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読書感想文「食道楽」

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248987.html

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248988.html

明治時代のベストセラー、豊橋出身の文化人、村井弦斎の「食道楽」を読了しました。

内容は最初美味しんぼのような話と想像していたのですが、食の話を中心とした、全360話、1000ページ程の長編小説でした。

恋愛小説なんでしょうが、最後の結末はハッピーエンドと言えるかは分かりません。
男達が身勝手な言動で女性の気持ちを翻弄している、という見方もできますし、時代的にはこれが普通の感覚だったのかな、とも思います。

栄養の話から調理法の話までよく網羅されていて、村井弦斎自身がかなり豊富な知識を持った方だと思いました。この小説も恋愛小説というより食育を目的とした本なんでしょう。 

360話もあって、1つの話が新聞小説だったこともあり2ページ分の文量ですし、適当に話を飛ばしながら読んでも読めます。食の蘊蓄を語るだけでも数話かかるので、1話内の文章のテンポは良いが全体の話の進み具合は亀のように遅いという感想です。

現在はもう少し現代風に読みやすくした新バージョンも出版されていますので、自身の感性に合う、合わないで選んでも良いと思います。原書であれば青空文庫でも読めますので。

人にオススメ出来るかと言うと相手を選ぶ本だとは思いますが、良著なのは間違いないですね。




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