見出し画像

マックに憧れた子ども

初めてマックに行ったのは
私が10歳になる前だった。

ハンバーガーにポテト、ドリンクにオマケのオモチャ。
オモチャは確かドラえもんだったと思う。

   
ハンバーグをパンで挟むとこんなに美味しいんだ!と感動したし
もともと私はポテトが好きなので
ポテトがセットについていたのも嬉しかった。
飲み物が入っている容器もお洒落な気がしたし
ランダムのオマケ付きも私は嬉しかった。

   
 
それから時折、家族でマックに行くことがあった。
祖父母と一緒に出掛ける時ではなく
両親と姉と私の四人で出掛ける時のみ
時折マックで食べた。

「そろそろお昼か……何がいい?」

と親が聞いた時
近くにマックがある時は姉妹でマックをリクエストした。
姉もマックが好きだった。
大抵、映画か買い物の時、お昼にマックに寄った。 

 
 
我が家のそばでハンバーガーチェーン店はマックしかなかった。
ハンバーガーと言えばマックだし
マックと言えばハンバーガーだ。

 
小中学生の頃は年に一回行ければいいくらいだった。
だから、私は異常なまでにマックに憧れた。
たまに行けるマックがとても嬉しかった。

 
 
 
そんな私が本命高校に落ち、私立の高校に進学することになった。
私立の高校は街中にある。
県内の中心地に近いところに、私の高校はあった。

 
うわぁぁぁあ!

   
高校最寄り駅から自転車を漕ぐと、高校までの間にマックがたくさんあった。
5店舗もあったのだ。  
憧れのマックが、高校に落ちたことで通学路の一部になった。
しかも5店舗も!
私はビックリした。

 
街中の高校生だった私は
高校デビューした。
街中で遊び歩くことを覚えた。
結果論だが
本命高校に落ちたからこそ味わえた喜びだ。
もしも本命高校に行っていたなら
マックは近くになかったし
せいぜいセブンくらいしかなかった。

 
「今日はマックに寄ってく?」

 
友達と放課後や休日にマックに寄ったりもした。
定期券と自転車とバスカードを手にした私は無敵のようなものだった。
県内の都会…憧れの地だったはずの街中に
私はどんどん馴染んでいった。
マックに行くのも日常的になった。

 
小さい頃はオモチャ付きのハッピーセットが好きだった私は
成長と共にてりやきバーガーが大好きになった。
マックに行ったら必ずてりやきバーガーセットを頼んでいた。
放課後にそれを食べても
夕飯は普通に食べていたのだから
女子高生の胃袋とは凄まじい。

 
友達の一人はいつもハッピーセットを頼み
「私、マックはそんなに食べられないんだ。」と言っていたので驚いた。
当時の私は人が食べきれないポテトまで食べていた。
なんという食欲だろうか。

 

マックは昔
家族とたまにしか行けない特別な場所だったが
高校以降は友達とのたまり場になった。

 
 
 
大学に進学してからは
友達が二人、マックでバイトするようになった。

 
マックは私にとってたまり場であり
友達のバイト先にもなった。

 
 
大学に進学すると
大学付近にはマックやロッテリア、バーガーキングと
マック以外のハンバーガーチェーン店もあった。
ロッテリアは高校でデビューしたが
バーガーキングは大学に進学してから初めて知ったし
初めて行った。

余談だが
女性人気の高いモスバーガーは近所や大学付近になく
私はまだ数回しか行ったことがない。
デビューは大学時代だった。

 
 
 
それでも相変わらず、私はマック派だった。
様々な友達とマックに行ったし
大学時代におひとり様マックデビューも果たした。

 
大学からはてりやきバーガー派からビッグマック派になり、チーズバーガー派になり
社会人になってからはチキンフィレオやハンバーガー派になった。

 
私は段々と食欲がおさまり
なるほど、ハッピーセットでも十分な時もあった。

大人になるとオモチャによってはいらなかったが
裏技で「オモチャは結構です。」と断ることを覚えたし
更に裏技で「お水ください。」と言えば水をもらえることも知った。

必ずセットで飲み物をゲットしていたが
やがて短時間滞在なら私はセットを頼まずに水をもらった。

 
 
 
高校時代の親友とは、高校時代からずっと
駅前マックで待ち合わせし
よく二人でガールズトークをした。

 
そんな思い出のマックが
数年前に閉店して焼き肉屋になった。
あの時はとても寂しかったが
その内、その周辺のマックも次々に閉店してしまった。

  
高校時代、あれほど街中にあったマックは
今や一箇所しか残っていない。

 
 
代わりに、私の家の近くに
マックが新たに二箇所できた。
もともと私が物心ついてから地元にあったが
更に二箇所できた。

我が県は車社会だ。
田舎エリアのドライブスルー型のマックは強い。
だから逆に
街中の、駐車場がないマックは著しく廃れてしまった。

 
なんとも悲しい。
高校時代からの思い出の場所が次々に閉店してしまった。
だが、未来へ繋げるかのごとく、地元にマックが乱立するのはありがたかった。
 
 
職場から自宅に帰る途中にマックがあったので寄ったし
休日に自宅そばのマックにも寄ったし
仕事で利用者の外食支援でもマックに寄った。
 
 
月1ペースまではいかないが
年間にマックに何回寄っているか分からないほど
私はマックにはお世話になっている。

 
 
 
 
そんな中、今年も秋になった。
秋といったら、月見バーガーの季節である。

マックの期間限定商品の中で一番好きなのが月見バーガーで
毎年秋はできる限りマックに寄る。
毎シーズン三回くらいは食べていると思う。

  
マックに類似商品はあるし
他のハンバーガーチェーン店にも類似商品はあるが
私はやはり月見バーガーが激推しなのだ。  

月見バーガーは味のバランスが非常に良い。
毎年食べても飽きないし
期間内になるべくたくさん食べたい。

 
現在無職なので、私は時間に余裕がありまくる。
本来は発売日に行く気満々だったが
夏バテにより、8月後半から食欲低下が酷かった。
とてもじゃないが、完食する自信はない。
だが、SNSでみんなが月見バーガー月見バーガー騒いでいるのを見て
黙っていられるほど私は我慢強くない。

 
私だって月見バーガー食べたいんじゃ!

 
と思いつつ、木曜日は大人しく、マックフルーリー月見を頼んだ。
黒みつとわらび餅の組み合わせにはずれがあるわけない。
黒みつときな粉大好きな私はウハウハしながらマックフルーリー月見を食べた。
うむ、美味じゃ。
リピーターになりたいほど、素晴らしい。

 
だが、やはり木曜日はマックフルーリー月見だけでお腹は膨れた。
月見バーガーが私を呼んでいるのに、この軟弱な胃袋め。
まぁ仕方ない。胃が回復したら行こう。

 
と思った次の日…つまり金曜日
私は自分の体内を確認した。

 
今日ならいける、か?

 
ドライブスルーは長蛇の列だ。
次々に月見バーガーが売れていく。
私は待っている間に悩んだ。

 
チーズ月見バーガー単品か
チーズ月見バーガーセットにするか……。

 
クーポン券を眺めた。
月見バーガーは三種類発売されているが(朝マックも入れれば四種類)
私はチーズ月見バーガー派なので浮気はしない。

 
問題はポテトだ。
私はポテトが好きな食べ物ベスト10に入る。
特にマックのポテトはペロリだ。
一人でLを完食する。
この前、150円セール期間中にLを頼んだくせに
せっかくマックに来たならポテトもやはり食べたい。

 
だが、胃の調子や食欲的に
おそらくチーズ月見バーガーのみで十分だ。

 
うーむ、悩ましい………

  
と、並んでいる間に迷いに迷って
結局チーズ月見バーガーセットにした。
ちなみに飲み物は基本、クーのすっきり白ぶどう一択である。
私はウーロン茶やお茶を好むが
マックは爽健美茶しかない。
私は爽健美茶が飲めないのだ。

 
今年初のチーズ月見バーガーなので
食べる前に写真をパシャパシャする。
うん、相変わらず美しい見た目と変わらない匂いだわ。
一口食べた瞬間にパラダイスだ。
結局私はセットを完食した。

 
だが、やはり読みは正しかった。

 
チーズ月見バーガーセットを食べたのが12時前だったが
19時を過ぎてもお腹が空かず
夕飯は野菜とみそ汁しか食べられなかった。
やはり今の食欲と胃の調子を考えると
チーズ月見バーガー単品にすべきだった。

 
だが、悔いはない。
チーズ月見バーガーもポテトも美味しいのだもの。
逆にこれを機に食欲が戻るかもしれない。

 
 
 
  
大人っていいなぁと思う。
もう好きな時にマックに行けるし
自分のお金で買えるのだ。
子どもの頃は大人の都合でたまにしか行けなかったが
今では自由だ。

 
 
そんな大人になった私に母は言う。

「シェイクね。イチゴ♡」

 
母、姉、私全員が
マックのシェイクはイチゴ派である。
他のハンバーガーチェーン店でもシェイクは売っているが
やはりマックシェイクが私は一番好きなのだ。

 
いつからか
私がマックに行く時、母親は私にイチゴシェイクをちゃっかり頼むようになった。
基本私の驕りである。

マックに憧れた子どもは
大人になり、母親にイチゴシェイクを奢れるまでに成長した。

 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?