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「スマホ」を詠んでみた。

ホーム側にスーツ姿で座ってもスマホの色でわかるレッズは

入ってるアプリを見ればわかるからあいさつ代わりにスマホを見せて
店ごとにアプリを入れてパツパツの財布のようにスマホ貧乏

2022年5月1日のNHK短歌、テーマは「スマホ」でした。私の投稿歌を紹介します。いまやスマホは持ち主のアイデンティティと言えます。私は川崎フロンターレの後援会員ですが、ホームの等々力に行くと、たまにメインのど真ん中のいい席に、なぜか「変装」したアウェイサポーターがホームサポーターに混じって、黙って試合を観ていることがあります。仕事帰りのスーツ姿のままでも、スマホの色が赤だからわかっちゃうんですよね。

オルレアンの乙女はまさに果てむとす君はスマホを向けて激写す

ていねいにスマホを磨く夜であるずぶりと沼に沈んだように
テーブルの角に合わせてスマホを置く男に惚れた不惑の我は

スマホをどう使うかで性格がわかってしまう面もあります。もしジャンヌ・ダルクの時代にスマホがあったら、処刑されるときにスマホを向ける人がたくさんいたのではないでしょうか。

手のひらのスマホが重いあの人に電話しないと終わらないこと

グループに追加されたりしないようラインはやってないですって言う

風呂にまでスマホを連れていく君とやっと別れる決心がつく

最後に、スマホと人間関係です。スマホは人とつながる手段なので、スマホを扱うことは人間関係を「管理」することになります。

ここで詠んだ3首は全て「人間関係を清算する」「人間関係を持たない」方に傾いていますが、私の現実を見ると会社を辞める同僚とラインでつながる、サポーター仲間とツイッターでつながり実際にも会ってみるなど、人間関係を発展させる楽しい側面の方が大きいです。しかし楽しい方ではなかなか短歌が詠めないのですよねえ。性分かしら。(終わり)



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