哲学科ってナニ!? ②哲学科を受験しようと思ったら 哲学を独学するためのブックガイド

哲学科紹介シリーズの第二弾!

哲学科を受験しようと思ったらどういう勉強が必要か‥‥

そして哲学(および文系の学問全般)を独学するためのブックガイド

の二本立てでお送りします。



哲学科受験のための勉強

哲学科受験には‥‥特別な勉強は何も必要ありません!!

たしかに高校の「倫理」は哲学に一番近い教科です。でも、大学での哲学とはズレる部分もあるので、無理に倫理選択にしなくてもいいです。
大学で勉強する上で哲学史の知識は必要です。それは独学で勉強してもいいものです。公民は好きな教科、得意な教科を選択すればいいでしょう。
倫理は、どうしてもキーワードを覚えるだけの勉強になりがちです。誰が何を言ったか覚える感じです。哲学的なテキストの読み方を勉強するわけではないから、その辺りは大学での勉強にはつながらないわけです。

むしろ現代文の勉強の方が哲学に近いかもしれません。
大学受験の現代文では、哲学的な文章が出題されることも結構あります。そして現代文という教科は、テキストに書いてあることだけから答えを出す教科です。
テキストを虚心坦懐に読み、聞かれたことに適切に答える(ただ聞かれたことに答える。書いてあることだけを読み取る。それがとてもとても難しく奥が深いのです)。それは大学での学問の基盤になります。

もちろん中高生のうちから哲学史の勉強をしたり、有名な哲学者の本に挑戦してみてもいいでしょう。

その辺りのブックガイドをしていきます。(大学入ってから読むと良さそうなものも含めて)

僕は「本を読むスキル」と「文章を書くスキル」が人文系の学問の基本スキルだと思っています。そのスキルを身につける参考になる本を紹介します。

「いや、お前それ出来ているのかよ」と言われたら、ろくに出来ていないのですが、恥をしのんで、、

現代文を読むための背景知識について


『高校生のための評論文キーワード100』(中山元 ちくま新書)https://amzn.to/3Z9k1pp
この手の本は何冊もありますが、私のおすすめはこれです。
哲学を専門にしている方が著者なので、予備校講師が執筆したものより内容の正確さが上です。そして、「この用語はこういう意味!」という閉じた説明ではなく「この用語に関してはこんな問いがあるよね」という開かれた感じになっているのがいいです。その方が評論読むときに効くんです(上手く言えないけど)。
僕は高三のときにこれを読んで「自分が興味を持ってるのは哲学なのか!」と気付いて文三志望になりました。

同じ著者のワンランク上の本が『思考の用語辞典』です。大学受験レベルではありません。現代思想関係の用語が多いです。


哲学的な文章の読み方について

『哲学の誤読』(入不二基義 ちくま新書)https://amzn.to/3Z9k1pp
元予備校講師でもある哲学者が書いた本です。
入試現代文を受験レベルより高いレベルで読み解いていきます。一冊で取り上げるのは4題だけ。その読みの密度・精度がすごいです。現代文がそこそこ解けたくらいで「読めた」と思っている人はこれを読んで圧倒されるといいでしょう。受験現代文の解説になんか納得できない人も読んでみるといいでしょう。

『哲学塾の風景』(中島義道 講談社学術文庫)https://amzn.to/3ltytuQ
こちらを読むと大学のゼミでの読み方のイメージが湧くでしょう。
有名な哲学書を読んでいく様子を本にしたものです。
哲学者を読む呼吸というか勘というかコツみたいなものが見えてきます(私もそういうこと教わりたい‥)。

書き方の技術について


『論文の教室』(戸田山和久 NHKブックス)https://amzn.to/3LMctpB
筆者の戸田山先生も哲学者です。独特の軽妙な文体で楽しく読める本です。大学でのレポート・論文とは何であるかを知れます。本質が分かるので、この手の本の中で僕は一番好きです。書くための具体的なプロセスも懇切丁寧に解説してくれています。

『論文作法』(ウンベルト・エーコ 而立書房)https://amzn.to/408T8Db
超有名な学者がこういう本を書いてくれているというありがたさ。図書館の使い方とかは古くなっている部分もあるけど、内容が濃いです。流石はエーコ(他の著作全然読んだことないんですけど)。

本の読み方について


『本を読む本』(M.J.アドラー 講談社学術文庫)https://amzn.to/3z0ZF7b
このジャンルの古典とも言える本です。これを読んでおけば間違いない。

『読書力』(齋藤孝 岩波新書)https://amzn.to/3TB1Nft
こちらの方が入門編という感じです。読書の習慣がない人が読む1冊目にいいと思います。既に読書の習慣がある人には不要かと。

『読んでいない本について堂々と語る方法』(ピエール・バイヤール ちくま学芸文庫)https://amzn.to/40dOkww
人を食ったようなタイトルですが、真面目な本です。「本を読んだ」と言える状態とは何か、読書とは何かを考えさせる良書。みんなプルーストを読んだフリをしているらしい笑 マドレーヌ笑


学問全般について


『知の技法』『知の論理』(小林康夫・船曳建夫編 東京大学出版会)https://amzn.to/3Z4IfBa https://amzn.to/3LLNPW5
三部作です。三作目に『知のモラル』というものがありますが、私は一作目の知の技法と二作目の知の論理が好きです。もともと東大の教科書として作られたもので、知の技法が大学1、2年生向けで、知の論理が大学3、4年生向けだったと思います。「こうしなさい」って書いてあるんじゃなくて、一流の執筆陣が学問をやってみせてくれる感じの本です(上手く説明できません。読めば分かるはず)。

哲学史について
落ちこぼれ学生だったので、詳しくないです。私がいい本を教えてもらいたい側です。

『西洋哲学史』(熊野純彦 岩波新書)https://amzn.to/3ndD8kU
新書で読めるのはこれでしょうか

『哲学の歴史』シリーズ (中央公論新社)https://amzn.to/40sAUfY
重厚なシリーズはこれでしょうか。初学者にはおすすめしませんが。

『哲学の基礎』(山本信 北樹出版)https://amzn.to/409ycw3
大学のときに指導教官におすすめしていただいた本です。
一般的な哲学史の本は、古代から順に有名な哲学者を紹介していくスタイルを取りますがこれは違います。概念をベースにした感じで、それがいいです。

『岩波 哲学・思想事典』(岩波書店)https://amzn.to/3TSUZtT
困ったときの調べ物用に。

『語源から哲学がわかる事典』(山口裕之 日本実業出版社)https://amzn.to/3lGZ1bN
哲学は語学が重要なのでいい本なんじゃないかと期待しています。なぜ「期待している」という書き方かと言うと、私自身今日買ったところでまだ読んでいないから笑
(追記 読み終わりました。とても素晴らしいです。事典というより哲学史です。主に近世までが充実しています。続編を出してほしいところです。)


今回は以上です。

哲学科や文学部を目指していて私のオンライン指導を受けてみたいという人は私のホームページ(https://daikatsumata54.wixsite.com/dai-katsumata)からお問い合わせください

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