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ファッションする日

子どもは時に、何の脈絡もなく質問してくる。

ママ、ファッションて、する?

え?
ファッションする?
‥興味ないわけじゃないんだけど、ママその分野は昔からちょっと苦手でー、
いや、この返事を期待されてる訳じゃないな、たぶん。

次男のキラキラした目を見て、気がついた。
私は着替え中。雨で寒くなりそうだから、中に一枚、余分に着込もうとしていたところ。
そして、この日は、日曜参観。

‥もしかして、ファッションするって、おしゃれするってこと?
「うん。耳に何か付けたり、する?」
‥した方がいいと思う?
「うん。して欲しい。」
‥り、了解。脈絡ない質問、ではなかった。彼の中では大いに関係あったのだ。

授業参観日のファッション!
参観日と言えば、お化粧をしていた母のイメージ。母は普段はお化粧はしない人だった。元々保育士だったこともあり、私や弟が小さい時は、ほっぺた触ったりもするし、と言って何も塗らないでいた。参観の日はいつもより白い顔に真っ赤な口紅で、後は、ちょっとおめかしした風のツーピース。どちらにしても昭和の参観日は、今よりもっと非・カジュアルだった。気がする。

長男からは、この手のリクエストはあまり聞いたことがない。実は思っているのかも知れないが、あまり服装やお洒落に対するこだわりがないタイプでは、と思う。朝も寝ぐせをピョコピョコさせて、頼むから直させてくれと、櫛を持って追いかけたが、面倒臭いからやだー、今度髪切りに行くーと言って逃げまくっていた。結局寝ぐせは直せぬまま登校した。授業参観では、後ろからでもヘアスタイルで見つけられるだろう。

次男はその辺こだわりがある男だ。私も夫も、どちらかと言うとおしゃれに疎いタイプなので、何故だか不思議。親がこんななので(どんな?)次男の着るものも基本普通なものばかりだが、今日はこのパーカーが良い、今日はこの帽子はヤダ、これにしていく、ズボンはこれが気に入ってるからここの(膝に空いた)穴直して欲しい、等々‥。家族の中で一番、ファッションに厳しいかも知れない。

そんな次男の頼み、しかも参観日なので、無下には出来ない。
リクエストは、耳か首に、何か付けてきて欲しいとのこと。
良かったー、何色の服がいいとか、フリフリの付いたブラウスがいいとかのリクエストでなくて‥。

私にも一応、着てて恥ずかしい、これならいけるというラインがある。何着てても胸張って堂々としてればいいのだけれど、根がお洒落でないことを自覚しているので、これ着たら何かフェミニン過ぎない‥?ちょっとガンバリすぎてる人に見えちゃわない??と、自意識過剰な私が顔を出してくる。こないだは、可愛いのも柄じゃないし、カジュアルすぎてもなぁと、無難なジャケットを羽織っていったら、普通に学校の先生だった。今日はそっちじゃないのに!

とりあえず綺麗めのニットに、いつか付けようと、9月頃ネットで買ったイヤリングを出してきた。
陽の目を見て良かった。次男が言ってくれなければ、結局恥ずかしくなって出さなかった、かも知れない。今日出してなければ、次はいつチャンスがあったか分からない。私にとってアクセサリーは、そんな感じの位置付けなのだ。

寒かったので上からフリースを着込んで出発する。

靴箱や廊下で、顔見知りのお母さんたちとすれ違って会釈する、手を振る。久しぶりーと言って分かれていく。
良かった。皆何か、目元やら上着やら、可愛い感じの人たちばかり(に見えてくる)。イヤリングが無くなっていないか、そっと耳元に手をやってみる。マスクにひっかかることもなく、ちゃんとそこにある。良かった。

次男は頑張って手を挙げていた。声もしっかり聞こえた。周りをキョロキョロすることもなかった。
長男も、手を挙げていた(らしい)。次男の発表を聞いてから見に行ったので、長男の発言を聞くのは間に合わなかったけど、廊下から覗き込んでみると、真剣に教科書を読んで何か考えていた。
寝ぐせは、全然目立ってなかった。

廊下に掲示されている全員の絵を見ながら、
図工嫌や、とか言ってたけど、一生懸命画面いっぱいに描いてるなぁとか、
お空の下の方に描いてるグルグル、何か分からないから帰ってきたら聞いてみようとか、
幼稚園で一緒だったお友だちの○○ちゃん、字綺麗やなぁとか、

もはやイヤリングのことなど忘れて、学校での子どもたちの姿をいっぱいお土産にした。

靴箱で、友だちと一緒に下りてきた次男と合流する。声、バッチリ聞こえたで。カッコよかったね。友だちにバイバイして、これまた友だちと喋りながらゆっくり来る長男を待つ。

長男の髪の毛はやっぱりとびはねていた。翌日は代休。でも床屋さんは休みかな‥。

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