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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜

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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜をまとめました!
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2023年7月の記事一覧

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(5)

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(5)

 現在に戻る。
「料理のメニューはウグイスやカワセミに教わって主人の国の料理を作ることにしたの。聞いたのをイメージしてアレンジする感じだけど」
 フレンチトーストもウグイスの拙い説明を聞いて再現したのだと言う。
「凄いよね。自分で言うのも何だけどあんな説明で作れちゃうんだから」
 一体、どんな説明だったのだろう?とナギが目を細めてウグイスをじっと見る。
「結構、大変だったんだよ」
 アケは、唇を尖

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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(4)

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(4)

 それは1週間前までに遡る。
 屋敷のリビングでアケの作った特製あんこを包んだお饅頭を皆で食べていた時の事だ。
「そうそう、私達って今日生まれたんだ」
 庭に蒲公英が咲いていたんだ、とでも教えてくれるように簡単にウグイスは言った。
「そういえばそうだったな」
 表情にこそ出さないが嬉しそうに饅頭を食べながらカワセミも同意する。
 そのあまりにもあっけらかんとした口調と反応にアケは口を丸く開いた。

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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(3)

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜 第6話 姉様(3)

「ナギー!いらっしゃーい!」
 春の日差しのような朗らかな声にナギの緊張と焦燥に駆られていた心は一気に崩れた。

 緑色のハーピー 、ウグイスと名乗った少女の言葉に従い、黒狼の屋敷から東にある平野を目指して飛んだ。
 目的地付近で飛龍の背から見下ろした光景はウグイスが言ったように岩と草、そして木々が生えるだけの広い平原で特出したものは何も見えない。
 こんなところで何が・・・。
 アケの身に最悪の

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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼 第6話 姉様(2)

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼 第6話 姉様(2)

 修練場の裏にある汲み上げ式の井戸の注ぎ口に桶に溜めた呼び水を注ぎ、レバーを何度か上下させると地下から組み上がった水が蛇口から大量に溢れ出す。
 ナギは、呼び水の入っていた桶に井戸水を汲み取ると地面に起き、手拭いを水に浸す。
 指先に触れた井戸水はひんやりとして気持ち良い。
 ナギは、道着の上を脱ぐと10代の半ばとは思えない発達して隆起し、無駄な肉が一切ない筋肉が現れる。そしてその筋肉の表面に描く

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明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜第6話 姉様(1)

明〜ジャノメ姫と金色の黒狼〜第6話 姉様(1)

 一閃。
 その太刀筋を例えるのにそれ以上の言葉が存在するのか?もし、それ以外の言葉を選べと言われたらこれしかない。

 不可視。

 白蛇の国の中心地である都の中心に鎮座する関白大政大臣を始めとする国の官職が集い、住まう皇居の外れに武士達の修練場はあった。
 豪華絢爛、汚れのない白の漆喰で建築された事から白蛇城と呼ばれる皇居に比べ、武士達の宿舎も兼ねた修練場は規模こそ大きいものの正方形の質素な造

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