メルマガの開封率が高くなると言われています。会社名や商品名ではなくて、個人の名前を差出人に設定しましょう。毎回同じ差出人からメルマガが届くことで、メルマガを覚えてくれる効果もあります。メルマガの件名は毎回変わりますが、差出人は変えない方が認知という点では効果があります


メルマガの件名は、メルマガの開封率にとって重要ではあるものの、必要以上に「ポエム風」にする必要は無いと考えています。メルマガの件名は、メルマガの内容を正しく事務的に30字以内でまとめられていれば十分です。日本語の表現にこだわり、あれこれと考えることも重要ですが、それよりも二週間に一度の頻度でメルマガを届けることの方が重要です。メルマガの件名は身の丈ほどかつ誠実に書けば十分です。

メルマガの件名には日本語としてあいまいな表現を避けるようにします。例えば、「管理」「〜の件」「便利な」「かんたん」など、どのようにも意味がとれる単語を使わないようにします。書き手にとって便利な表現ですが、読み手にとっては意味があいまいになるため、その意味はわかるものの心が動きません。読み手の心が動かなければ、次の行動につながらないからです。

メルマガでも、「〇〇株式会社メルマガ第57号」などはNGです。お客さまにとって、そのメルマガは第何号であっても構いません。メルマガを自分の受信箱に保存するお客さまが一定数おり、ある情報を探すときにメルマガを検索します。メルマガの送り手としては、検索するキーワードになるようなメルマガの件名にしておくべきなのです。


メルマガのデザインは、MAツールなどのメルマガ機能で用意されているテンプレートを使いましょう。大手企業などで自社のブランドが重要である企業をのぞいて、メルマガのデザインのために外部の専門家にお願いする必要はないでしょう。メルマガの制作代行はメルマガ一通につき十万円以上の費用がかかることが一般的です。

メルマガのデザインにこだわるよりも、むしろメルマガのデザインをサボるくらいに考えておくと良いでしょう。その分、メルマガの企画や内容に時間をかけてください。

メルマガ本文は、デザインよりも、メルマガ開封時に読み手の画面に表示されるファーストビューに一番伝えたいことが入ってくることが重要です。


知っておきたいメルマガの約束事

メルマガでは個人情報の取り扱いに注意しましょう。社会情勢の変化から、個人情報の取り扱いはここ10年の間に相当に厳しくなりました。基本的なメルマガの約束事を覚えて、お客さまに迷惑をかけないメルマガの運用を心がけてください。


メルマガを届ける時には、MAツールなどの専用の仕組みをつかってください。仕事でつかっているメールソフトでメルマガを運用しないようにしましょう。特にToやCcに送信先となるメールアドレスを書いてしまうことは避けてください。知らない人にある別の人のメールアドレスが見えてしまうことは、個人情報の漏洩にあたり、個人情報保護法に違反します。


メルマガには送信メールごとにオプトアウトを設定します。こちらも法律で定められていることになります。オプトアウトとは、メルマガの受信者が自らの意思で受信を停止するための仕組みです。メルマガの最下部にそのリンクをクリックすると、オプトアウトの手続きが自動でできるようにしておきます。MAツールを使ってメルマガの配信をしているなら、MAツールの機能でオプトアウトのための仕組みを各メルマガに設定することができます。

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