入院98日目:止められない
前の職場の人たちの夢を見た。
起きた時に夢だと分かり、なんともいえない気持ちになった。
最高気温34度。
週はじめの月曜日。今日は暑くなるらしい。
午前中から書類複数についてダメ出しをされる。私からしたら、ささやかでくだらないことでの手直しだ。
前はこの書式でOKだったのに。
内心納得はいかないが、面倒なので余計なことは言わない。
前の職場はこんなにダメ出しをされなかった。
「さすがともかさん。」と言われたのに。もしくは書いて出すだけで受け取ってもらえた。
そう過去を振り返り、切なくなる。
相変わらず上はいちいちうるさい。
いちいちムカつく。
だけど話しても無駄だからジッと耐える。早く時が過ぎればいいのにと思う。
利用者の送迎後、一人戻る途中で涙が込み上げる。
帰り道、新人さんと仕事の愚痴で盛り上がる。
上のやり方に納得がいかずに怒っている。
「真咲さんが退職したらもうこの職場は終わりじゃないですか?」
そう言ってくれた。
嬉しかった。
ありがとう。
ただ、正確にはリーダーが退職したあの時、もううちの職場は終わったに近かった。
上がやる対策ややり方は全てが空回りで
現場は疲れ、怒り、呆れている。
人が変わることは期待できない。
不満がある私は去るべきなのかもしれない。
新人さんが「選択を間違えたかな。」と言った時
「私も、4年目の今でさえ思いますよ。前の職場で人事異動がきっかけで辞めたけど、せめて人事異動先で働いてから退職してみてもよかったかもしれない、って。」
「今からでも戻れるんじゃないですか?」
……もう、戻れない。
私が大好きだった元職場も変わるところは変わってしまった。
それでいて、直属上司との関係は冷え切ったままで、未だにどうしようもない。
かといって今の職場も今後よりよくなることはないだろう。
もうリーダーがいた頃のあの柔らかな雰囲気の日々には決して戻れない。
居場所も帰る場所も私にはない。
もう、ないのだ。
このままの日々を送っても人生は何も変わらない。
今までやってこなかった何かをやって、世界や環境を変えた方がいいのかもしれない。
障害福祉の道から離れた方がいいのかもしれない。
リーダーが夢に向かったり
タイミングをうかがって新たな挑戦をしたのも
こんな日々の積み重ねの先なのかもしれない。
同僚は好きだし
利用者はかわいい。
慣れた仕事や環境でもあるけれど
それでももう、毎日辞めたくて仕方ない。
ここから逃げたくて仕方ない。
だけど逃げ出した先に何があるというのだろう。
今よりマシな人生がある気はしなかった。
新人さんと話していたらすっかり帰りが遅くなった。
慌てて家に帰り、夕飯の支度をする。
父は1時間前に帰ってきていたが
部屋は明かりがついておらず
クーラーどころか扇風機もついておらず
窓もあいていなくて
室温は28度だった。
苛々しながらまず部屋を涼しくし、それから夕飯の準備をした。
なんでキッチンを涼しくしてくれないのだろう。
本当気が利かない。
朝も夕方も私より先に部屋にいても
部屋を涼しくしておくという発想がない。
節電だと思っているのだ。
殺意がわく。
お母さんは今日も汗だくになりながら車に乗る練習をして
車椅子を助手席に乗せたらしい。
体調も良好だという。
よかった。
お母さんは頑張っている。
未来を見つめて頑張っている。
それに比べて、私はなんなんだろう。
イヤイヤ仕事をする私はなんて格好悪いのか。
せっかく仲良くなった新人さんにはまだ働いていてほしいけど
辞める決意をしたなら、とめる気はなかった。
それほどに、今のうちの職場は魅力的ではない。
傷が深くなる前にサッサと辞めた方がいいのではないかとさえ思ってしまう。
福祉施設はいくらでもある。
そう、福祉施設はいくらでもあるけど
私の行き場はどこにもない気がしてしまう。
ここを離れても上手く働ける自信がまるでない。
かといって結婚もできない。
死ぬまでバリバリ働くしか道はないのだ。
疲れたな。
全て終わりにできたらどんなに楽だろうか。
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