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ツバキ文具店を読んだ

小川糸さんのツバキ文具店を読んだ。
鎌倉で手紙の代筆屋さんを営む女性のお話。手紙っていいね。
僕は手紙を書くのが好きなので恋人ができると溺れるくらい手紙を書く。
天国に旅立つときは、愛する人から貰った手紙を抱いていたい。
この作品の好きなところは、手紙が手書きで表現されていることだ。
手紙の表現は、文章の意味だけに留まらず、字体や文体、インク、封筒、切手など多岐に渡ることを書いてくれているところもこの作品の好きなところだ。選ぶのは、言葉だけにあらず。

離婚という結末を迎えた元夫のセリフ
「(離婚に至った経緯を)書いてください。でもその前に、僕たちが幸せな結婚生活を営んでいたという事実もきちんと書いて欲しいんです」が胸を打った。
離婚の理由が妻の浮気だとして、結婚式を挙げたときに祝ってくれた方、温かく見守ってくれていた方に感謝を伝え、結果的に添い遂げられなかったことを誠意を尽くして謝る。そんな思いを手紙として送る。なんて誠実な人だろうと思った。そして、その場面で手紙のチョイスも秀逸。
「封筒の内紙には、冬の夜空のような濃紺の薄紙が使われており、闇の中でも星のような希望が感じられますようにとの願いを込めたつもりだった。」
暗闇の中で見る星は何より輝くよ…!と思わず元夫を応援。

そのほかにも、依頼主と依頼内容に合わせて、インクの濃淡など上述した様々なファンクションを切り替えていくのだけれど、一つだけう〜む。となる表現があったので記録。
「弔意の言葉は、普段よりもずっと薄い色の墨でしたためた。墨の色を薄くするのは、悲しみのあまり硯に涙が落ちて薄まってしまったため、という意味合いである。」非常にわざとらしい、、、薄墨のわざとらしさは、僕の心からは、行動からは排除したい。自分の選択した人生を薄めてしまう。

手紙の供養について
いつか結婚したいくらい好きな人が出来たら、これまで貰ったラブレターは供養しよう。捨てられないけど、供養ならね。

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