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#3:他者を完全に理解することなどできない。だから今日も、理解しようと努力し続ける。
このnoteは、デザイナーのスズナ(@supico66)となつは(@nanakane078)が主導するもので、テクノロジー、デザイン、社会課題、ウェルビーイングなど、私たちが気になるテーマを扱い、そこで話したことの記録を相互に綴っていきます。
結論を急がず宙ぶらりんにしたまま、新しい問いを立て考えてゆく…そんな過程をお届けします。
こんにちは🌱 今回の執筆はスズナです。
前回のなつはのnoteでは、「一貫性バイアス」や「一貫性の原理」というキーワードが紹介され、相手に対して「ずっと同じ意見であるはずだ」と期待してしまうことへのもどかしさが書かれていました✍️
なつはのnoteでは、最後「思いやりを持って接する」という考えで締めくくられていましたね。
それに加えて、先日私が聞いていたpodcastでとても素敵な視点があったので共有します。
人に対して「諦める」と分断を生む。「分かったつもりになる」と偏見を生む。 両極端になると、精神的には落ち着くけど、人間同士の関係性を危険にしてしまう。
だからむしろ、「疑心暗鬼」は正しい姿勢なのではないか。理解しようとし続け、問い続けることが大切なのではないか。
これを聞いて、なつはの言った「思いやり」とは、まさに「相手を理解しようとし続ける姿勢」なのかもしれないと思ったんです💭
他者の変化や自分の知らない側面を面白がってみる
💭 あの子、この前はああ言ってたのに、今日は違うことを言っている…
💭 あの子のSNS、自分と話している時の様子と随分ギャップがあるな…
そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
一貫性がないことにモヤモヤしたり、どれが本当のあの子なんだろうと考え込んでしまったり。
一方でそんな人間の変化を、面白がることだってできるかもしれません。
💭 意見AとA’の間で、どんな変化があったのだろうか
💭 どんな気づきやインプット、感情の変化があったのだろうか
💭 あの子の違う側面が知れた!
今回は、そこに通づる「ある概念」を紹介したいなと思っています🌱
「本当の自分」など存在しない、という考え方
変化する自分、一貫性のない自分……本当の自分はどこに…?!
そんな問いに、ある文学者が1つの概念を提唱しています。
📖 分人
たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。(中略)
分人とは、対人関係ごとの様々な自分のことである。恋人との分人、両親との分人、職場での分人、趣味の仲間との分人、…それらは、必ずしも同じではない。 (中略)
個人を整数の1とするなら、分人は、分数だとひとまずはイメージしてもらいたい。私という人間は、対人関係ごとのいくつかの分人によって構成されている。そして、その人らしさ(個性)というものは、その複数の分人の構成比率によって決定される。分人の構成比率が変われば、当然、個性も変わる。個性とは、決して唯一不変のものではない。そして、他者の存在なしには、決して生じないものでもある。
このように、「唯一無二の本当の自分」「自分らしさ」のようなものは存在せず、すべての「分人」の総体が「自分」である、という考え方が「分人」という概念です。
※ どの単位を「分人」として区切るかは、学術領域によっても差があるようです。今回は、あくまで平野さんの著書を主に取り上げています。
これらの分人がお互いに相互作用したり、ときに一部が統合することによって、それぞれの「分人」は変化していくのかもしれません。
![](https://assets.st-note.com/img/1714196448035-J4UrJEs2Rc.jpg?width=800)
また、上記の文脈から少し逸れますが、この概念の画期的なポイントとして、以下のような点が挙げられていて、自分はこの考え方にとても可能性を感じます💭
ある「分人」が上手くいっていなかったときでも、別の「分人」が上手くいっていれば、その人が自己を保ち続けることができる。(分人同士でバランスを取っていくことが大切、ということ。)
より多様なコミュニティに所属すること(≒ 多様な自己を許容すること)への可能性を開くことができる。
「本当の自分」という考え方に縛られすぎる傾向にある人へ、この考え方が届けばいいなと願ってやみません。
あとがき
「分人」という概念を紹介してみましたが、まだまだこの概念は色々な研究が進んでいる最中だったり、学術領域によっても様々な解釈があるようです。
専門家ではない分際でこのような紹介をすることはどうなのだろうと2人で悩みましたが、まずはきっかけづくりということで紹介できたらと思います💭
本の紹介
今回紹介した平野さんの「分人」にまつわる本📚
ゴールデンウィークの読書にいかがでしょうか?🍵
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