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現代長歌

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「現代長歌」
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2023年10月の記事一覧

ミドルバースの回想

 未来に載る作品は、基本的に3か月前の作品と思ってもらっていい。
 しかし、私は、修論などがあったからため込んだ
 ストックから吐き出していたから
 正確には、いつ頃の作品かは分からない(その気になればPDF化する時の日付を追って行けば分かるだろうが、それはほぼ無意味だろう)

 今月の「火のような雨」は、ミドルバースの思想の萌芽である。
 しかし、初期作品の当然だが、まだ思想が深まっていない。

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火のような雨

暗闇 ざわざわ「何が起こるのかな?」ざわざわ
明転 わぁー「眩しい。何も見えないよ」わぁー
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
司会 皆さん、みなあさん、なあさん、あさん、さん、ん
道化 拍手を下さい。この道化はきっと失敗するでしょう。さぁ拍手を!
獅子 「百獣の王」が飼われている、皮肉なもんだ――
火輪 火祭りの輪を抜けきたる青年は霊を吐きしか死顔をもてり
終末を知らない民――ドームの外

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ミドルバース

 私は長歌でライトバースを試みてきた。
 例えば、これ。

57ストリート|蓮沼明「長歌」歌人 (note.com)

 しかし、どうしても私は本歌取りをしたいタチらしい。
 そうすると意味が重層になる。

 ある長歌では、聖書からの引用を一行一行つけるという
 キリスト教徒以外にはとっつきにくい長歌も作ったりしている。
 それを仮にヘビィーバースと言えば、
 (ヘビィーバースを定義づけるならば、

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眠らない旋律

革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
 男 あの頃の僕らはいつも笑っていた
 女 ピアノに酔って革命はあしたに起こるとうそぶいた
 友 僕だけずっとびっこを引き克己を誓う――
 男 僕たちの青春は沈み、太陽は西から昇らない
 陽 僕たちの革命、さよなら。沈みゆく陽よあわれなれ
【歌謡】斜陽に濡れたティーカップ 赤に染まった絵の中に
    取り残してきた君の音は  液化した記憶

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