見出し画像

「遠くの災害」「過去の災害」から学ぶ

こんにちは🌞プログラム・マネージャーの五十嵐です🐧
今年の1月17日で、阪神・淡路大震災から28年になりました。
そして、今年は関東大震災からちょうど100年目となります。

1995年1月17日・いつもと同じ

東京出身の私は当時高校生で、寝ぼけながら学校に行く準備をするかたわら、朝のニュースで関西の方で大地震が発生したと聞きました。「何だか大変そうだな」ぐらいしか思わず、いつも通り学校に行き、授業を受けました。昼休みになって、学校の近所の定食屋のテレビで阪神高速が横倒しになっている映像を観て、初めて事の深刻さに気がついて、胸がザワザワしたのを覚えています。

大きな被害を受けたそごう神戸店
(https://www.asahi-net.or.jp/~LC1T-KYM/SMALL/haninbmp.htm)

その後しばらくの間はテレビのニュースや特番を気に掛けていましたが、特に何か行動を起こす事もなく、いつも通りの高校生活が続いていきました。今思えば、当時の私は、災害にあまり関心がなかったようです。テレビの向こう側で大変なことが起こっていると思いつつ、どこか自分の生活とは離れた遠い出来事のように感じていたのかもしれません。

人道支援に携わる者になって

それから15年後の2010年1月、私は中米ハイチの首都ポルトープランスで、大地震で崩壊した瓦礫ガレキの前で被災者を支援していました。その約1年後の2011年3月には東北の津波被災地で、さらにその約5年後の2016年4月には熊本で、高校生の時はテレビの映像でしか観なかったような崩壊した建物に囲まれ、被災した方々の生の声を聞きました。その間も人道支援を職業としてから、国内外の様々な災害の現場に行き、被災した人々の声を聞き、支援活動に従事してきました。

22万人以上が犠牲になったと言われる2010年ハイチ大地震©UN Photo/Marco Dormino

色々な災害現場に行って、被災した人々の話を聞くと「まさか、こんなことになるとは思わなかった」という話をよく耳にします。確かに直近の過去数十年は大きな地震が発生していなくても、何百年という単位で歴史を振り返ると、大きな地震の記録が残っている地域が、日本には多くあります。一方、近年の地球規模の気候変動の影響を受けて、予想をはるかに上回る速度で水害が発生する事例もあります。しかし、浸水予想地域のハザードマップはほとんどの自治体が持っており、事前の注意喚起を促す警戒や避難情報を出している事例も多くあります。つまり、あ程度は事前に災害を予想することができ、それに備えることも可能なのです。新たな災害現場に行き「まさか」という話を聞くと、その土地の過去の経験や他の地域の教訓が伝わっていないのかと考えてしまうことがあります。

東日本大震災から約1週間後の釜石市内(五十嵐撮影)

災害を自分事として考える

しかし、私が高校生の時を振り返ると、阪神・淡路大震災を自分事のように捉えることはとてもできておらず、そこから教訓を学ぼうという気持ちには、まったくなっていなかったと思います。今になって関西出身の知人・友人から体験談を聞き、人道支援という職業に就いて、やっとある程度「近くのこと」として考えることができるようになりました。日常生活の範囲外で起こった災害は、自分からできるだけ積極的・自発的に耳を傾けないと、なかなか共感が生まれず、自分事として気持ちに入ってきません。

「防災」を考える時に、インフラの整備や災害グッズの備蓄など、技術的・物理的な備えをイメージする方が多くいます。多くの自治体は、各種ハザードマップや避難所の地図やガイドラインなどを作成していますが、それらの内容をどれだけの住民が自分事として確認しているでしょうか。道具ツールがあっても、使い方がわからなければ実際の役には立ちません。災害は自分の日常生活ではなかなかイメージできないことだからこそ、過去の教訓や他の地域の経験を知ることが大切なのです。まずは自分の生活範囲を超えた範囲の災害にも関心を持つことが、「防災」を実践する第一歩になるのではないでしょうか。

(文:プログラム・マネージャー 五十嵐豪)

CWS Japanでは各種SNSで活動をタイムリーに発信しています📢

公式フェイスブック
公式インスタグラム
公式ツイッター


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?