コロナ禍で初めての県外日帰り旅行(埼玉県)
コロナワクチン4回目を接種した私は
ずっと家族に言っていた。
「4回目ワクチン接種をしたら、県外に行きたい。」
と。
コロナ前は毎月県外に行っていたのに
コロナ禍になってから県外には行っていなかった。
周りで県外に行っている人が羨ましかったが
家族や職場に万が一迷惑をかけたら嫌だという気持ちが上回り
ずっと耐えていた。
いくつのライブを見送り
いくつのイベントを見送り
大人しく過ごしただろうか。
県外の友達にも
もう長いこと会っていなかった。
そんな中、たまたま読売旅行のチラシを見た。
ムーミンバレーパークと巾着田曼珠沙華公園行きのものを見つけた。
ムーミンバレーパークといえば
できた頃から行きたかった場所だ。
親友から「オープン頃は混むだろうからムーミンバレーパーク、落ち着いたら行こうよ。」とも言われた。
結局、うちから行くには交通の便が悪く
二の足を踏んでいたら
親友は彼氏と行ったと事後報告してきたが。
そんなわけで、私は行きたかった。
ムーミンバレーパークにずっと行きたかったのだ。
曼珠沙華も好きだ。
巾着田曼珠沙華公園は知らないが
この二箇所のプランは魅力的だ。
そんなことを思った5分後
別室にいた母がこう言った。
「お母さんの同僚ね、この前ムーミンバレーバレーパークに行ったらしいんだけど、空いてたんだって。お母さんも行きたいわ~。」
「お母さん!見て、これ、このチラシ!!」
あまりのタイムリーさに私はビックリしつつ
旅行チラシを見せた。
「曼珠沙華もいいわね~。」
「でしょ?でしょ?このプラン、気になっていたんだよね!」
そんな会話を母娘で盛り上がっていた時
隣にいた父が言った。
「お父さんが申し込んでおくよ。お父さんが払ってあげる。ともか、ずっと県外に行くの我慢していたもんな。」
「うわぁぁぁぁ!お父さん、ありがとう!」
父はその日予定があった為
私と母とで行くことになった。
三年ぶりの県外に私ははしゃいだ。
夜な夜なHPを見てはニヤニヤし
何を着ていくか迷っていた。
ところが、だ。
台風14号が去った後
台風15号が発生だという話になった。
私は耳を疑った。
天気予報によると、私が旅行の日が一番天気が悪かったからだ。
私は毎日祈った。
晴れなんて贅沢は言わない、移動中雨が降ってもいい、代わりに公園とムーミンバレーパークで曇りでありますように、と。
バッグにもてるてる坊主をつけて眠った。
翌朝、雨はしっかりと降っていた。
終わった、と思った。
それでいて、まだ諦めていなかった。
母と二人で出掛ける時は行きは雨率が高いが
大抵予報より天気はよく、途中で雨が止むからだ。
今回もそれを願うしかない。
駐車場から、バス待ち合わせ場所まで歩く。
ただそれだけで服や足元が濡れる。
気持ちが滅入る。
私はコロナ禍で初めての旅行なのだが
コロナ禍らしく、ワクチン接種が三回以上済んでいないと旅行には行けない。
私は4回目の証明書と身分証明書を見せ
検温をすませ
バスに駆け込んだ。
バスに乗ってから外を見ると雨足が強まった。
周りの席の人も雨についてあれこれ言っていた。
気持ちは同じだろう。
バスは満席だった。
別の地域からも同じコースでバスが複数台出ているというから人気のコースなのだろう。
今日は埼玉で使えるクーポン券を2000円分もらえた。
これもコロナならではだ。
コロナならではと言えば
車内は水分補給と飴は可だが
何かを食べるのは禁止だということだ。
巾着田曼珠沙華公園は日本一曼珠沙華が咲いている場所らしく一面真っ赤な絨毯のような美しさだった。天皇陛下もいらしたことがあるらしい。
晴れならそれはそれは見事だったのだろうが
巾着田曼珠沙華公園に着いた瞬間どしゃ降りであり
足元が悪すぎた。
カサをさして雨の中曼珠沙華を見ている人は想像よりたくさんいた。
さすが日本一だ。
ほとんどが観光客だろう。
自撮りや母とのツーショットもやっこらだったが撮れた。
これも旅の思い出だ。
その日は巾着田曼珠沙華まつりをやっており
広場には屋台がズラッとあった。
これも晴れならばちがかったのだろうが
雨だから食べる気にならないし
久々にバス酔いしたのもあり
やっぱり食べる気が起きない。
久々に酔ったのは生理のせいもあるかもしれない。
雨の公園の散策時間は90分だった。
絶望的だった。
ありがたいことにテントがあり
母と二人で雨宿りをした。
母はもしゃもしゃとおにぎりを食べている。
その胃袋が羨ましい。
吹き込む雨に若干濡れながら
残り60分はどうしたものかと考えた。
食後はとりあえずトイレに行こう、となり
トイレを済ませた後
先程とは異なる川沿いを歩くことにした。
すると、雨が小雨になった。ほとんど降っていないくらいだった。
「お母さん!雨、やんだ!」
私ははしゃいだ。
はしゃいで母とたくさん写真を撮りあった。
最初は曼珠沙華が咲いている中を歩いたが
分かれ道が雨で通れなくなっていたため
人がごちゃごちゃして
自分のペースで歩けなかった。
だけど別ルートの川沿いは道が広がり
人があまりいなかった。
だから背景に他者があまり入らずに写真も撮れた。
しかも、光の関係か明るく撮れたのだ。
私は母と曼珠沙華を満喫し
やや早めにバスに戻った。
周りの方も半数が戻っていた。
バスに向かう途中、また雨が降り出したからだ。
予定より早くバスは出発した。
雨のため人が少なかったが
普段は大渋滞で人ごみらしい。
確かに対向車線は渋滞だった。
近くの田んぼにはかかしアートがあった。かわいかった。
そこからムーミンバレーパークは15分だったが
私はまたもその15分で酔ってしまう。
お腹は空いているが
胃が受けつけない。
ムーミンバレーパークにバスが停車した時は
その日一番のどしゃ降りだった。
駐車場からムーミンバレーパーク入口まで徒歩10分。
最高気温28度なだけあり
巾着田曼珠沙華公園で過ごすうちに乾いた服が
再びぐっしょりと濡れていく。
カッパは持ってきていた。
だけど
カッパを着ていなくても蒸し暑く、汗が止まらなかった。
マスクのせいだ。人が周りにいたら外すわけにはいかない。
蒸し暑さより濡れることを私は選んだ。
周りもほとんどの方がそうだった。
駐車場から歩いて5分のところにレストランがある。
ムーミンバレーパーク内と駐車場付近にはいくつかのレストランがあり
ムーミンモチーフの食べ物はなく、北欧モチーフか、ただの飲食店になる。
ガイドさんは入口までみんなで行かなくてもよいと言ったため
私は母にご飯を食べながら雨宿りをして、あとはそれから考えよう、と言った。
雨足はさらに強くなったからだ。
私は胃がまだ本調子ではなかった為
しょうゆラーメンとおかかご飯を頼み
母とシェアした。
誰かと来るとシェアできてありがたい。
なお
ムーミンバレーパークはご飯が高い。どの店でも一人1500~2000円を覚悟した方がいい。
ご飯を食べ終わり
軽く店内の雑貨を見てから空を見ると
雨は止んでいた。
「やったぁぁぁぁぁあ!雨やんだ!」
私は一気にテンションが上がった。
携帯によると、自宅付近は色々警報が出ており
どうやら地元の方が雨足は強いらしかった。
のちに知ったが
台風15号は朝のうちに温帯低気圧に変わり
その影響もあり
一日雨予報が、降ったり止んだりに変わったらしい。
服はみるみるうちに乾く。
足取りが軽い。
湖に沿うように歩き、入口を目指す。
入口には巨大な壁のようなキャラクターモチーフのものがあり
私は嬉しくなった。
ここで写真が撮りたかったのだ。
母と撮り合い、更に先に進む。
土産物屋さんをチラリと覗き
いちいちはしゃぐ。
歩くたびに
いちいち写真を撮り
その先にはムーミンパパがいた。
そのかわいらしいこと!
夢中になってムーミンパパの写真を撮りムーミンパパとも写真を撮った。
ムーミンパパの写真を撮る時間がたくさんあってビックリした。
幸せだ。
その後、リトルミィのプレイススポット→海のオーケストラ号→ニブリングの店(ゲーム)→ムーミン屋敷を楽しんだ。
スナフキン派の母娘、二人でムーミンパパにキャアキャアする。かわいい。
なお、ゲームをやった際
別の読売旅行から来た二人が話しかけてくれ
わいわい話す。
お店の方からグループだと勘違いされたくらいだ。
ゲームは成功ならず、ニョロニョロの大きなぬいぐるみはもらえなかったが
小さいピンバッジがもらえた。かわいい。
アトラクションは各10~15分待ちで
全て撮影可だった。
ムーミンバレーパークは写真不可な場所しかないのかもしれない。
かわいい世界観にウキウキやワクワクが止まらない。
まだ他にも行きたい場所はあったが
集合時間が近づいていた為
お土産を買いに行った。
日本一のムーミングッズの品揃えらしいが
私は母と買ったものが五つもかぶっていて面白かった。
お揃いで買ったのではなく、たまたまかぶった。
趣味が似ているのである。
ムーミンバレーパークは広い。
お土産を買った後はテクテク歩くが
途中で左足がつりかけて
私は早歩きできなくなってしまった。
駐車場に向かう道は上り坂で
息は上がるし
汗をかく。
ようやく坂を登り切り
トイレを済ませ
バスに乗った。
そこで荷物整理をしていると
私はふと気づいた。
カサがないのである。
あるとすれば
先程寄ったトイレだろう。
集合時間まで残り5分だが
乗客は集まっている。
「…カサがない。」
私は母に言った。
「トイレか?」
「トイレだと思う。でももう時間だし、いいよ。」
「まだ5分ある。」
「実はさっき左足をつって、まだ本調子じゃない。走れない。だからいいよ、ボロい傘だしさ、いいんだ。」
「トイレのどこに入った?お母さんが行ってくる。」
「入って一番手前。右側。」
母はバスガイドさんに事情を話し、走った。
母だって疲れているだろうに
走った。
バス内がザワつく。
「何を忘れたって?」「どうしたの?」「あーカサか。今雨止んでるしね。」
恥ずかしくてたまらない。
母は手ぶらで走ってきた。
なんだ、なくなっていたのか。
そう思った瞬間、後ろの席の人が「これですか?」と言う。
私のカサだった。
どうやら荷物整理をしていた際、間違えて後方の席にカサを置いてしまったらしい。
「ごめん、あったわ。」
母に謝り
母はまた走る。
「ありました!カサありましたよ!」
どうやらバスガイドさんは
落とし物係の方まで連絡をしていたらしい。
本当に申し訳なかった。
でも
見つかってよかった。
そのカサはボロいけれど
私が覚悟を決めて買った高いカサで
お気に入りでもあったのだ。
母はそれを知っていて
走ってくれたのだ。
地元に向かい、バスが走る。
黒い雲で覆われた空が少しずつ晴れ
サービスエリアに着いた時は青空が見えた。
雲はうねっていた。
台風の後、といった独特の空だ。
今日はなんだったのだろう。
そう言いたくなるような
不思議な空模様を
みんなが見上げ
写真を撮っていた。
私と母が家に着いたのは
父とほぼ同時で
三人でご飯を食べた。
私は車酔いで一日ろくに食べておらず
ようやく家に帰ってホッとし
みそ汁やサラダ、ゼリーを食べた。
家族三人で旅の思い出を語る。
父は父で別場所に旅行に行っていた。
写真を見せ合い
買ったものを見せ合い
夜はグッスリ眠った。
そんな一日だった。
旅はいい。
心からそう思った。
久々に母と旅行に行き
また一つ楽しい思い出が作れた。
まだコロナ禍ではあるけれど
感染状況を見て
感染対策をして
また県外に旅行に行きたいなと思った。