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バクマン。/小畑健・大場つぐみ

漫画家の小畑健さんを初めて知ったのは「ヒカルの碁」がきっかけだった。
原作はほったゆみさん。

当時、「ヒカルの碁」で漫画家に原作者がつくケースがあることを初めて知った。

 
私が学生の頃
碁をテーマにした漫画は斬新であり
アニメ化もしていたこともあり
小畑健さんの名前は一気に知れ渡った。

旅行で因島に行った時、本因坊秀策のお墓を見て感動したものだ。

 
「ヒカルの碁」をきっかけに
「CYBORGじいちゃんG」
「人形草紙あやつり左近」
「DEATH NOTE」
その他ジャンプ掲載の読み切りなんかも読んだ。

 
中でも「DEATH NOTE」にはハマりにハマって全巻買い揃え
映画も見たし
深夜枠のアニメもちらほら見た。

 
小畑健さんの圧倒的な画力に、大場つぐみさんの緻密な原作はよく合っていた。

 
毎週ジャンプが楽しみで
新刊も楽しみで
とてもワクワクしていた。

 
2019年は小畑健展にも足を運んだ。
生で見る原稿は神がかった美しさで
人生で初めて買ったアクスタは夜神月だった。

 
前々から、その大場つぐみさんとのタッグの「バクマン。」や「プラチナエンド」も気にはなっていたが
姉がジャンプを買わなくなり
いつしか私もコミック派になり
気になりつつも買いはしなかった。

 
あまりにも「DEATH NOTE」にハマりすぎたのもあり
新作を受け入れるまでに時間がかかったのもある。

 
先日、「バクマン。」がブックオフで2000円という安さで全巻セットが売られていて
私は迷わず手を伸ばした。

 
今年のGWに一気読みしよう。

そう決めて楽しみにしていたが
なんとGWを待たずに私は足を骨折させてしまい
自宅静養を余儀なくされた。

 
読むならば、今だ。

そう思い、私は一巻に手を伸ばした。

 
これはジャンプで漫画家デビューを目指し、売れっ子になってアニメ化も視野に入れて奮闘する物語だ。

 
主人公の最高は作画を、秋人は原作を担当し、最高は大好きな亜豆と約束する。

自分が描く漫画のヒロインの声優を亜豆がしたら結婚する。

亜豆は声優を夢見ていた。

 
最高と亜豆が純愛過ぎてリアリティがないが
ドラマではなく、漫画で描くことによるロマンチックなのかもしれない。

一方
ジャンプで漫画家としてデビューするにはどうしたらいいのか 
漫画を描く上で意識することは何かなどは
非常にリアリティがある。

小畑さんも大場さんと作画と原作を分けているので
最高と秋人のやりとりや苦悩も実話のように感じられる。

 
毎週のアンケート結果に一喜一憂したり、打ち切りの現実等の細やかなエピソードは丁寧に描かれている。

オチはやや唐突な感じも否めない。 

 
全20巻の漫画を、私は二日に分けて読んだ。
読んでいた間、確かに気は紛れ、漫画の世界に入り込めた。

骨折というウンザリな現実の中、ワクワクをありがとう。

 
 
 
ここからは余談である。

 
高校時代、クラスにAさんという女の子がいた。

「18歳までに漫画家デビューをする。」

と言っていた子で
確かにカラーイラストがすばぬけて美しかった。

 
有言実行で
20歳になる前に担当がつき、20代でデビューしたようだ。
かっこいいと思った。

 
有名な月刊誌にその子の話が載った時は喜んで買って読んだ。

だけど友達が「デビューしてからが本当の戦い。」と言っていたように
デビューをしてからが大変なようだった。

 
Aさんと同じグループの友達にBさんがいた。
私はグループは違うが、Bさんと二人で遊びに行くような仲だった。

 
声優を目指していたBさんは確かに歌がずば抜けて上手く、絵も上手だった。
Bさんからもらった絵は高校時代から今でも部屋に飾ってある。

 
最高と亜豆のように
Aさんの作品にBさんが声優として活躍したらバクマン。の世界だったが、そうはならなかった。

 
Bさんはやがてラジオ番組を担当したり、演劇に興味を持ち、女優の道を進む。

 
CMを含めテレビで彼女の姿を見掛けると
あぁ頑張っているんだなぁと思った。
特に「相棒」に出たのを見た時は張り切って録画をしたくらいだ。

 
私は本が好きで詩や文章を書くのが趣味の福祉職の人間で
漫画家デビューしたAさんも女優デビューしたBさんも眩しかった。

 
そんな中、私は2020年に仕事を辞め、無職となり
その時に書いた文章がコンテストに入賞して賞金5万円を手にした。

また、詩のコンテストにも入賞して新聞に載り、こちらも賞金がもらえた。

 
夢は今に繋がっているのだと思った。

小学生の頃、私は詩や文章を仕事にしたかった。
仕事にはならなかったけど、それでお金をもらえるとは思わなかった。

 
そんな中、Bさんもコロナ禍で新たな挑戦をし、漫画を描き始めた。

その作品がなんと有名なマンガ大賞で入賞し、賞金をもらえたという。
入賞した作品はネットに掲載され、無料で読めた。

それは大賞には選ばれなかったけど
あたたかく、人情味のある話で
それを読んだ時は衝撃が走った。

 
一度賞を取ったくらいじゃ開かれない世界かもしれないし
デビューしてからも厳しい道かもしれないけど
私はBさんの漫画がまた読みたいと思った。

 
私は別の福祉施設に転職し、三年目に突入した。
趣味の漫画を読みながら
骨折が治ったらまた
仕事に励みたいと思う。

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