徐台教(ソ・テギョ)

記者。韓国ソウル在住。群馬は新町の生まれ。ヤフー個人ニュースを主に、各種ウェブ媒体に寄…

徐台教(ソ・テギョ)

記者。韓国ソウル在住。群馬は新町の生まれ。ヤフー個人ニュースを主に、各種ウェブ媒体に寄稿。たまにラジオ。スンデや臓物が好き。

最近の記事

【書評】西部戦線異常なし

10年くらい前にブログに載せていた書評を発掘し読んでみたところ、偉そうに書いてあって面白かったので紹介しておく。 書評「西部戦線異常なし」 ◇直截に戦争を語ることに成功した傑作  「直截(ちょくせつ)」という言葉は、同じ音を持つ「直接」とは異なる文脈で使われる。後者は主に空間範囲の狭さを表すのに対し、前者は感覚的な直進性、暴露性を内包する方法論的な理解をされることが多い。言い換えれば「すばり」、となる。  「西部戦線異常なし」は、戦争を直截的に語ることの難しさを乗り

    • 海と風と怒りと

      親父の入院が長引きそうな中、23日からコロナ治療にかかる費用への国家支援が打ち切りになるという。まだ本決まりではないが、週明けに決まるそう。下手すると莫大な費用を請求される恐れがある。これまで文政権のコロナ対策に一定の評価を与えてきたが、いざ当事者になると「ふざけるな」という思いが湧いてくる。今も毎日3万人近くが新たに感染しているのに、なんでいきなり治療費支援を止めるんだ?以前は500人でピーピー言ってたんじゃないのか?と毒づきたくもなるもんだ。 日曜日の朝は早くからカフェ

      • 妻と父、母と私

        この度わが家を襲ったコロナによって、最も大きな被害を受けた(受けている)のは父だが、妻も少なからぬダメージを負った。さすがに詳しく書くことはしないが、思いもしなかったような出来事が起きた。 今日も朝から午後まで妻の病院に付き添ってきた。病状の確認もあったが、どんな医者か見てみようという狙いもあった。案の定、ロボットのような医師で、まったく人間的な信頼を持つに至らず、もう少し別の医師を探してみようということになった。 家に戻ると、今度は母が親父の病院に行きたいという。行って

        • 庭の掃除をして、読んで書いた

          毎日ここに何かしら書くつもりだったが、さっそく間が空いてしまった。光陰矢のごとしとはよく言ったもので、梁山泊の花栄も驚くほどのスピード感で時が過ぎ去っていく。 今日日曜日は、庭の草刈りをした。一時間半ほど、隅から隅まで電動カッターでバババッとなぎ倒した。電源を背負うタイプの本格派であるため威力は申し分なく、地表すれすれで刈られた草からただよう香りに庭じゅうが包まれた。隣の家のバーベキューの匂いと相まって、ぜいたくな空間だった。 そして晩飯後、妻と人生相談を行った。コロナが

        【書評】西部戦線異常なし

          5月は休み、書く

          韓国語に焦土化초토화という言葉がある。日本語では焦土と化す、という意味合いになる。最近、我が家はこの言葉がぴったりだ。理由はコロナ。6人家族のうち5人が感染し、親父は重症で入院中だ。共働きなためどちらかが家事にかかりきりになるしかならず、私がその役割を選んだ。 5月10日には新大統領が就任し、5月18日には光州民主化運動記念日もある。どちらも現場に足を運ぶべきだが、気が進まない。理由は家事だけではない。それよりも過去5年間、ずっと休まず韓国や朝鮮半島の出来事を追ってきた中で

          5月は休み、書く

          20/9/22 ソウルは遠い

          今年2月、7年住んだ独立門を離れ金浦市に引っ越した。 金浦空港から車で10分くらいの静かな一軒家。 庭が広い上に家中に見たことない虫が這って飛んで飽きないのだが、 唯一の難点はソウルが遠くなったこと。 ここでソウルとは、普段活動の中心になっている光化門一帯や汝矣島のこと。 光化門には政府中央庁舎や少し行くと青瓦台があるし、 新聞社も多くプレスセンターも韓国最大の本屋・教保文庫もある。 歩くと必ずデモも見かけるし重宝する街なのである。 一方の汝矣島は国会がデンと鎮座しているため

          20/9/22 ソウルは遠い

          繰り返し

          人生とは繰り返しであると言うが、「何の」繰り返しなのかが大切だろう。 呼吸であるかもしれない、恋愛であるかもしれない。 しかし、記者という仕事柄、私にとってそれは「出来事」の繰り返しとなる。 何か世の中に動きが起きると、それを整理したり 逆に世の中に投げかけたいものを取材して、それを記事ととしてリリースする。 この時に気をつけなければならないのは、日付けを入れ替えただけで成り立つような内容を避けることだ。 そんな内容は、案外多い。

          冷静な記者

          記事を出すと、はてブやツイッターなどに少なくないコメントや感想が寄せられる。中には「冷静な記事」と書かれることがある。 そう、私は冷静ではある。だがいつも、良い世の中に逆行するような社会政治外交すべてに怒っている。そうでなきゃ記者はできない。

          飲み過ぎ

          一昨日は北朝鮮を離れ韓国に住むいわゆる「脱北者」少年野球団の運営理事会があった。風光明媚な場所でやったのだが、そもそもの副題が「団結大会」であったため、早々と飲み会になった。 50羽の参鶏湯、大量のサムギョプサルに、テーブルに乗り切らないほどのビールと焼酎。7〜8時間くらいずっと飲み続けて、酒が尽きたので終了となった。驚くべきことに、誰も酔っていない様子だった。いったい何だったの、という感じ。

          エビは豚を殺す

          韓国に住んでいると、豚とキムチがセットなのが良く分かる。 サムギョプサルと一緒にキムチを焼いたり、豚のロースの塊をキムチと煮たり さらにバラ肉(まあこれは薄切りサムギョプサルなのだが)をキムチと炒めたり、 とにかく豚といえばキムチなのだ。 なぜか。 韓国にこんな格言がある。 「エビは豚を殺す」 武田泰淳の名著『秋風秋雨人を愁殺す』を彷彿とさせるタイトルであるが、 どうやら豚はエビを食うと死んでしまうらしい。 だからこそ、豚とキムチを一緒に食うとよいのだ。 何が良いの

          どうやっても眠くなる本

          この世にはそういう本がある。 呪われているかのように眠くなる本が。 それがベストセラー小説などの場合、自己嫌悪に陥る。 そして自己嫌悪の中で眠る。

          どうやっても眠くなる本

          8月15日は特別だろ?

          昨日の8月15日をピークに、その前の数日間はやはり忙しかった。何人かの知り合いに聞くと韓国の記者も日本の記者も忙しそうだった。 まあ、8月15日というのは、それくらい意味のある日ではある。 前日遅くに出したインタビュー記事のアクセスがよかったが、その分色んな拒否反応も目についた。ネット右翼からの反応は強かった。 感想は、なんでもいい。どんなクソリプもそりゃあ読んでるけどさ。 戦争や植民地支配で無念に死んだ人々を思い出して、そして今も死んでいる人がいる事も忘れず、今この

          8月15日は特別だろ?

          外部活動まとめ [最終更新20221102]

          ヤフー個人ニュース以外の掲載誌やラジオ出演の記録のまとめ。新しい順です。2019年9月から22年10月までの更新していなかった分は、少しずつ補完していきます。 ◎2022年11月3日 【ラジオ出演】TBSラジオ「荻上チキ・Session」 特集「梨泰院・群衆事故を通して考える韓国社会と政治の課題」 配信サイトリンク https://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20221103172356&noreload=1 ◎2022年 11月2日 【寄稿】東

          外部活動まとめ [最終更新20221102]

          敵を知り己をなんとか

          今日から簡単な日記をつけていく。 韓国で「86世代」が話題だ。80年代に大学生活を送った60年代生まれのことだ。なぜ名前が付いているのかと言うと、彼・彼女らが1987年の民主化運動に大きな貢献をし、その後2000年頃から政界に大挙進出、そして今は権力のど真ん中にいるからだ。 だが、そんないわば栄光の世代の権勢にも陰りが見え始めている。「無能」「アマチュア」「民族主義」「不勉強」といった修飾語が示すように、この世代には能力が無いばかりか、03年から08年までの盧武鉉政権時代

          敵を知り己をなんとか