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教室と大人世代をつなぐ  Vol.12 「教室と社会をつなげば、世界が変わる」

仕掛けは誰がつくる?

前回、このコラムで話したような仕掛けを簡単につくってくれるのは誰でしょうか?それはGIGAスクール用にアプリなどを開発している企業です。学校の授業だけでなく、先生や教育委員会の事情にも詳しいので、たとえば授業で生徒たちがつくった成果物をどう保存、管理しているかとか、それらを先生たちはどんなふうに使っているかなどにも通じています。実は名前は出せませんがある企業さんに聞いてみたところ、「それなら新たに開発する必要もなく、すぐにできますよ」とのことでした。さらに、このような活動を通じて教育委員会の方とお近づきになれるなら、お金はあまり出せないけれど、喜んでお手伝いしますとも言ってくれています。

企業側も大きなメリット

GIGAスクールアプリのサプライヤーだけでなく、一般企業にとっても、生徒たちが社会課題解決のために考えたアイデアは、実は喉から手が出るほど手に入れたいものです。生徒たちが考えたアイデアがそのまま新事業になるということはほとんどないですが、彼ら彼女らが社会のどんなことに対して不安や不満を感じ、どうすべきと考えているかを知ることで、自社の製品やサービスの改善、改良やプロモーションなどに活かすことができるからです。なにしろ生徒たちは『Z世代』。いまZ世代は3つに区分されるようになってきましたが、彼ら彼女らは2番目のZです。うまく持ちかけられれば、いちばんお金を出してくれるはず。
また、大学もメリットを享受できる側です。高校時代に社会課題の解決を考えてきた彼ら彼女らを、大学では本気で解決策をつくらせるように支援していく。その支援ができるのは高等教育機関ならではです。そういった学生は就職でも有利でしょう。企業と組んで産学連携体制を取る手もあります。また自ら起業を選ぶ学生も増えるのではないでしょうか。実は専門学校もこれを狙っていて、実際に動きも出始めています。大学や専門学校はお金を出してはくれないかもしれませんが、進学に有利となれば、高校側の態度を変容させる大きなきっかけになると考えています。

探求学習の成果の共有が世界を変える

このように「探求学習」という新たな科目を「窓」とし、教室と地域社会、全国そして全世界をつなげれば、新学習指導要領の最大の目的である「社会に開かれた教育課程」を実現することができるだけでなく、探求学習の成果の共有は世界を変える可能性があるのです。
高校で自分のいる街の社会課題の解決を考え、それを大学に入ってからさらに進化させる。そんな経験があれば、卒業後は地元に帰って来たいと思うようにもなるでしょう。人の流れを変え、地方創生にも一役買うことができます。
でも、そのためには、もう一人の主役に動いてもらわなければなりません。その主役もメリットを享受できる立場にいる方々です。気難しいというか、なかなか思い通りに動いてはくれませんが、それについて、新たなアプローチをしようとしている方もいます。
次回は、その話を中心にしたいと思います。


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