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氷河期世代はサイクリストになることで自分を取り戻せる…と思う

は? 何言ってんだこいつ?

ってかそれお前の趣味だろ単に。

そんなツッコミが飛んできそうなタイトルだけど、まあまあそう言わずに、御用とお急ぎでない人はお付き合いください。

自分ももろにロスジェネの氷河期世代、しかも薄給の非正規で図書館司書をしている身としては、同様の境遇にいる人々が社会からほぼ確実に見捨てられるであろう事態を見過ごすことはできない。

早い人は50代に突入しているロスジェネ世代は、いくら頑張っても正社員として採用されることはない、というか正社員でも給料は低いし、定年まで15年やそこらしかない。その後はまた非正規に逆戻り…。

「もうあきらめたよ」「何やっても巻き返すことなんてムリ」

そんな氷河期世代に向けては、もはや自分たちの方から社会を見限って、自助と自己決定・相互扶助による連帯をモットーに、アナキズムに基づいた活動をしていくべきじゃないか、という話をこの前書いた。

で、そんなアナキストな氷河期世代にとって有効なアイテムとなるのが
自転車
であり、しかも単に日々の足として使うだけよりも、よりアクティブなサイクリストになることが、お金をかけずに生活の質を上げ、自由な生き方をもたらしてくれるはず、というのが今回言いたいことである。

理由①カラダが変わる

氷河期世代の中高年のために限らず、自転車が健康にもたらす恩恵についてはよく知られている。主なものだけを挙げても

  • 生活習慣病の予防と免疫強化:有酸素運動による呼吸・循環器系機能の向上で、中性脂肪の血中濃度低下/善玉コレステロール増/糖尿病予防

  • 肥満防止とダイエット効果:低強度・長時間運動で体脂肪の分解が容易

  • 下半身の筋力アップ:高齢になった時の足腰の衰えやフレイル予防

  • 持久力向上:最大酸素摂取量が増加し、持久力向上につながる

これから身体の不調が顕著になってくる40~50代にとっては、病気への備えがより大事になってくる。
しかし、賃金が低く、生活に余裕がないロスジェネ/氷河期世代にとっては、将来への備えにも、目の前の医療費にも不安は尽きない。
そこで積極的に自転車を使い、まとまった運動を日常生活に組み入れることができれば、程度の差こそあれカラダは変わる。

健康診断の数値にも明らかな違いが出る。病院のお世話になる機会が少なくなれば、保険料や将来の医療費の負担も減る。
よく眠れるようになるし、(たぶん)やせる。
長い距離を走れば、自分でも気になるくらいよく汗をかくので、身ぎれいにする習慣がつく(はず)。

ちなみに自分の例で言えば、1年前まで片道20kmという結構な距離を自転車で通勤していた。自転車通勤をやめた途端、体重は4㎏戻り、中性脂肪値も大幅に上昇している。
人によって体質が違うので一概には言えないが、それくらいの変化は容易に出る、ということだけは言っておこう。

理由②気持ちがアガる

ロスジェネ/氷河期世代に見られる特徴として多いのが、極端なまでの自責思考自己肯定感の低さと言われている。
そんな自己肯定感の低い人こそ、自転車を積極的に活用することで精神面でも健やかさを取り戻してほしい。

自転車は、脳からの幸せ物質によって、精神面にポジティブな効果がある。

ふだん自転車を使う人の中には、何気なく家から遠くまで走っていくうちに、変にテンションが上がってどこまで行っても止まらない、そんな感覚を経験したことがある人ってけっこういるんじゃないだろうか。

それは自転車でペダルをこぐ有酸素運動が、脳内の血中βベータ-エンドルフィンの働きによる快感誘発物質を出すためだ。
これによって、リラクゼーション効果だけでなく、幸福感やポジティブ思考をもたらし、注意力・判断力・集中力も向上する。
結果的に、認知症やうつ病の予防にも効果的になるのだ。

それだけではない。自転車、特に軽量高速な自転車なら、数十kmの距離を移動するなんてあっという間だ。走れるようになる距離が長くなればなるほど、達成感や自己肯定感を獲得できる。

「自分の足でこんなところまで来れた……」

そう感じることができればしめたもの。もうあなたは無力じゃない。
もちろん無制限ではないし、その時点での体力や健康状態によって限界はある。だけど、その枠は少しずつではあるが伸ばし続けることはできる。
そして、行動範囲が広がる。それは取りも直さず、自分で否定していた自分自身と、己の可能性を少しずつ認められるようになる。

理由③もう移動弱者なんかじゃない

昭和の価値観から逃れ切れていないロスジェネ/氷河期世代、特に男性にとっては、経済的理由によって自動車を所有できないことへのコンプレックスはいまだ残っていると思う。
もちろん、東京や大都市近郊に住んでいるとそんなことはないが、地方、特に町村部は公共交通機関がめちゃくちゃしょぼい。
電車は1時間に2本か3本あればいい方だ。
ならバスはどうかといえば、高齢化と過疎化のせいで、路線バスは全国各地で次々と廃線に。
これではクルマがないと身動きがとれない。必然的に田舎では皆、新車・中古車をこぞって購入し、毎月高い維持費とガソリン代を費やすことになる。

つまり今の日本では、多くの人が自家用車が無いと困ると思っている。
しかも田舎の価値観では誰もがクルマなぞ持っていて当然。おまけに古臭いマッチョな価値観に染まるオラオラな男ほど、ア〇ファードとか、ベ〇ファイアとか、ラ〇ドク〇ーザーのようなクルマで自分を誇示したがる。

独断と偏見を承知で言うと、今の40~50代男性にとっては、クルマの有無は経済格差の象徴であり、(有害な)男らしさの象徴でもあり、クルマを持っていないということは行動範囲が狭い移動弱者/交通弱者の証である、という意識は頭から拭いきれていないのではなかろうか。
(ただし、これらの意見は全て自分の憶測なので、地方や田舎に住んでいる人からの異論反論は受け付けます)

しかし、世界を見わたせば、もうそんな時代は終わろうとしていることを我々は理解したほうがいい。
オランダやデンマークなんかは言うに及ばず、アメリカやドイツみたいなクルマ社会の国ですら、自動車依存を減らさないと社会に幸せは無い、という認識ができつつある。

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環境の問題もそうだし、健康の問題もそう。交通事故の問題もあるし、自家用車はムダに場所を取る割に普段の移動距離と利用人数は少なく、非効率なことこの上ない。
そして誰もが歳を取る。2040年にはロスジェネ/氷河期世代がみな65歳に突入する時代に、クルマに頼って自転車に乗ってこなかった年寄りと、早くから自転車をフルに活用してきた年寄りとでは、どちらが交通弱者に陥りやすいかは火を見るよりも明らかじゃなかろうか。

世界中の持てるものが高級ブランド品や美食を目当てに集まる街は、グローバルな格差の闇を公共空間に噴出させる。自転車は、その場ではどうすることもできないこの現実をすり抜けて進むための乗り物でもあり、気候危機を加速させる強欲からの脱却のシンボルでもある

『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた: 人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』p.99

結論:自転車は自由の象徴

そして、しばしば言われるのが、「自転車は自由だ」ということ。
行く先を決めるのは自分と自分の脚。どこまで行こうがどこで止まろうが、どれくらいのスピードで走ろうが、すべては自分次第。
忌野清志郎が自転車を愛したのも必然だったと言える。

ロスジェネ/氷河期世代はアナキストでいこう!と考えている自分にとっては、この世代で悩む人たちを否定する、あらゆる勢力や社会通念から逃れ、自由であるためには、自転車に乗るのが一番だと思う。
別に何十万もするロードバイクなんか乗らなくていい。
ちょっと気の利いた5万くらいのクロスバイクやMTBがあれば十分楽しめるし、ママチャリは世界に冠たる最強の実用車だ。
大きな買い物に使いたければ、カーゴバイクという選択肢だってある。
(STREEKさん商品化はよ)

なんだか自転車業界の回し者のような感じになってしまった。
要は繰り返しになるけど「自由を得る第一歩は自転車から」だと思う。
正社員になれなかった、十分な給料を得ることができなかった、子どもを育て、家やクルマを持つことができなかった。そして少ない蓄えと老後の健康不安に怯え、これからも無力感に苛まれ続ける。
そんな生活を続けるくらいなら、積極的にサイクリストになって心身の健康を取り戻し、なんでもいいから自分の新しい生き方を自分でつくり上げる足掛かりにすればいい。

それがこれからのロスジェネ/氷河期世代(または同様の困難を抱える人たち)におすすめしたい選択肢のひとつだと思うのだけど、どうだろう。

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