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夏の一コマ ディズニー特別編【夢の国から手を振りたい】


耳は、買わなかったけど。

初めてディズニーに行ったのは、

私が初めてディズニーに行ったのは、東京ディズニーランド開園5周年の時だったらしい。
小学校低学年の時。弟はまだ未就学児だった。

今回は、私にとっておよそ15年ぶりのディズニー。関西に住んでいるものだから、プライベートはもちろん仕事(生徒の引率)を含めるとその間何度となくUSJユニバには訪れている。
そりゃユニバだって楽しいしワクワクするし、このために遠方からはるばる大阪まで遊びに来てくれるのもすごーくよく分かるんだけれど、やっぱり、ディズニーと聞いた時のワクワクには敵わない。
なんでだろう?


おおよそ35年ほど前の初ディズニー。
父と私はホーンテッド・マンションに乗った。初めての「洋風」お化け屋敷だった。弟は幼くてまだ乗れなかったので、待機していた母は、父と交代して自分も乗りたいと言った。でもそのためには私がもう一度乗らなくてはならなくなる。
私がどうしてもニ回目は嫌だと言い張り、母は諦めたものの、とても残念そうだった。

今では私も大好きなアトラクションになった。
いちばんお気に入りなのは、幽霊たちが舞い踊る舞踏会で、楽しそうにオルガンを弾いてるゴーストだ。
あの時、もう一度、母と乗ってあげたらよかったなと思う。
‥別に、それが母の最後のディズニーというわけではなかったけど、今になってふと思う。


両親が家に買ったお土産の中に、ディズニーランドのサウンドトラックのカセットテープがあった。「きらめく昼下がり」(不思議の国のアリス)、「もう糸はいらない(自由ってやつは)」(ピノキオ)‥今でも口ずさむことができる。
その中に、ホーンテッドマンションの「グリム・グリニング・ゴースト」もあった。

単なるワクワクだけじゃない、ディズニーランドという場所への思い入れは、私の場合、高確率で、幼い頃に聴いていた音楽と結びついていると気がつく。


ディズニープリンセスで誰が一番好きかと言われたら、

多分、ベルと答える。

今回、ランドが1日目、翌日にディズニー・シー。並ぶのは大変だけど、できるだけ無料で(有料パスは控える)というのが夫との共通認識だったので、入場して最初に向かったのがランドで人気の「美女と野獣」だった。
私にとっても夫にとっても初めてのアトラクション。事前にloveheartさんからおすすめしてもらっていたこともあって、かなりの期待感だった。
実際、入場直後から続々と人が集まってきていた。

あのアニメを初めて観た時の、驚きと感動と言ったら。ベルと野獣が踊るシーン、お城のホールの臨場感。あの時感じたのを〝没入感〟というのかも知れない。今まで味わったことのない魅せ方だった。

そして何故だか、魔法が解けて野獣が元の姿に戻った時に、ちょっとがっかりした。私だけだろうか?
欧米の人が抱くハンサムな王子像と私の好みは、タイプが全然違ってたみたい。
実写版のシンデレラを見た時にも思ったけど‥人間のイケメン王子様より野獣の方が魅力的に思えたのだ。
ともあれ、

乗り終わって出てきた時の満足感は、まるまる映画一本分を観た時のようだった。いや、映画の中に入り込んで、その場で一緒に体験している感覚。
ため息と、良かったという言葉しか出てこない大人2名‥
普段、感動<面白さ 重視のボーイズは?と顔を見ると、キラキラした目で「すごかったー!面白かった!」と言う。映画ちゃんと見てた?話覚えてる?って思ってた小学生男子が、すごかったなー、感動したなーと言いながら歩いている。

良かった。なんかもう、その顔だけで、来て良かったなって、思った。

‥泣いてたの私だけだったけど。
感動したらすぐ涙が出てくるんだよ‥


ほんとにリアル。
今の子どもたちってこれが当たり前だと思ってるんだよね‥


こういうの好き



お城の感動冷めやらぬ中、次の目的地へと向かう。夫が張り切って、アプリで空いているお目当てのアトラクションを探すから、エリアがあっちこっちしてなかなかに忙しい。


今回の滞在中の大きな大きな目標が、
◯熱中症にならない ことと、
◯家族ケンカをしない こと。
表向き、これはすぐケンカをおっ始めるボーイズに、仲良く楽しくまわるための目標だと言い聞かせていたものの、実は自分(と夫)への戒めでもあった。
どんなに楽しいお出かけでも、普段と違う活動は絶対疲れてイライラしてくる。ましてこれだけの暑さの中、待ち時間だってあるし、子どもたちが小競り合いをしない、訳はない。不平不満だって言うだろう。でも、注意はするけど、疲れてきて感情的に怒ったり文句言ったりするのは(できるだけ)しない!それを心がけた。
実際は、途中でお互いチマチマと愚痴ったりしたけど(したんかい)。でも、ちゃんと文句の後は最後に笑って、ダメだと思ったら何か美味しいものを補給した。
「あの時、ママとパパがめっちゃ怒ってた旅行」には絶対しないぞと強く思っていた。


旅行って、お互いの価値観や本性があらわになる絶好のチャンスだと思う。

「ママにだまされた!」

スペース・マウンテン

スペース・マウンテン。

降りてくるなり、
「怖くないって言ったやんか。ママにだまされた」と怒られた(何故か、乗ったことがあるはずの夫にまで言われた)。

だって、無理かなと思ってたのに、次男まで、勢いで「乗れそう、乗ってみる!」って言うから‥
暗闇の中で走るし、外の景色見えないからそんなに怖くないと思ったから‥
それに、今回はこれがファイナルイグニション!7月いっぱいで一時休止になって、次乗れるのは数年後っていうから‥

私は忘れていた。
前回乗った時、私はまだ体力も回復力もバリバリの20代だったということを。
今や近所のブランコでも酔うってことを、失念してました。

走り出してしばらくして、あまりのスピード感に慄いた。隣に乗った長男が宇宙の暗闇の中に飛ばされないように、握っているバーの隣の手の感触を必死で確かめていた。
その時、後ろで夫と並んで乗っているはずの次男は、もしかしたらもうこの急カーブに耐えきれずどこかに落ちてしまったかも知れないと思うと、乗っている間の数分間が長くて怖くて仕方なかった。

降りて数日経ってから、分かった。
恐怖の正体は、今の私にとって、自分の身が安全であるかということよりも、我が子の命の安全が自分では確保できないという時に生じるものだったのか‥。

「怖すぎ!もう、何とかマウンテンってやつは、怖いから絶対乗らへん!」
スプラッシュ・マウンテンも、ビックサンダー・マウンテンも、そこからもう近寄りもしないボーイズ。
スプラッシュ・マウンテンはいけると思うけどなー。最初動物とか出てくるよ。可愛いし。怖いの最後だけやで。水かかって涼しいかもよ!
「もうママの言うこと信じへんし」
返す言葉なし。

でも、みんなしてフラフラで出てきて、いかにスペース・マウンテンが怖かったかを口々に言い合いっこしてるのは、それはそれでこの旅のハイライトだった気もする。

楽しかったよね?


こんなところに住みたいな


アトラクションを回るのを重視したので、ショーはほとんど見られなかったけど、並んでいる間遠目に楽しめた!やったね。


ジャングル・クルーズ
実写版の映画まだ観てないけど、面白そう。
象さんは涼しそうだけど、人間は暑かったよ‥



夫は、(ボーイズ同様スペース・マウンテンで酔ってヘロヘロではあったものの)トゥモローランドのエリアがお気に入りの様子だった。
スターツアーズ」では、自分がいちばん期待していた、ダースベイダーが出てくるパターンじゃなかった、と言って残念がっていたけど(映像が何と60通りほどあるらしい‥!)、最初全く興味のなさそうだった長男が「スター・ウォーズって、面白いん?今度観てみよっかなー」と言っていたのが大収穫。見よ、見よ!見るんだったらマーク・ハミルの4から順番にね!

そんな子どもたちは、いちばん日差しのきつい午後の時間帯、トゥーンタウンで遊びまくっていた。出入り自由の遊具。これ幸いと、大人たちは近くのカフェで軽食を食べながら休憩させてもらう。

ボーイズ二人、身長制限も、年齢制限も、もうほとんど心配する必要はなくなった。彼らだけで乗り物に乗れるようになった。ここに居るからね。そう伝えてさえいれば、安心して延々エリア内で遊んでいる。
意外と、揉めたりすることもなく二人くっついたり離れたりしながら回っているようで、年の離れた弟しかいなかった私は、そんな遊び方はしたことないなぁと、改めて思う。
早く戻ってこないと、このマンゴー入りフロート、パパと二人で飲み終わっちゃうよ。
少しだけ残しておいた。戻ってきてずるいとも言わずに一口ずつ飲んで、次どこ行く?と聞いてきた。休憩せんでいいの?

私は、やっぱりファンタジーランドが好きだ。
いちばん初めに、連れてきてもらったディズニーでの思い出も、ほぼここに集中している。
ホーンテッド・マンション」にも乗った。次男は最初、長男と乗る!と強気だったので、じゃあママとパパがペアね、と言っていたのに、直前になってビビったらしく私の隣におさまった。

世の中の非情なこととか、夢見てるばかりではいられない現実とか。平和なアトラクションに乗っている間に、ふと冷静になり頭をよぎることもある。この世界ランドは作られた夢の国かも知れない。それでも、やっぱり、子どもたちには大きな声で歌ってほしいし、一緒に歌いたい。胸を張って伝えたい。

「世界はまるい ただ一つ」って。

たまたま私たちの前に並んでいた若い男性が、「イッツ・ア・スモールワールド」を一人で静かに楽しんでいた。よいなと思った。


プーさんのハニー・ハント
我が家にある、もう表紙がぼろぼろの絵本は実家からきたもの。弟の名前が書いてあった。
途中の悪夢のシーン、ズオウとヒイタチはかなりシュールだった。確かダンボにもこんなシーンあったよね。

帰宅後、彼らはこの絵本を読み返し、
私は映画「プーと大人になったぼく」を観た。


本当は、ファンタジーランドと競うくらい、ウェスタンランドの雰囲気も好きなんだけれど‥
暑すぎて、家族3人から「もう無理です」との申し出があったので、おとなしく写真だけ撮る。

次は絶対行こうと思う。
できれば本当のアメリカに!


おとなになっても、絶対に大丈夫やで

トイ・ストーリー・マニア


2日目、ディズニーシーでは、ランドに比べ乗り物はそんなにチェックしていなかった。
昨日のスペースマウンテンの反省を踏まえて、彼らは絶叫系の乗り物は名前さえ口にしない。
その代わり、時間に余裕があったこともあり、気に入ったアトラクションに何度も並んで乗る作戦になった。アトラクションの名は、「トイ・ストーリー・マニア」。

建物(ウッディのお口の中)に入ると、そこはアンディの遊ぶ子ども部屋のような作りになっている。そしてなんと、アトラクションは次々スタイルが変わるシューティング・ゲームの中!ゲーム大好きボーイズが気に入らないはずがない。ママはさっき何点取った?オレは次こそ何点目指す!と、鼻息も荒く、結局、滞在中3回も並んで乗った。

私は、一回ずついろんなもの・初めてのものに挑戦したいタイプなんだけど‥子どもたちは、何度だって飽きずに、繰り返し好きなものを楽しみ尽くしたいらしい。
子どもはそうやって、着実に自分の実にしていくんだろう。大人は、残り時間とかを考えてしまうから、もう、なかなかそんな風には遊べない。
でも、ママも3回目がいちばん点数高かったよ!
過去の自分に勝ったよ👍

帰宅して、翌日に「トイ・ストーリー」をレンタルして、家族全員観て感動していたら、なんと翌日金曜ロードショーで放送されていた。
翌週、録画したトイストーリー2と、そこからまた借りに行ったトイストーリー3も続けて観た後。
長男がぽつりとこぼした。
「オレも、大学生になったらおもちゃで遊ばなくなって、捨てたりするんかなぁ」
まぁ、元々君はそんなにおもちゃで遊ぶタイプではないけどね。(どちらかと言うと漫画やタブレット、ゲームが大好き)

むしろ反応が気になるのは、ぬいぐるみの家族を何人も可愛がっている多頭飼いの次男の方だ。
「大丈夫!オレは大人になっても、絶対、捨てたり、誰かにあげたりしないから!プーちゃんも、くまっぴーも、安心して。心配しないでいいからね!」
だそうです。


アリエルのプレイ・グラウンド
外は暑すぎたので、この中でだいぶ時間過ごしました
ボーイズにとっても、めちゃめちゃ楽しかったらしい。夏の最中、休憩におすすめです。
外から見たこのデザインも、そして中の造形もとっても素敵。



悲鳴が響き渡っていた「センター・オブ・ジ・アース」家族全員、眺めるだけで終わった。
乗らなくても、こんな景色の中にいるだけで楽しい。

海底二万マイル」には乗ってみた。6人で1グループの乗り物だったので、我が家と若いカップルという組み合わせになった。騒がしくてすいませんでした‥。

最近ジュール・ベルヌの原作本を読み始めてみた。結構長い‥。でも面白い予感がする。
閉所恐怖症の人にとったら、海の底、そして狭い潜水艇の中というシチュエーションこそ恐怖なんだろうなぁ。


インディ・ジョーンズ」!
これも次男をだまして乗せた(ごめん)。でも最高に楽しかった!もう一回乗りたかった‥
乗ってる間中、彼は一度たりとも顔を上げようとしなかった。面白いんだけどなぁ‥

長男は、スピード速くて風が涼しかった!とのこと。また映画見ようね。


空も飛べるはず

ソアリン


夕方が近づいて来た。
この日私がいちばん楽しみにしていた「ソアリン」へ。
なかなか待ち時間が60分を切らないので後回しになっていたが、ここで乗らずにもっと混んでしまったら、絶対後悔すると、意を決して並ぶ。
と言うか、ボーイズが回転木馬キャラバンカルーセルに乗りたいと、えらく可愛らしいことを言い出したので、子どもたちがそれに乗っている間、夫が先に並び始めてくれていた。
下で見ていると、次男が私を見つけ、一周するたび手を振ってくれる。
可愛い。
何周もするから何回も探したというのに、長男が見つけられず一度も手を振れなかった。内側にいたらしい。残念!


ちなみにボーイズはランドでもキャッスルカルーセルに乗っていた。
そっちには私も乗ったのだが、あんまりにも回るので最後は軽く酔った。
大人になると、白馬でさえ酔う。
純粋に楽しめることが減ってしまって、何だか切ない。


次男は、ソアリンは空を飛ぶアトラクションなんだってと聞いて、ガイドブックの写真を見てまた絶叫系なのかと警戒し、ギリギリまで「オレは乗らない!」と言い張っていたが(今まで散々ママのせいで怖い目にあったから。ごめんね)、何とか機嫌をなおして並んでくれた。きみだけ乗らなかったらきっとみんな心残りになってしまうだろうから、一緒にいけて良かった。
待ち時間、しりとりをしたり、ディズニー古今東西(何それ)をして過ごした。


空を飛ぶ。
飛行機に乗る、でもなく、高いところから落下するでもなくて、空を飛ぶ。
それは、憧れだ。

独身の時、何度かパラセイリングをしたことがある。あの感覚が、いちばん自分が思う「空を飛ぶ」に近い気がする。
それにしても、沖縄はともかく、言葉も本当に通じてるんだかどうだか微妙な海外で、お金を払って、あんな体験によくチャレンジできたなと思う。今なら躊躇ってしまっていただろう。でもあの時、私は、本当に空を飛んでいる!と思った。

そして、今回、その時と同じ気持ちを味わった。
" I'm soaringソアリン .(舞い上がる)"


隣にいるボーイズが息をのむのが分かった。ふわりと足が地面を離れた。サバンナの草の匂いが鼻をくすぐった。ホッキョクグマの親子を眼下に見送った。
また私だけ泣いてしまっていた。
短い空の旅が終わり、私たちが乗っていたドリームフライヤーが現実世界に戻ってきた時、誰からともなく、その場にいた人たちから拍手が沸き起こった。その一体感に感動してまた涙出てきた。

なんか年々涙もろくなる。

家族の誰も絶対近寄らないし、面白そう?とも聞かない
その名はタワー・オブ・テラー、恐怖の塔


昼間の恐怖の塔は普通にかっこいい建物
このどこかにボーイズがいます(びしょびしょ)


日も暮れてきた。
昨日は夜を待たずして家族の疲れがピークに達し、ホテルに帰ってしまったから、今日は何としても最後までいたかった私。
ディズニーシーは、園内で結構高低差がある。残り滞在時間と疲労度を考えて、エレクトリック レールウェイに乗って食事予定のレストランに向かおうとする夫。
ふと、近くの広場に目が止まったボーイズ。
「歩いていく!その前に、ここで少し遊ぶ!」

そこは、一定時間経つと足元から水が吹き上がってくる、ずぶ濡れエリアだった。
午前中もアトラクションで水かかったけど、暑くてすぐ乾いたしな‥。
他にも子どもたちがいっぱい遊んでいてなんか楽しそうだし、もう夜が近づいてきてボーイズも名残惜しそうだし。ま、薄いけどタオルも持ってるし。と承諾した。
何より、無闇にこっちの都合で叱ったり決めつけたりしない、子どもたちにとってもほんとに楽しい旅行にしようと心に決めていたことを思い出した。
いいよー、行っておいで、その代わり5分か10分くらいやでと声をかける。

甘かった。
頭から足の先、パンツまで全身びしょ濡れで遊びまくっていた。
男の子たちは、地面から水がブワーッと噴き上がってくるそのポイントを狙い定めて真上に立ち、自分たちの大事なところを押さえてその時をまっている。5人ぐらいそんな遊びをしていた。
何だか見ていて笑けてきた。夢の国にまで来て何やってんのあんたたちは。
夫がトイレから出てきてそれを見て「何やってんねん」と呆れるものの、時すでに遅し。
陽が落ちたので服が乾かない。薄いタオル一枚ではなんの役にも立たなかった。レストランまで、ボトボトのTシャツを絞りながら歩く羽目になった。
「ちょっと寒くなってきた」という長男。それは知りません…!

大人も子どももお腹ぺこぺこ。夕飯の洋食プレートはめちゃめちゃ美味しかった!


この日は、念願の、最後のショー、ビリーヴまで残ることができた。少々お疲れだった夫も、席取りに頑張ってくれた。大迫力の音と映像のショー。どこを向いていいか分からないくらい。子どもたちにとって本当に初めての経験だ。

帰り、方向を間違って思いっきり遠回りしたけど、みんな、文句も言わずにシャトルバスの停留所まで歩いた。二日間、遊びきった。
もう、これで帰るだけになってしまったんだな‥

でも、頭の中には、モアナや、エルサ、ラプンツェルたちの歌声とキラキラした瞳が、いつまでも輝いていた。

いってらっしゃい いってきまーす

いくつものアトラクションに乗った。
それぞれの場所に、それぞれのキャストの人がいて、それぞれのかっこいいユニフォームを着て送り出してくれた。

誘導をしてくれる人、人数を確認してくれる人、注意事項の説明をしてくれる人。入園前からすでに炎天下を予想させる空の下で、にこやかに質問に答えてくれる人。ベルトは締まっているか、席についているか、最終の安全確認をしてくれる人。
みんな、行ってらっしゃい と、手を振ってくれる。

私もできるだけ、いってきますと手を振って返事をした。
さぁ、乗り込んで出発だ。
その景色を、余さず撮影して残したくなる気持ちも分かるけど‥キラキラした景色の中にいる自分たちの姿をずっと撮りたいのも分かるけど‥
途切れることのないお客さんに、常に笑顔で行ってらっしゃいと見送ってくれる、そのキャストの人たちを、無視してスマホに神経を集中しているのは、何だかとても残念なことのような気がしていた。
そんな人が多いことに今更ながら気がついた。

行ってらっしゃい、と手を振ってくれる。
行ってきます、と手を振る。

子どもの頃、家族でこうした遊園地に来たとき、だいたいいつもリアクションが大きめの母は、ジェットコースターでも予想通り絶叫をあげていた。
驚かせがいがあるのだろう、ユニバーサルスタジオでも、よくモンスターに後ろをつけられて悲鳴をあげたりしていた。本人の意思はともかく、全身で楽しんでいる感じが子どもながらに伝わってきた。
父はというと、その様子を隣で見てニヤニヤしている。

父は、普段から穏やかで、だいたいいつも冷静なタイプだ。
そんな父だが、アトラクションに乗りこむと、周りの知らない人にも平気でいってきまーすと手を振る。
観覧車がゆっくり昇っていく時、ジェットコースターが動きだした時、船が出港する時。今回だったら例えば、エレクトリックレイルウェイのような、観光鉄道など。
周りは当然、知らない観光客ばかりなのだけれど、父がにこにこと手を振ると、必ず、それを見つけて、手を振り返してくれる人たちがあちこちにいた。
母と比べて、そんなに社交的でも開放的でもないと思っていた父のそのアクションが、当時の私には印象的だった。


私も手を振る。
キャストのお兄さんが、優しい笑顔で大きく手を振って送り出してくれた。いってきまーす!
列に並んでいる、私たちの次に乗る人たちにも手を振ってみる。
みんな下を見つめていた。残念。またスマホなんだなぁ。もちろん、中には顔をあげている人もいるけど、なかなか知らない相手には手は振り返してくれない。日本だからそんなものかも知れない。

ただ、唯一、1日めのランドで、私に大きく手を振り返してくれた子どもたちがいた。
もう帰る間際、ウエスタンリバー鉄道に乗っていた時だった。

服装や髪型の感じから、何となく日本のお客さんじゃない気がした。遠目にだったが、歓声をあげながら、手を振りながら、走って見送ってくれた。
あの時、テーマパークで父に手を振り返してくれる人たちは、みんなみんな、この場所を楽しみに訪れた人たちばかりで、だから、知らないもの同士だけも、その楽しさを手を振って共有してるんだと、子どもの頃の私は理解していた。


楽しんでるー?
楽しんでるよー!
楽しんでねー!
手を振ってくれて、ありがとうねー!!

耳は、買わなかった。
私一人だけ買ってもな、と思ったし、家族全員分買うのはちょっとご予算的にためらわれたので。

その分、めっちゃ笑顔で写真を撮った。途中からもうとっくにお化粧なんて残ってなかったけど。ミッキーの耳に負けないだけのお土産を、いっぱい持って帰ってきた。
次は、買ってもいいかも知れないと思った。


次に行く時は、私は何歳だろう。何年後かわからない。
ボーイズが大きくなるのは早い。もう大きくなって、一緒に旅行は、ましてディズニーは来てくれないかも。彼らは彼らで友人や恋人と来るのかも。
そしたら、次来るのはもしかしたら夫と二人でかもしれないな。


クリスマスシーズンに来るのもいいなぁ。ハロウィン前のUSJには何度も行ったけど、その時期のディズニーには行ったことがない。まだまだ初めてのことだらけだ。まだまだ遊びたいところがたくさんある。
ホーンテッドマンションや、イッツアスモールワールドはまた乗りたいと思うのだろうな。50になっても60になっても、小学生だった私が怖かったあのエレベーターを、世界ってこんなに沢山の景色があるんだと思ったあのクルーズを、ワクワクしながらまた味わうのだろう。

乗り物にめっきり弱くなってしまった夫は、多分もうスペースマウンテンには並ばないだろうし、スプラッシュマウンテンも乗ってくれないかもしれない。
でも、そしたら、今回乗れなかったヴェネツィア・ゴンドラに乗ろう。残念ながら運休中だったカリブの海賊にも。
そして、ゴンドラから、海賊船から、笑顔で大きく手を振ろうと思う。



ディズニーから帰ってきて、1ヶ月しか経っていないのに、もうそんなことを考えている夏の終わり。

我が家の長い長いディズニー旅行記、
最後までお付き合いいただきありがとうございました!


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