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大学卒業までにかかる進路別教育費の目安

コロナウイルスの影響で、大学の授業料が注目されました。その後、学びの継続支援制度も重点的に適用され、国や大学による支援が様々行われています。

例えば某大学では、学生一人当たり5万円の給付といった、素晴らしい活動が実施されています。

他方で、高校生にとっては、総合型選抜(旧:AO入試)の時期も近くなり、本格的に進路について考える時期をむかえました。

そして、保護者にとっても、進路を考える上で授業料は重要な要因となります。

そんな注目を浴びる大学の授業料について、今回は「国公私立大学の授業料の推移」と「大学卒業までにかかる進路別教育費の目安」から現在の動向と今後の在り方について触れた上で、

最後は、今回の一件を『お金のリテラシー向上の契機』にしてみてはどうかと提起したいと思います。


1、大学の年間授業料の推移


国公私立大学の年間授業の推移については、文部科学省の専用ページに記されており、今回はそれを簡易的にグラフ化してみました。

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(出典)文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」(2017)より作成

なお、入学初年度は国公立では入学金、私立大学では入学金と施設設備費などを合わせて納入する形になっています。

これらの推移から、単純に授業料は右肩上がりに上昇していることが分かります。

大学について「国公立大学の授業料は安い」というイメージがありますが、実は上昇の一途で、現在は53.6万円なんですね。

 ちなみに、国立大学は2004年に法人化し、翌年2005年に学費を上げて以降、横ばいだったのですが、2019年からはその雲行きがあやしくなり、結構な国立大学が値上げに動き出しています(これについては3項で触れます)。

2、大学卒業までにかかる進路別教育費の目安


大学卒業までにかかる進路別教育費の目安について、文部科学省や日本学生支援機構などが公開している専用ページを参考に表にあらわします。

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以下サイトでも最近のデータによる教育費の目安を公開しています。


教育費は、「1人につき約1千万円」とよくいわれますが、これはあくまで大学卒業までの23年間の合計で、一度にそれほどの大金がかかるわけではありません。

例えば、学費を最安で抑えようとするならば、上図の「ケース①:ずっと国公立、自宅から通う」を選択すれば、1,073万円となります。

とはいえ、学費で大学を決めるわけではないので、まずは「学びたいこと」や「やりたいこと」があっての進路選択です。

それでも、進路に迷った場合には、公立と私立で授業料の差が『倍以上』ある、高校の段階で家計から教育費を無理なくだせるかどうか?とシビアに判断するのも一つの手段と考えられます。

3、大学の状況(国立大学の授業料値上げ)


国立大学の値上げについては、ニュースや様々な記事でも、よく聞いたり、目にしたりします👀

例えば、学部レベルで標準額を上回る授業料を設定しているのは、5大学(東京工業大学は63万5,400円、東京芸術・千葉・一橋・東京医科歯科の各大学は上限の64万2,960円)の例があります。

値上げの大きな要因は、人件費のようです。

その背景に、能動的学習(アクティブラーニング)やグローバル化によって新たな人材確保、といった点が考えられます。

ちなみに、そんな検討どこでやってるのか?というと、

文部科学省『国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議』というところでやっているようです(検討会議の様子をYouTubeで期限付きで公開しています。今っぽいですね)。

おそらく、地方の大学においても授業料値上げのムーブメントは早かれ遅かれ起きることが予想されるでしょう。

しかし、今回のコロナウイルスの影響で、その動きは鈍化せざるを得ないかもしれませんが。

4、授業料騒動を『お金のリテラシー向上の契機に』

 
以上、「大学の授業料の推移」や「大学卒業までにかかる進路別教育費の目安」といったデータを見てきました。

以前は、「私立大学は国立大学の2倍は授業料がかかる」といわれていましたが、現在はおよそ1.6倍程度まで差が縮んでいるんです。

そのため、国公立大学に拘(こだわ)るあまり、自宅外から通うことになったり浪人したりして余計に費用がかかる、といったこともあることから、

『私立大学でも現役で自宅から通う』ことをよしとする家庭も増えてきているようです。

これらを考えるに、以下の書籍も参考になりましたのでご紹介します。

最後に、

学びの継続支援も非常に重要であり、大学は在学生の卒業のために全力を尽くすでしょう。

一方で、大学を含む高等教育機関は、来年度以降の入学生も非常に気がかりなところです。

今回、コロナウイルスによる影響で、大学の授業料が注目され、大学としては非常に痛いところを付かれていると思いますが、大学は在学生や保護者に対し、授業料について真摯に応えています。

それらを受け止めた上で、これから進学を考えている高校生や社会人の方は、「国公立に拘(こだわ)り自宅外とする」のか、それとも「私立大学で自宅で通った方が経済的ではないか」といったことを等を、

『学費の面からも考え』それについて『家族や友人等と話し合う』ことで『お金のリテラシーを向上させる契機』としてみてはいかがでしょうか?


最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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