入院84日目:疲労感と心配

月曜日。
今日からまた一週間が始まる。

　
外は雨が降っていた。
庭のサボテンが花を咲かしていた。まるで私を励ますように。

　
不穏な利用者が今日は朝から一日中落ち着かず、特に激しかった。
物に当たったり、職員を攻撃したり
他の利用者にも攻撃的だった。
利用者を怪我させたり、叩いてしまった。

頓服もまったく効かなかった。

　
先週の土曜日に施設長が言った、その人がどうやったら楽しく過ごせるかという考えや言葉が浮かんできて笑ってしまう。

職員も利用者も月曜日から疲れきってしまった。

　
先週から激しさを増した。
もはや精神科に一刻も早く通院し、薬の調整レベルだ。
それでも無理なら入所…いや、精神科に措置入院レベルではないだろうか。
今の状態では他施設も受け入れはしないだろう。

　
　
今日の様子はさすがに保護者に連絡レベルだったらしく、上が電話したのでまだよかった。
早く親に事態の深刻さが伝わればいい。

話によると、GHでも連日課題が見られて大変なようだ。
今日体に痣があった。
暴れた際に世話人さんが止めた時にできたもののようだ。
　
　
職員の声は上には届かない。　

もはや他の利用者の保護者が上に苦情を言うのを期待するしかない。
でも、やられる利用者は保護者がいい人ばかりで、一向に苦情には繋がらない。

誰かが病院送りになるまでこの日々は終わらないのだろうか。

　
月曜日からみんなでため息を吐く。
グッタリと疲れる。

　
　
　
夜、お母さんからLINEが来た。

今日はMLIと超音波検査をしたらしい。
特に異常なしらしいが、今は24時間心電図をつけて検査をしているし、今週金曜日にかつて入院していた大学病院の先生が来ることになったようだ。

　
金曜日深夜に久しぶりに胸が痛んだからだろう。
入院時も胸の痛みは脊髄梗塞から来ていた。
再発の可能性もあるというし、検査をしたり、大学病院の先生が来るのは念のためであってほしい。切実に。

　
あと約20年、母の介護をしなければいけなくて
父の介護もやがてはしなければいけなくて
その間フルで正職員で働かなければいけなくて
もう泊まりの旅行にも日帰り旅行にも気軽に行けなくて
家事を頑張り続けるしかない未来を思うと絶望的になる。

私一人で背負い込むには重すぎる。

　
どうか母が悪化していなければいい。どうか。どうか。

　
　
先日から新施設長の親が入院していて、毎日早退していたが
明日退院らしい。

正直、羨ましかった。
私の親より5歳も年上な上、入院期間は二週間にも満たないなんて。

　
新施設長は若くして結婚して奥さんもいるし
健常児の子どもも複数いるし
実家も近い。
親が入院しても、周りと助け合える。

　
一方私は
今は父や父の姉の叔母さんが手伝ってくれているが
年齢を考えると、ゆくゆくはどうなるか分からない。
私の負担は増えるばかりだろう。

　
結婚もできず
一人で親を支えていかなければいけない。ため息が出る。

　
　
友達から、「疲れがたまっているだろうし、遊びに行こう。」と誘われたが、断った。
遊ぶより、休みたい。
その友達はしょっちゅう自分の悩み相談をしてくるが、私には今余裕がない。LINEでは聞けるが、休日たくさん聞く余裕はない。

　
また、別の友達から恋愛の話をされた。
どうやらまだ付き合っていないが、毎日異性と電話をしているらしい。
正直、聞いていてちょっと辛かった。

だって今の私には恋愛もときめきも無縁の生活だから。

　
友達から離れた場所に来てしまった。
まさか30代で親の介護が現実になるなんて思いもしなかった。

　
もうダメかもしれない。

　
仕事も恋愛も家庭も友情も趣味も
未来に何を期待すればいいだろう。

　
　
リハビリを頑張っているお母さんには言えない。
日々一緒に乗り越えているお父さんにも言えない。

ただ、毎日休みたいとばかり漠然と思っている。
ベッドに倒れ込んで、そのままスゥーッと眠りたい。
何も考えずに、休みたい。