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「チーム・ジャーニー 著者による本読みの会 第09話『塹壕の中のプロダクトチーム』」に参加しながらまとめてみた

 第9話から第2部が始まり、今までと体制が大きく変わる中で奮闘する主人公とともに物語が進んでいきます。

塹壕の中のプロダクトチーム

いきなり一緒になるチーム

「新たなる希望」作戦を終えてしばらくたち、プロダクトオーナーも一部チームメンバーもチームを離れている状態になっているようです。

誰もがこの働き方を気に入るわけじゃない
(アジャイルサムライ)

 そんな状況で各プロダクトを開発していた3つのチームを1つのチームに統合すると社長が決めたことから話が始まります。

「このプロダクトチームの開発チームは、太秦にやってもらう。」

全員不安、僕も不安

 チーム構成として、プロダクトマネージャーやシニアPOがいて、3つのチームをエンジニアリング面で見ていく役割を太秦が任されましたと。統合というよりも、独立していた3つのチームを横断的に見ていくようになるってことでしょうか。太秦は今までのチームのリーダも引き続き続け、兼任という形で横断的に見ていくことになるみたいです。

 ステアリングコミッティという言葉をここで初めて聞きました。

プロジェクトやプロダクト開発の運営を行う運営委員会のこと。

 チームによってはウォーターフォールに近い開発手法を取っているところもあれば、太秦がやってきたようにスクラムでやってきたチームもあって、各チームがそれぞれのやり方で開発を行ってきたようです。それを現場をよく分かってなさそうな社長の一言でチームが統一される運びに……。

 人数が多くなる、今までのチームで分断されている、ことからもコンウェイの法則によって、コミュニケーションの質がプロダクトにも反映されることが予見できますね。

チームに情報が行き渡らない要因
ーー「経路設計の複雑性」と「解釈の多様性」

 複数チームの運営を難しくなる要因として「情報流通の不全」が挙げられています。今までとの違いが情報の滞りと状況解釈のズレを生み出すからです。

 情報流通の不全をさらに拡大させてしまう要因として、「経路設計の複雑性」と「解釈の多様性」の2つが挙げられています。

チームが価値を創出するために必要な情報

 なぜチーム内に情報を流通させるのかということで「価値の創出」につなげるためと書かれています。

 3つの価値として以下が挙げられていました。

✔ ユーザ(にとっての)価値
✔ ビジネス(にとっての)価値
✔ プロダクト(にとっての)価値

 価値の話は Clean Architecture 本にも出てくるらしいです。先週届いた!

価値につながる「原石」としての情報(What)

 ユーザからのフィードバックが大事。それらの背景や理由を突き止め、ユーザやビジネスにとって必要なことは何かという「知識」を手に入れられる。

 「知識」に至るために「仮説」を立てて検証して価値を見出す。

「価値創出を促す」ための情報(Why、How)

 ミッションを実現するためにプロダクトチーム全体でとらえておくべき方針を決めておく必要があり、これが戦略にあたります。

 この方針に基づいて各チームレベルでのミッションへ落とし込み、ジャーニーの作戦を立てる流れになります。ゴールデンサークルもまた登場します。

情報流通のための境界設計と越境

 チーム全員がすべての情報を同じ粒度で受け止め、解釈し、手にしていくのは難しいとも書かれており、そのためには情報流通のための境界設計が必要と書かれています。

 ここでコンウェイの法則が出てきました。

「プロダクトの設計は、組織のコミュニケーション構造を反映したものになる」

 取引コストという考え方も出てきました。

何らかの経済取引を行う際、商品そのものにかかるコストだけではなく、正当な取引相手を探し出すコストも、相手と合意形成するためのコストも、取引を維持し履行を促すためのコストも必要になる。そうした商品以外にかかる、取引を成り立たせるためのコストの合計のことをいう。

 勉強になる~。関係ないけど、人と接しない生き方もこの取引コストを大きく見積もってるからなんだろうか。

 そのため、横断的な情報流通をどこまで行うかの設計が求められます。それを考えるための3つの指針があります。

すべての情報を全員で共同所有する
 理想だが、取引コストが高い。この理想から出発し、現実との間で折衷して決めるようにしましょう。

Why寄りの情報は広めに、How寄りの情報は狭く
 目的や目標に関する情報は全体での最適化を目指し、手段や設計はチーム内に閉じ込める方法です。

最前線のチームからの情報を全体に流し直す
 最前線からの情報をもとに、全体が機能不全に陥らないように現場からのフィードバックループがかかるように、経路設計が必要ということです。

チーム内で閉じ込めたり、横断的に流通させたりと境界の設計が大事なってきますし、「越境」の働きかけも大事になってきます。

複数チームの間で起きる問題パターン

 協働が難しい理由として、人と人との間での「共通理解の形成」があるからだと書かれています。

 問題パターンも表でまとめられていますが、「誤った役割認識、責任の押し付け合い」「割り込み問題」「単純接触回数、時間の低下」あたりが刺さりましたね……。


 第2部でガラッと体制が変わりましたね。横断的な仕事も兼任で任される太秦さんがこれからどう活躍していくのか見ものです。





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