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『こちら転生者派遣センターです。ご希望の異世界をどうぞ♪』第1話 【創作大賞2024・漫画原作部門応募作】

あらすじ
 どこかにあるという、摩訶不思議な場所『転生者派遣センター』。その場所では簡単な面談を行い、自身の希望を伝えることによって、好みの異世界へ転生することが出来る。
 今日も様々な思い(主に欲望)を抱いたものたちがその場所を訪れ、それぞれの希望にできるだけ沿った異世界へと旅立つ。あくまでもできるだけではあるが……。
 これは転生者派遣センターを気軽な気持ちで利用し、様々な予期せぬ事態に見舞われ、翻弄されるものたちを描いたオムニバスストーリーである。

本編

ケース1:Dランク異世界でのまったりとしたスローライフを希望するCランク勇者ショー=ロークの場合


「……はい、こちら転生者派遣センターのアヤコ=ダテニです……」
「っざけんな‼ 話が違うだろうが!」
 俺は脳内での会話相手に思いっ切り怒鳴りつけていた。どうしてこのような状況になったのか、時を少しばかり戻すとしよう。

 ……おかしい、明らかにおかしい、どう考えてみてもおかしい……正直あまりにもおかしいところだらけで突っ込みが追い付かないのだが……この俺、経験豊富なCランク勇者、ショー=ロークが置かれているこの状況を出来る限り冷静に分析しようじゃないか。
 まず空だ……どうしてこんなにも暗い。昼という概念が無いのか、そんなはずは無い。光は黒々とした雲の隙間から、ほんの僅かではあるが、地面を照らしている。にもかかわらずだ、風が吹きすさぶわけでもない、気流の流れみたいなものは……俺にはよく分からないが、こんなにも光が照らさない、明るさに乏しい空間があるものなのか?
 次に建物だ、どうやら森の中で小さな集落を形成していたらしい。壁や屋根に煉瓦をふんだんに用いたさほど大きくはないがそれでもなかなか立派な家々がそこには立ち並んでいる……はずだった。しかし、その家々の姿はもはや見られない。家も店も建物という建物が軒並み破壊し尽されている。これは大嵐や地震などの天災によるものではない。明らかに何者かの手によるものである。
 そして、人々だ。いや、正確に言えば人ではないのかもしれない。この集落だった所に互いに身を寄せ合っているのは、尖った長い耳が特徴的な人間に似た種族、『エルフ』だ。彼らは美男美女、やせ形、色白、金髪碧眼、美しく整った長髪などの身体的特徴を持っていることが多い。この世界でもそのようだが、様子がおかしい。美形揃いではあるが、どう見ても老人と子供のエルフしかいない。残った数十人のエルフたちはこの集落で二番目に大きい建物と三番目に大きい建物に分かれて隠れてじっと息を潜めている。その二つの建物も暴威に曝されて、ほとんど壊されているのだが、地下に部屋があった為皆そこに逃げ込んだ。エルフたちは元々やせ形の体をさらにやせ細らせて、震えている。元々透き通るほど美しかったであろう白い肌もすっかり青白くなり、その整った顔立ちは恐怖で歪んでいて見る影もない。
「えっと……」
 俺は後頭部を掻きながら、出来る限りの現状把握をして、自分の現れた部屋に一旦戻ってくる。二つの地下室の更に下にある大きな地下室だ。双方の地下室と繋がっていて、どちらからでも入ることが出来る。
「……宜しいですかな?」
 フードを目深に被り、立派な白髭をたくわえた、やや腰の曲がったエルフが口を開く。その醸し出す雰囲気、周囲のエルフの敬うような態度からみても、この集落の長なのだろう。俺は答える。
「あ、ああ、失礼、続きをどうぞ……」
「貴方様は―――」
「『我々が召喚の儀式を行って、この地にお呼び立てしたのです。何分突然のことで戸惑われておられるでしょうが……お願いします、勇者様。どうぞ勇者様の智勇を以って我々を、この荒廃した世界をお救い下さい……』」
「⁉」
 自らの言わんとした台詞を先に俺に言われたことに長は面食らったようだ。エルフは長寿の種族だ。この長も俺なんかが想像もつかないほど長生きしているはずだ。それでもこれまでそんな経験は無かったのだろう。フードから覗く目は驚きに満ちている。俺は下の石畳に描かれた魔方陣に目をやる。
「ふむ、召喚されて魔方陣からスタートっていうのは何度も経験したお決まりのパターンだが……やっぱり何かがおかしいな……」
「あの……?」
「ああ、何でもない、こちらの話です」
 俺は首を振って、にこやかな笑顔で長に答える。物腰は柔らかく、初対面との相手との会話は丁寧に。未知なる世界で過ごす最低限のマナーのようなものだ。
「そ、そうですか……どうやらご自身の置かれている立場に関しては理解されているご様子ですので、単刀直入に申しあげますが―――」
「『この集落を脅かす悪しきモンスターを討伐して頂きたいのです』」
「⁉」
 またも自らが口にしようとした台詞を俺に先に言われて、驚いたようだ。少し俺を見つめる視線に恐れを含んだようなものを感じる。少し調子に乗ってやり過ぎたか。俺は周りを見渡しつつ話題を変える。
「この集落はお年寄りや子供ばかりの様ですが……青年の方々は居られないのですか?」
「若い者はほぼ全員男女問わず、近隣の他種族の住む町村に出稼ぎに行っております」
「出稼ぎ?」
「まあ、出稼ぎとは物の言い様で、本来の目的は世間を知り、個々の見聞を広めることですな。我々エルフはどうも浮世離れしてしまいがちですので……お金を得るのはさして重要な問題ではありません。勿論お金があるに越したことはありませんが」
 長は少し笑みを浮かべる。
「……弓矢の腕が立つ男は傭兵として戦に臨み、力自慢の男は土木建築を行い、音楽が得意な女は楽器の演奏で皆の心を癒し、魔法の心得のある女は医者の補助をして、また男女問わず働き者は農作業に精を出し、なにかと気の付く者は商人の手伝いをし、知恵のある者は教鞭を取るなど各々様々なことをして、経験を積んでおります」
「成程……若いエルフが出払ってしまっている所をモンスターに襲われたと……」
「はい……まさかこんなことになるとは、迂闊だったとしか……」
 長は再び暗い面持ちになる。
「助けは呼んだのですか?」
「もちろんです。ただ、近隣の町村にいると言っても、ここから歩いて一週間はかかる場所におります。馬を飛ばしても、数日はかかるでしょう。正直そこまで持つか……」
「皆で逃げるというのは?」
「足腰の弱った者が多いのです。馬も可哀想にほとんど殺されてしまいました。幸いにも二頭残っておりますが、これは最終手段です。本音を申せば、長く住み着いたこの土地を捨てるということはしたくはありません。ご先祖様に顔向けできませんので……」
「成程、事情は概ね理解しました」
 俺は頷く。長は顔を上げる。
「おおっ! それでは……」
「モンスター討伐、お引き受けしましょう。モンスターは今どこに?」
「ありがとうございます! 我々年寄りの魔法により聖堂の中に閉じ込めております」
「聖堂ですか……」
 俺は先程地上に少し顔を出したときに目についた、この集落で一番大きな建物の姿を思い出す。長は不甲斐ないというように首を振る。
「ただ我々の衰えた魔力では、後ほんの僅かな時しか、奴を閉じ込めておけません……」
「猶予は残されていないということですね、分かりました」
「おお……一切の躊躇いなく向かって下さるのですね。流石は勇者様!」
「少し唐突なお願いですが……鏡などあったら貸して頂けませんか?」
「鏡ですか? 上の我が家にならば姿見がまだ残っているはず……誰か持ってきてくれ」
 持ってきてもらった姿見で、俺はこの世界での自分を確認する。
(ふむ……容姿は特別良い方ではないが悪くもないな。髪色は黒が基調だが若干グリーンが入っているのか。長さはこれくらいさっぱりしていた方が良い。体付きは程よく引き締まっている。筋骨隆々だとどうしても俊敏さに欠けるきらいがあるからな)
「あ、あの、勇者様……?」
 長が不思議そうに尋ねてくる。このままでは集落の危機が間近に迫っているというのに、鏡で自分の顔や体を入念にチェックする単なるナルシストだ。俺は慌てて取り繕う。
「あ、ああ、ご心配なく、武具等の確認をしておりました」
 これは半分嘘で半分本当だ。武具や防具がしっかりしていなければどんな勇敢な勇者でも、どんなに精強な戦士でも、雑魚モンスター一匹を狩ることにすら難渋するのだから。装備は鉄の剣、錆びてはいないが、古い剣だ。軽く二、三度振ってみる。重さは感じない。手にはすぐ馴染む。悪い剣ではない。盾についても同様のことが言えた。
 続いて服装だ。赤色の厚手の皮で出来た鎧に身を包んでいる。パンツは白で、ブーツは黒。青いマントが背中にたなびいている。そして何故か首元に緑のマフラーが巻いてある。単におしゃれアイテムというわけでもないだろう。身に付けておくことで何らかの特殊効果が期待できるかもしれない。腰の辺りには小さな茶色の鞄がぶら下がっている。勇者に相応しいものかと思ったが、薬草等をこれの中に常備しておくといいかもしれない。
「勇者様……?」
 長の声に俺はハッとなり、彼の方に向き直る。
「失礼、確認終わりました」
「そうですか、入念に確認をされるものなのですね。長く生きておりますが、勇者様という方とこうして直にお目にかかるのは初めてでして……」
「戦いというのは準備の段階で八割方勝敗が決まるものです」……などと言うどこかの世界で聞きかじった言葉を、この長に偉そうに言ってもしょうがない。俺は長や周りのエルフたちを安心させるような笑顔を浮かべて告げる。
「何も心配はいりません。この村の平穏は私、ショー=ロークが取り戻してみせます」
「長様!」
 若く美しい女性のエルフがその輪の中に飛び込んできた。
スティラか、どうしたのだ……?」
「わたくしが勇者様にお供することをお許しください!」
「な、ならぬ⁉ そなたはいよいよとなれば子供らを連れ、逃げてもらわねばならん!」
「そこを曲げてお願いしております!」
「ならぬと言ったらならぬ!」
 埒が明かぬと思ったかスティラと呼ばれた女は俺の方に向き直り、跪いて頭を下げる。
「勇者様、是非ともわたくしめをお供にお加え下さい! わたくしは……」
 長く綺麗な金の髪を大きな三つ編みのおさげにして前に垂らしていて、白く清潔感のあるローブを身に纏っている。慌てて駆け込んできたためか、ローブの胸元が若干はだけており、そこからのぞく豊満な胸元が俺の目に入る。その時点で俺の考えは決まった。
「良いでしょう。ただ危険ですから、私から極力離れないように」
 俺はわざとらしい咳払いをしながら彼女の同行を認めた。胸元に気をとられ、彼女の言葉を半分聞いていなかったのだが、服装や持ち物の杖から判断するに魔法使いであろう。俺たちは地下室から地上に出て、聖堂を目指す。
「初っ端から仲間同行のクエストとは……果たしてそこまでの相手だろうか?」
「え? なにかおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもない、只の一人言です、気にしないでください」
「? ここが聖堂です」
 スティラが指し示した建物は成程、この集落一番の立派な建物だったのであろう。しかし、屋根や外壁の一部が無残にも壊されてしまっている。
「ここにモンスターが逃げ込んだのですか?」
「正確には迷い込んだところを長様たちの結界魔法で閉じ込めることが出来ました」
「その結界も破られそうだと……」
「ええ、そうです」
 俺は首を捻った。この世界の魔法技術の練度などに関してはまださっぱりだが、長たちがかけたというこの結界魔法、かなりのものなのではないだろうか。これを破ろうとしているモンスターだと? いやいや、長たちの魔力が衰えているのだろう。そうだ、そうに違いない。俺は首を左右に振り、わずかに生じた疑念を打ち消す。
「魔法の対象外であるわたくしたちはこの結界は自由に出入りすることが可能です……いかがなさいますか?」
「ふむ、そうですか……それでは正面から突っ込みます」
「⁉ だ、大丈夫なのですか?」
 スティラが驚いた顔を見せる。俺は頷いた後、小声で呟く。
「この段階での戦闘はあくまでもこの世界に慣れるための戦闘だ。心配することはない」
 俺は不安げに見つめてくるスティラに指示する。
「私が前衛を務めます。貴女は後衛に控えていて下さい。もしも私が傷付くようなことがあれば、迅速な回復をお願いします」
 スティラは杖を片手に深く頷く。もっともそのような事態は起こらないと思うが。
「では、行きます!」
 俺が勢い良く聖堂のドアを蹴破る。聖堂の奥の方に進むと、そこには身の丈が俺の倍以上もある巨大なミノタウロスが立っていて、近づいてきた俺たちに視線を向ける。
「お、おおっ……」
 その大きさに一瞬たじろいだが、なんの俺は百戦錬磨のCランク勇者だ。こんなDランク異世界のモンスター、しかも転生早々に戦うような相手だ、どうせ見かけ倒しだろう。恐るるに足りん。
「うおおおっ!」
 俺は声を上げながら勢い良く斬りかかる。だが、次の瞬間、俺の体は聖堂の外に吹っ飛んでいた。ミノタウロスの持っていた金棒で殴られたのだろうか、俺の腹は血まみれになっていた。あばら骨も何本か折れたかもしれない。うん、この感じ、間違いない。
「勇者様!」
 スティラが慌てて駆け寄ってくる。俺は息も絶え絶えながら、なんとか片手を上げて彼女を少し落ち着かせ、心の中で『ポーズ』と唱える。俺も彼女も時が止まったような状態になる。良かった、この力は使えるんだな……と安心しつつ、続いて俺は『ヘルプ』と唱える。聞き覚えのある女の声が脳内に響く。
「……はい、こちら転生者派遣センターのアヤコ=ダテニです……」
「っざけんな‼ 話が違うだろうが!」
 俺は脳内での会話相手に思いっ切り怒鳴りつけていた。ここで話は冒頭に戻る。
「いきなり怒鳴りつけられても……何事でしょうか、ショー=ローク様?」
 アヤコと名乗った女がややうんざりしたような口調で俺に問う。
「今、俺がいるこの世界の事だ! なんだ、あのミノタウロスは⁉」
「ミノタウロスは牛頭人身の怪物で……」
「それは知っている! 俺が聞きたいのはあのデタラメな強さだ!」
「デタラメ?」
「そうだ! 最初の戦闘だぞ⁉ いきなり半殺しだ! いくらなんでも強すぎる!」
「ふむ……」
 アヤコが考え込む。何かを操作する音が聞こえてくる。恐らく俺との面談の時にも使っていたあの機械端末の出す音だろう。
「ひょっとしてあれか? 強制的に負ける戦闘ってやつか?」
「いや、それは無いと思いますが……あ~そうですか……」
 端末を操作する音が止まり、アヤコは自分だけ納得した様子を伺わせる。
「なんだ?」
「すみません……ショー=ローク様、貴方のご希望を今一度確認しても宜しいですか?」
「『Dランク異世界でのまったりとしたスローライフ』だが……?」
「『SSSランク異世界でののっぴきならない冒険ライフ』ではなく?」
「いや、全然違うだろ⁉」
「どうしてこうなったのでしょう?」
「こっちの台詞だ! さっき、血がドバっと出て、一瞬走馬灯が見えたぞ!」
「『異世界でのベッタリとしたスローモーション』、部分的にはご希望に沿えていますね」
「『まったりとしたスローライフ』だ! 『たりとしたスロー』しか合っていないじゃないか! 部分的にも程があるだろう!」
「まあ、少し落ち着いて下さい」
「これが落ち着いていられるか! 本当にどうしてこうなったんだ⁉」
「……面談データによりますと、『他種族が大勢いる異世界が良い』とのご希望もあったかと思いますが……」
「ああ、そう言ったな、やはり人間だけというのもいまいち味気が無いからな」
「『たまにはチート能力に恵まれたい』とも……」
「自慢じゃないが、俺は今までの様々な異世界での冒険をほぼほぼ、所謂チートスキル無しで乗り切ってきた。例えば……」
「大体の経歴は把握しておりますので、思い出話は結構です」
「と、とにかく、そうやってどうにかこうにかCランクまで登りつめたんだ。そろそろチートスキルまみれな異世界に転生を希望しても罰は当たらないだろう?」
「なおかつムフフなハーレム展開を希望すると……」
「そこまで直接的な言い方はしていないが、出来ることなら美女に囲まれたいというような趣旨の発言はした覚えがあるな」
「ふむ、そうですか……」
 アヤコが端末を操作する音が聞こえる。やや間が空く。
「どうした?」
「原因が分かりました」
「本当か⁉」
「ええ、『人間以外 他種族 大勢 チート ハーレム』で検索にかけたところ、一番最初に検索結果に出てきた異世界を紹介してしまったようです」
「なっ⁉」
「どうやら検索ワードに『Dランク スローライフ』というワードを入れ忘れてしまっていましたようですね……てへっ」
「てへっ、じゃない! そっちのミスじゃないか!」
「詳細の確認を怠ったそちらの落ち度もあるかと思いますが」
 アヤコが眼鏡をクイッと上げる音が聞こえてくる。
「くっ……まさか転生十何回目で、こんなことになると思わないだろう……」
「油断大敵というやつですね」
「なんでちょっと偉そうなんだよ」
「そのようにお感じになられたのなら申し訳ありません。ただ、ご承知のことかとは思いますが、現状こちらから転生者の方に何か出来るわけではありませんので」
「どうすれば良い?」
「まあ、一番は目標を達成することですね」
「無茶を言うな、初っ端のモンスターにすら歯が立たないんだぞ? 情けない話だが、この世界は俺の手には余る」
「であれば、目標を放棄するということになりますね」
「……つまり、死を選べってことか?」
「そうなります」
「痛いのも苦しいのも嫌だな」
「それはこちらの知ったことではありません」
 アヤコは冷たく言い放つ。
「ぐっ……」
「これもご承知のことかと思いますが、よほどの例外でもない限りは、一度転生した世界を途中で抜け出すことは出来ません」
「ううむ……」
「私から言えることはただ一つです」
「一つ?」
「健闘を祈ります」
「いや、そうは言ってもだな!」
「これ以上は時間外業務になりますので……失礼します」
「あ! ちょ、ちょっと待て! ……切りやがった」
 俺は途方に暮れる。ここからポーズ状態を解くと、時間は再び動き出す。俺はミノタウロスの痛烈な一撃を喰らい、腹部から大量の出血をしていた。このまま放っておけば、死に絶えるだろう。ただ、あまり受け入れたくない死に方だ。どうせならば首を刎ねられた方がまだマシだった。しかし、このままジッとしていても事態が好転する訳ではない。
(仕方が無いな……ポーズ解除)
 再び時が動き出す。俺は相当の痛みと苦しみに襲われることを覚悟した。だが、なんとも無かった。俺は不思議に思い、自らの腹部を確認する。すると……
「⁉ 傷が治っている⁉」
 先程チラッと見て、すぐに目を逸らしたのだが、俺の腹部は多量の血にまみれ、臓物も少しまろび出ているようななんともグロい状態だったはずなのだ。それが綺麗さっぱり治っている。傷跡も無い。骨折も治ったようで、そちらの痛みも全く感じない。


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