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読書感想文12

4月もとうに過ぎ去って、、今日は1月1日から数えて128日目になるそうで、1年の3分の1はとっくに終わってしまっているようだ。

なんということだ。

昨年度よりも授業が1つ増えて、学内の動きの中にセットされることも増えて、上半期中に会社を作る予定もしていて、物理的にも精神的にも昨年度より余裕がない。

そのぶんムッスメが1歳を取り(言い方www)、1人でできることがかなり増えたので(夜中にちゃんとトイレに起きるようになったし)そっちへ振り向けていたエネルギーをこっちに付け替えることもできるので、全体的になんとか回っている。

忙しい時ほど本を読もう、ということで、意地でも欠かしたくないのが読書の時間。というわけでちょっと大きめの本を読んだので、今日はその話。

山崎史郎『人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか 』
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名で体を表している。今後の日本の人口減少に対してどう対策を取るかということが書かれている。

とは言っても、硬くて難しくて謎の数式などがたくさん書いてあって威圧感たっぷりに読者を翻弄するタイプの解説書ではない。これは小説である。

霞ヶ関の役人たちが、ときの政府と共に人口減少問題に対応すべく人口減少対策のための制度と法案を作り上げ、それを内閣が法案として提出し、国会審議にかけられる、というところまでが描かれている。

著者の山崎氏も霞ヶ関の人で、現在内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。内閣官房とは、内閣総理大臣の補佐をする機関のことで、前総理大臣の菅さんが長官だった頃にマスコミで「菅官房長官菅官房長官」と日々報道されていたので響きが耳に残っている人も多いだろう。内閣官房参与とは、この内閣官房の中で働く人で、総理大臣のブレーン的役割を担っている人のことだ。山崎氏は社会保障・人口問題担当の内閣官房参与ということで、この問題のど真ん中にいる人だ。

この本は、そうした山崎氏のお仕事が一般の人たちにもわかる形で小説として描かれている。主に「内閣府」の中で、人口問題に対処するべくさまざまなアイデアが出されてその仕組みや必要なお金をどこから調達するか、などまさに今現実の政治の中で議論されている問題が取り上げられている。

この問題はちょうど国会で議論されている「子ども・子育て支援法改正」(加藤大臣がこっぴどくやられている動画がYouTubeにたくさん上がっている。あれは多分ああいう答弁をするしかないのだと想像するが、山崎氏はおそらくこうなることをわかっていたのだと思う。加藤大臣と山崎氏の心中を少し察する。)に関することと直接関係している。

本が書かれたのは2021年、まだコロナ真っ最中の頃。この本で書かれている人口減少対策と、現在審議中の改正案で言われていることはかなり似通っている。おそらく同様のアイデアはずっと内閣というか霞ヶ関というか、政府の内部では検討されていたのだろうと思う。

つい先日の4月19日に衆議院を通過した改正案は、参議院に送られて、多分可決されることになるので、岸田内閣による人口減少対策が今後いよいよ走り出すことになる。現在議論中の政策の内容とこの本で提案されている制度の内容を比べて考えてみるのもいいだろうし、何より問題の本質についてかなり詳細な説明がなされているので、人口減少について深く考えてみたい人にはとても勉強になる本だと思う。また、個人的には霞ヶ関のなかでどのようなことが起こっているのか色々と詳しく書いてあって(書いてないことも多いと思うが)、それも結構興味深い。

今後、日本の人口は30年くらいの間に3,000万人減少する。これは、現在の北海道・東北・東京に住んでいる人たちの人数をすべて足したよりも多い人数だ。つまり、30年後の日本は、北海道と東北と東京から人がいなくなっている。もちろんそんな極端に一部の地域からだけ人が消えるわけではないのだが、規模感としてはとてもリアルでゾッとしてしまう。しかも、この流れはこの30年くらいの間はほとんど止めようがない。

しかし、現時点でそれを現実的に受け止めている日本人はどれくらいいるだろうか?

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