見出し画像

本を出版します!

こんにちは、東京大学で脳の研究をしている紺野大地と申します。
突然のご報告ですが、池谷裕二先生との共著
『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』を12月16日に出版することになりました!



なぜこの本を書いたのか。
それは、「脳や人工知能研究の最先端をぜひ多くの人に知ってもらいたい」と考えたからです。

本のカバー

爆発的に進歩する脳と人工知能研究

脳と人工知能が融合した分野の進歩は凄まじく、ここ数年でにわかには信じられないような研究成果が続々と報告されています。
いくつかその例を紹介すると、
「その人が頭の中で考えていることを人工知能が90%以上の精度で読み取って翻訳してくれる」
「うつ病患者の脳に”落ち込んでいるパターン”が検出されたら、その瞬間に脳を電気で刺激することで、うつ気分が改善した」
などがあります。

そしてつい最近では、イーロン・マスク率いるNeuralinkという企業が、
「脳に電極を埋め込んだサルが、人工知能の力を借りて念じるだけで卓球ゲームをプレイした」
という、まるでサイエンス・フィクションのような研究成果を報告しました。


このような脳と人工知能分野における爆発的な進歩をふまえ、本書では、
「脳と人工知能といった二つの研究分野が過去にどのような成果を生んできたのか」、「現時点の最先端はどこにあるのか」、そして、
「未来では何ができるようになるのか」を知ってもらうことが目的の1つです。

池谷脳AI融合プロジェクト

また、現在私たちの研究室では「池谷脳AI融合プロジェクト」という大規模プロジェクトに取り組んでいます。
このプロジェクトでは、「人工知能を用いて脳の新たな能力を開拓し、脳にはどれほどの潜在能力が秘められているのかを見極めること」を目指しています。

本書のもう1つの目的は、池谷脳AI融合プロジェクトの内容について知ってもらうことです。
具体的には、「脳とコンピューターチップの融合」や「脳と脳の融合」など、実際に私たちの研究室で進行中の研究内容を紹介しています。

池谷脳AI融合プロジェクトのイメージ
(イラスト:須山奈津希さん、図版:アトリエ・プラン)

本の構成

本の構成は以下のようになります。

はじめに

池谷先生が書かれた部分です。
「人間にツバメのような翼があったら?コウモリのように超音波を聞くことができたら?オタマジャクシのように水中で呼吸できたら?」
のようにいつもの池谷節でワクワクするような本の始まりとなっています。
池谷先生ファンはこの部分だけでも必読だと思います。

イントロダクション:2XXX年の未来予測

「神経科学や人工知能がこのままの勢いで進歩したら、将来的にはどんな世界が待っているのか」を、私なりに大胆に予想しています。
具体的には、
「脳内の睡眠を司どる領域を刺激することで、一瞬で目が覚める」
「味覚を司どる領域を刺激することで、実際には何も食べていないのに一流レストランのオムレツを味わうことができる」
「アインシュタインなど過去の偉人の脳を”借りる”ことができる」
などを予想しています。
未来に夢を膨らませながら読んでいただけると嬉しいです。

1章:脳とAI融合の「過去」

「過去」において脳と人工知能の研究はどのように進歩してきたのかを見ていきたいと思います。
たとえば、「2匹のネズミが離れた大陸間でコミュニケーションができた」という研究や、「四肢麻痺の患者が念じるだけでロボットを操作してペットボトルの水を飲んだ」という研究を紹介しています。

2章:脳とAI融合の「現在」

脳と人工知能の分野におけるあっと驚くような「現在」の最先端の研究をいくつも紹介しながら、脳と人工知能研究との結びつきがどんどん強くなっていることを見ていきます。
たとえば、「その人が頭の中で考えていることを人工知能が90%以上の精度で読み取って翻訳してくれる」という研究や「他人が見ている夢を覗き見できる」という研究など、脳と人工知能が融合した分野における最先端の研究をたっぷりと取り上げます。
そして第2章の最後では、イーロン・マスクが立ち上げたNeuralinkという会社が、人工知能と脳研究を組み合わせていったい何をしようと考えているのかを紹介します。
Neuralinkの掲げる壮大な野望を通じて、脳研究と人工知能の未来をのぞき見ることができます。

3章:脳とAI融合の「未来」

脳と人工知能がこの先どう発展していくのかの「未来」を考察します。
具体的には、私たちの研究室で進行中の「池谷脳AI融合プロジェクト」の一部である「脳とコンピューターチップの融合」や「脳と脳の融合」について紹介します。
また、「人工知能がノーベル賞を受賞する未来」や「結婚や就職などの人生における重大な決断を人工知能がサポートする世界」の可能性について考えます。
そして最終的には、「人工知能をうまく活用することで脳の機能をアップデートできるかもしれない」ことを主張して本書を締めくくっています。

3章の目次

終わりに

「進化しすぎた脳」「単純な脳、複雑な『私』」といった池谷先生の本を読んで神経科学の世界に飛び込んだ私にとって、この本を読んで脳や人工知能の研究を始める人が1人でも増えてくれたとしたら、これほど嬉しいことはありません。

また、脳や人工知能の研究はこれからの時代のフロンティアになることは間違いなく、この分野の最先端を知っておくことは未来を見通すことにもつながると考えています。
この本に興味を持った方は、ぜひご一読いただければ嬉しいです!



P.S. メルマガ「BrainTech Review」では、最先端の脳や人工知能研究を月3回解説しています。

また、「これから神経科学を学び始めたい」という人に向けた入門ガイドも執筆しています。興味のある方はぜひこちらもご覧ください😊




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?