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ぱっと見「和」のなかの現代性を持つ寺社建築-赤城神社

久々の投稿ですね。
最近神楽坂にある赤城神社に行って来まして、というか偶然街歩きしていたら神社を見つけて、入ってみたら隈さんの建て替えた神社だったという…

ただ、無目的に行っても「隈さんのじゃね?」と思わせてくれる隈さん節のがっつり効いた建築だと思います。(ポジティブな意味です笑)

なので今回は赤城神社の感想!を述べるだけなんですけども、これまでの日本の街並み的な建築論とも交えつつ見ていけたらなと…


軸線ズレとるやないかい!

赤城神社の鳥居をくぐると以外にもメインとなる寺社建築は見えてきません。
街のなかによくある神社とかは参道に対して正対してるものが多かったりして、鳥居をくぐるとすぐ目的の建築が見える構成が多いと思います。(筆者感想)
しかしながら、赤城神社は
①鳥居の軸線
②参道階段の軸線
③拝殿の軸線

この三つが絶妙にずれてるんですよね。
几帳面な人からしたら嫌がられそうな感じですが、このずれはある種日本の伝統的な技法に近しいものを感じましたね。
それが「奥」の概念です。
これに関しては芦原義信先生や、槇文彦先生といった著名な方々もその存在の希少性について論じており、
芦原先生では確か外部空間の設計?において、神社の空間的構成について述べていたような…
槇先生に関しても奥の思想?で、奥性という概念と、それによる見え隠れ、空間的な重層性が日本の街並みを形作るなど、奥という概念は日本独自の文化であると言われています。
実際、と英語で言うと何なのだろうと常日頃翻訳に苦しんでいる京子の頃ですが笑、奥というある種三次元的なベクトルが加わることがどう関連してくるのか。

まず鳥居をくぐって見えるのは長年愛されてきた大きな樹木(樹種は分からないです(´;ω;`)ウゥゥ)。
ですが生い茂る葉の隙間から参道の階段がレイヤーとして捉えられ、その揺らぎによる見え隠れが、先が続くことと空間的な儚さを感じさせてくれます。
参道の階段にたどり着くと今度は拝殿の屋根線がうっすらと階段頂上に現れます。
上るにつれて徐々に拝殿の全貌が明らかになっていきます。
階段は目地のある床材で、その目地通りいくと拝殿から軸がずれるのですが、階段そばに植えられている大きな樹木による空間的な圧迫感と、階段の扇形形状によって、階段の目地に対し逆らうような歩き方をしてしまいます。
ですがそれによって今度は拝殿の軸線に乗るようになり、拝殿にたどり着くまでに計三つの軸を通り、シークエンスの変化を楽しむことができるような構成になっていました。

どの軸線も、その先に何があるのかを抽象的に伝えてくれるため、ただの直線的な配置の中に体験の段階をいくつも作っているように感じました。

あっ、もくざい…風ね~


隈研吾先生と言えば木材や石材などの自然素材を惜しみなく使った温もりある建築が代名詞の印象ですが、この赤城神社も例に漏れることなく木材を前面から感じざるを得ません。

特に大黒柱かのような600mm角くらいの木の大きな柱が印象的です。
ただこの柱、よく見ると板材を四面に貼っているかのようなつなぎ目の隙間があったんですよね…後日調べたらS・RC造。やはり、
恐らくコンクリート柱に化粧板のように張り合わせて木材感を出しているのでしょう。(違うかも笑)

ただこの手法は悪いとは言いません。むしろそうすることで適度なスケール間で周囲の素材と見事にマッチしているんじゃないかと思ってます笑
というのも、そこの柱を見ると重厚感のあるマッスな印象を受けますが、その後ろは現代的なガラス張り。屋根も極限まで薄くしたような形状(おそらく金属系の屋根材に小幅板を載せてる?)と
かなり華奢な印象を感じます。
なので、
これ以上柱が太くなると、前面の圧迫感が強くなり、屋根や背後の本殿との質感的なバランスが保てないと思います。

そういう点で、強度のある素材を用いて理想的な太さを確保しつつ、木によりその表情をガラッとかえさせる。良い判断だと思います。

傾けるの好きね

最後に気になったのは装飾として用いられている素材の使い方です。
拝殿は角柱を45°回転させたひし形◇にしてルーバーのように用いていました。
□として配置するよりも光の当たり具合によって陰影の変化に多様さが生まれるため、非常に面白いなと思いました。

ただ、それだけでは飽き足らず、隣の集合住宅のファサードにも同様の角度を付けた部材を使用していました。
そこでちょっと狂気を感じたのは、その部材が全て同じ形状、というわけではなかったんですよ。

よく見るとL字のアルミ材だけでなく―形状のものや、L字を別な向きに回転させたものなど、ここに規則性はあるのか…と思わせるようなバリエーションに富んだファサードが構成されていました。

もちろんこれらのルーバーや、屋根材など随所に「直線の連続」が多用されており、集合住宅の基礎?部分にもタイルの色差を用いて直線の連続を付けていました。

総評!

一個人の学生が総評とかいうんじゃないよ、となると思いますが一応…
素晴らしい建築でした!

やはり参拝という一連の行動に対してのアプローチの仕方であったり、遠近による見え方の違いや細部の細やかさなど。
どの視点で見るかによって感じ取れることがいくらでもある建築でした。
特に今回は外観的な部分ばかり言っていましたが、拝殿内部の装飾も一見の価値あり!でした。

あくまで一個人の感想ですので、人によって感じ方は千差万別だと思います。それぞれ自分の感じ取り方で一度この赤城神社、参拝してみてほしいです。

今回は以上!おやすみなさい~


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