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『豊田章男』を読んで

簡潔ではあるが久々に読書レビューでも。
本日取り上げるのは、以下の書籍。

豊田章男は言わずと知れた世界的大企業トヨタの創業家に生まれ、そして現在社長を務めている。イチロー氏との対談や、オウンドメディア「トヨタイムズ」でも出ていたりと、大企業の社長としては割とメディアで目にすることが多い人物。

本書ではその豊田章男の半生や、リコール問題と米公聴会出席、東日本大震災など様々な難題にどのように向き合っていったか、そして世界的大企業トヨタを率いる上での彼の経営哲学をまとめている。

トヨタ側に立った、割と「良い恰好しい(※)」している内容ということを割り引いても、ドキュメンタリーとしても面白いしトヨタが何を大事にしているか、グローバル企業として何を目指していくかが分かるので非常に興味深い本。
(※)適度に人間臭さも織り交ぜられてはいるが、読む人が読むと「こんな理想の社長がいるのか」と思うくらいには凄い人だ、と思ってしまう感じ。部下の責任は社長が全部取るとか、現場を重視する姿勢とか。
(ひねくれている私としては)「少しは脚色入っているんだろうなぁ」、とか「実際はどうなんだろうなぁ」、とか思ってしまうが、それでも実績としては揺るぎないものが有るので、ぐうの音も出ない。


読む人によって響くポイントは様々あると思うが(例えば御曹司として生まれた半生に興味が沸いたり、トヨタが発展してきた歴史に興味が沸いたり。そういう面でも飽きない本ではあると思う)、私が特に気になったのは大企業を率いる上でのガバナンス、他の役員と社長との信頼関係。

創業家の御曹司が社長となるということで(それも就任当初は50代前半と当時の他の役員と比べてもかなり若い)様々なプレッシャーやよろしく思わない人もいたと推測できるが、「7人の侍」と呼ばれる章男社長と副社長6人が「血判状」で誓いを立てあったくだりを見て、(良い意味で)ベンチャー企業みたいなことをしているなぁと感傷に浸ってしまった。
(ちなみに7人の侍のくだりは本書第7章に記載)

一部上場の大企業、しかも成長余地はあるとはいえそれなりの成熟企業で、そのようなことが出来る経営層の熱意と覚悟。トヨタの強さの一つの象徴的なエピソードな気がしてならない。
私も(トヨタほどではないが)一部上場企業の一介のサラリーマンとして働いているが、我が社の上層部がこんなことする絵が全く思い浮かばない。これも章男社長の一つのカリスマが成せることなのだろうなぁ、としみじみ。

これ以外にも色々エピソードがあるので、トヨタに興味のある人、章男社長に興味のある人にはお勧めをしたい。

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