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憧れのまほうつかい/さくらももこ

さくらももこさんが敬愛し、影響を受けた絵本作家のエロール・ル・カイン(憧れのまほうつかい)との出会いから話が始まる。

 
彼の存在を知ってから数年後、若くしてエロール・ル・カインが亡くなったことを知り、イギリスの彼の縁のある人や場所を訪ねたことが1冊にまとめられてある。

イギリスつながりでウェッジウッドにも行ったことにも触れられている。
ページ数は少なく、あっという間に読み終わる。

 
私はこの本でエロール・ル・カインを初めて知ったが
なるほど確かにこの本に載っている彼の絵を見るとため息がでるほど緻密で美しい。
原画はかなりすさまじいパワーを持っているのだろう。

 
この本を読んでいると、さくらももこの扉絵がずいぶん影響を受けていたと分かる。
彼と出会っていなかったら作風はかなり変わるだろう。

また、さくらももこさんだけでなく他にも何人か彼に惚れ込んだ人が作中に描かれているが
こんな風に作品も人柄も理解され、死後も愛され(ペニーさんとエロール・ル・カインのような関係が私は好きです)
エロール・ル・カインは妻には理解されなかったかもしれないが
羨ましい生き方だ。

 
 
私は物心ついた頃から絵が好きだった。
絵描きになりたかった。
だけど大きくなるにつれ、自分に才能がないこと、絵でお金を稼ぐことの厳しさを知った。

小学生の頃から文章を書くことも好きで
文章を書いて出版することも夢見た。

今はホームページやSNS普及により、プロにこだわらなくとも欲求がある程度満たされるから便利な世の中だ。
私は絵や文章のプロにはなれなかったけど
今の仕事で活かせることもあるし
人々の文章や絵を見ては心揺さぶられ
趣味として楽しめているのでこれはこれでいい人生だと思う。
 
 

私の周りには絵が上手な人が多かったが(プロの漫画家や大学で美術専攻の方さえいる)
小学生の頃、一人ずば抜けていた人がいた。
すごかった。
本当にすごかった。
ポスターや絵を描けば入選は当たり前、大きな賞は当たり前
よく女の子が描くようなイラストではなく、絵画が描ける方で
写実的な動物から美しい空の色から、立体的な作品までなんでも、ずば抜けていた。
当時、某学校の制服デザインコンテストにおいても高い倍率の中、採用されていた。

 
私は彼女がそばにいたから、夢を諦められた。
夢を託せた。
そして中学の頃には福祉の道に進もうと思え、今に繋がっている。
そう思う。

ちなみに私にとっての憧れの魔法使いはアルフォンス・ミュシャ。
初めて見た時は衝撃に近い感動だった。


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