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2024年5月の記事一覧
【短歌】「いらち」
イラつく校舎の音階にリビドーはシラのあたりで鼻をかむ
玉石混淆の石の方に投げられて隅田川の先には行かない
犠牲羊の燔祭 イサクを与えられたアブラハムの愛 残酷な愛
下の句から詠むことだってある君はいらちだ眼を赤く染め
【短歌】「生きるなら」
生きるなら喜んでいなさい 空しさはコヘレトに託すコヘレトに託される
命の数があまりに多いのに私は独り電車で隣人のスマホを覗く
渋谷を歩く 神は彼らも愛すのだと喧騒の中に猥談の混ざる
空しさを街に見出だす俺はもう若くないのだ 背広を作る
【短歌】「記憶の暴力」
ゆく春の夕時止まぬ苛みを許せ故郷の山につぶやく
駅舎には冷たい風が荒ぶとき帰路につく背広のまろき
友人の言葉を思い出す何気ない日常に咲く言葉の暴力
薄笑い 権力に媚びるの反対のアナーキズムもまた愚かしく見える