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教室と大人世代をつなぐ  Vol.16 「地元がつながっていない!」

いま考えるべきことはなにか

自治体にはその地域の社会課題が集まってきます。その同じ地域の高校の生徒たちは、探求学習の時間に地域の社会課題について解決策を考えている。そもそもなぜそれがストレートに自治体職員に伝わらないのでしょうか?自治体にとっては教育も社会課題の1つ。そして当然ながら、教育関連の部署の方が対応を考えています。いや、正確には教育関連の部署の方しか対応を考えていません。これが組織の壁ですが、このこと自体は官も民も同じ。むしろ自分が配属された部署を最優先に考えないほうがよろしくない。ここで問題にしたいのは、『同じ部署に所属する者だけの知恵や予算など自分の持ち駒の範囲内でしか発想しない』ことです。ここに大きな壁があります。部署に課せられた課題を解決するには、自治体内にあるすべての知恵、手法、ノウハウ、予算などを総動員しなければならないのに、組織ごとにブツブツとぶった切られた状態で仕事をしていることが問題なのです。

たとえば、サテライトオフィス

これまで私がお話ししてきたように、地域の社会課題の解決策を探求学習で考える生徒がいるなら、その解決策を地域の大人世代が知るべき、もっと興味を持つべきです。おそらく興味を持つ大人世代は大勢、いるはずなのに、いま高校でそんなことが行われていることさえ知らないのです。
自治体にはだいたい産業振興課という部署があります。その街の産業を活性化させるのが目的で、いまはサテライトオフィスの誘致やコワーキングスペースの整備なども担当しています。そういった施設を整備して都会の企業やテレワークをしている会社員を呼び込みたいのです。ただ、もはやこのような施設はどの街にもあります。域外から企業に来てほしいなら、何か魅力ある提案をしなければ、その街は選ばれません。
探求学習と域外の企業を結びつけ、高校生たちの考えにふれられる機会をつくれば、域外の企業にとってはその街の魅力になります。サテライトオフィスを考えている企業であればなおさら有利にはたらきます。そもそも都会に本社がある企業が地方にサテライトオフィスを持ちたいと考えるとき、「せっかくその街を選んだのだから、なにかしら街に貢献したい」と考えてやってくる企業がほとんどです。その方法は、その街の方を雇用することであったり、社員がボランティア活動に参加することであったり、さまざまですが、高校生たちの解決策にアドバイスをするといったことも、十分、社会貢献に値するでしょう。むしろアドバイスする側のほうが新たな気づきを得られるのではないでしょうか。企業のほうから「ありがとう」と言ってくれるかもしれません。

企業からも提案してもらいましょう

もし自治体の産業振興課と教育委員会が手をつないでくれたら、、。双方のやりたいことがうまくつながり、いま双方が持っている駒(資産、人材、ノウハウ、予算など)だけで解決できることを増やせるかもしれません。高校生たちと大人世代をつなぐにはツールが必要ですが、GIGAスクール構想を受けて学校向けのアプリを売り込みたいベンダーはいくつもあります。前回、お話ししたように、そういったところにどんな仕様でやれるか提案してもらえばいいのです。未来永劫というわけにはいきませんが、実証実験くらいなら無償で付き合ってくれるのではないでしょうか。
私はこれまでに10以上の自治体の方にこの話をしましたが、その意図さえ理解していただけたところはありませんでした。

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