『青春18×2 君へと続く道』をみて一期一会を知る

自分時間に3本の映画を観る事ができました。
そのうちの一本をみなさんにご紹介します。
ちょうど封切りが始まったばかりの
『青春18×2 君へと続く道』です。
恋愛映画と思って観に行ったのですが、
カップルに混ざって私のようにひとりでふらっと
来ている人も多かったです。
70代後半くらいのおじいさまがひとりで観に来られているのをお見かけしました。
感想が気になりました。

私が観たかったわけ

私がこの映画を観に行った理由は、日台合作映画だった事です。
映画予告を観て台湾や日本の風景が綺麗でした。
そしてヒロインが清原果耶さんだった事。
彼女の役を演じる表現が好きなんです。
そして相手役は台湾で人気俳優、歌手だそうで
シュー・グァンハンさん。知らない方でした。
この映画はタイトルどうりに、18歳の時に出会った初恋を36歳になって追憶しながら現在を旅していくロードムービーです。

ストーリーと感想

シュー・グァンハンさん演じるジミーは、大学受験の結果待ちをしている、日本で言うところの高校3年生の18歳。
春休み？を利用して台湾の台南に住む彼は地元のカラオケ店でアルバイトをしています。
日本のアニメが大好きな彼は日本漫画スラムダンクが大好きで、日本の漫画文化に憧れて、日本語を学んでいる親日男子です。

台湾は日本の文化や日本にも優しい、とても親日のイメージがあるのですが、そんな私の期待を裏切らないジミーです。
そのバイト先に4歳歳上でバックパッカーをしながら日本からひとり旅をしている清原果耶さん演じるアミが仏像にお詣りしている間にお財布を無くしてしまい、困った彼女がジミーのバイトしているカラオケ店で働きたいと現れます。

ジミーが映画前半は18歳の設定ですが、
実年齢33歳という彼はとても若く見えました。
10代にしか見えない若さや溌剌さや戸惑いや葛藤、思春期特有のかったるさを見事に表現しながら、
映画のところどころには18年後の現在の時間を過ごす実年齢よりも高い36歳の彼が、その18歳の彼と対比するように織り混ざるのです。
その演じ分けが素晴らしくて、似ている二人で役を分けているのかしらと思ってしまうほどでした。

果耶さんのアミの年齢はジミーより年上の22歳ですが、二人は同い年くらいにしか見えません。
アミは秘密をもっているので、ジミーのアミへの一途な想いやアミもジミーにじゅうぶんな好意を持ちながら、互いにそれ以上には近づけないもどかしさがあるわけです。

ある日アミは急遽、旅の途中で日本に帰国することになりました。ふたりは再会を約束して別れて18年の時が流れます。

ジミーはその後、才能を認められて学生時代からの友人たちと会社を立ち上げて成功するのですが、社内で対立して会社を追い出されて挫折して故郷の台南に戻ります。そんな失意の彼にお父さんは台湾の言葉、
「一休みはより長い旅のためだよ」と伝えます。
このジミーのお父さんが人生の分岐点で生き方の指針となる言葉をかける素敵なお父さんなんですよね。

真夜中の5分前を思い出した

台湾での有名なランタンを上げる風景をジミーとアミで旅行して見に行ったり、バイト終わりにジミーの運転するバイクにアミを後ろに乗せて台南の街中をふたりで疾走したり、美しい台湾がスクリーンに流れます。映画後半では、アミを忘れられなかった18年後のジミーがアミが生まれ育った日本へ来日して、
アミの故郷へ向けて国内を電車であちこち旅をしていきます。電車の中から初めて見た雪景色に感動する様子や長岡での新潟ランタン祭りなどの美しい風景が電車の旅と共に繰り広げられます。
そんな旅の途中で松本に降り立った彼は寒さに震えて「一休みはより長い旅のため」と書かれているお店の看板に吸い寄せられるように一軒の居酒屋を訪れるのです。
そこでジミーが偶然に出会った同じ台南出身の店主の顔を見た時に私も一瞬、時が止まりました。
ジョセフ•リュウさん。映画『真夜中の５分前』の
ヒロインの1人、ルーメイと結婚した彼でした。
三浦春馬くんのリョウに事故死をして生き残ったのは双子のルーメイかルオランのどちらなのか確かめて欲しいと迫った人でした。
こんなところでお会い出来るなんてと「真夜中の５分前」を思い出しました。撮影時、春馬くんは23歳。放映は2014年作品でしたから、かれこれ10年前にもなるのでしょうか。
他にも日本キャストは松重豊さん黒木瞳さんと春馬くんにとっては懐かしいお顔が次々とアミゆかりの方として出演されていて心が揺れてしまいました。

ジミーに懐かしい過去の時間と現在の時間の対比が起こります。
人生の支えになる出会いは、めったにあるものじゃない。お父さんの言葉を思い出します。
忘れられない出会いを確かめるジミーの旅。
優しい人たちに出逢い、美しい日本の風景に癒されながら、ジミーはアミと再会出来たのでしょうか。
人生の時は今、ここのみ。それは一期一会なのかもしれません。