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内水面の釣り(主に川釣り)の現況を見てみる

最初の記事で、内水面の釣りも、漁業も、地域にとっても、良い状況に出来るけど、それには法・制度変更必要、という話書きました。これ以降はそれぞれの項目に分けて記事を書いていきたいと思います。

2022年現在、川の釣りは高齢化が進み、釣り人が減っている、業界としては市場が縮小している、という話を多く耳にします。
一方で、コロナ以降3密回避の流れから、アウトドア人気がより上昇し、釣りもその恩恵に預かっており、小売店ベースでは2021年度は川釣りの道具が10~15%伸びたところも、という話もあり、コロナ以降で実際のところ川釣り全般としては持ち直しているところもあると見ています。
コロナ禍以降のデータはまだ出ていないですが、現況として私たち一般社団法人ClearWaterProjectが調べた情報より、内水面の釣りの現況を見て行きます。

内水面の釣りは、農林水産省が出している漁業センサスだと、鮎、マス類、こい・ふな、わかさぎ、雑魚、と別れています。これは主に漁業と遊漁=釣りの対象としての分類。

細かく見ると、マス類は渓流(アマゴ、イワナ、ヤマメ、ニジマス)、サクラマスやサツキマス、イトウなど。イワナもニッコウイワナとヤマトイワナとか、マス種類でアメマスやヒメマス、スチールヘッド等細かい種含めると色々。
後、内水面の漁業協同組合でよくある対象魚に、こい、うなぎ、後はオイカワやウグイ等が雑魚扱いで対象、という感じでいます。
ブラックバスは外来種なので上記には入っていませんが、混獲(ルアーでブラックバス以外にも釣れる可能性はある)や環境整備協力金(清掃活動や監視費用等)という形で遊漁券購入をお願いしている都道府県、漁協もあります。
ワカサギは湖の釣りなので、「川釣り」というと概念に入ってこないため、この後は「内水面の釣り」とします。

農林水産省が漁業センサスという5年毎の水産業関連調査のレポート出していますが、その中に内水面環境についても記載があります。以下は2018年版の遊漁券の日券と、年券の発行枚数をグラフ化したもの。

2018年内水面遊漁券日券発行枚数内訳
2018年内水面遊漁券年券発行枚数内訳

漁業センサスは5年毎に出しているので、直近3回分の遊漁券発行枚数を調べてグラフ化しました。

漁協数も減っていて、販売店も減っているため一概に遊漁者=釣り人が減っているとはこのデータだけでは言えないですが、現場感覚も合わせてだと皆さん十分釣り人も減っている感は感じているかと。 しかし、5年で15%近い減少の業界とか、普通に考えてなかなかオワコン感ありますね。

ちなみに、日本の5年毎人口推移はこんな感じ。人口減より、川釣り人口減の速度の方が明らかに速そう。

ただ、私は、人間の本能・DNAは100年程度ではほぼ変わっていない(1万年でもたぶん基本変わっていない)と思っていて、自然回帰本能、狩猟本能、のようなものがあると思うわけです(社団法人も、それがあると思ったからこそ立ち上げた)。アウトドアブームもコロナ前からすでに始まっていて、釣りはその一形態。冒頭でも記載の通り、3密回避の流れから釣りにも人が流れてきているようです。各内水面漁協の話を聞いても、渓流は増えている、と。(鮎は別)

しかし、全体としては地域の受け入れ態勢が出来ていない。(個々の頑張っている漁協、秘密のスポットは別)。
例えば、ある漁協では、ある河川で発眼卵放流を3年ほど続けて、釣り人があの川は釣れる、とうわさが広まって釣り人が増えたそうです。ただ、何も規制せず釣って持ち帰り可にしていたので、5年後には魚がいなくなった、と釣り人が来なくなり、その漁協でも結局釣り人は定着しなかったし発眼卵放流は失敗だった、と認識していました。

いくら自然産卵に近い形の発眼卵放流で魚を増やしても、増える以上に釣られて減ってしまえば魚がいなくなるのは当たり前です。ただ、こういった事例を見据えて改善して管理する人達=水産資源の管理主体、がいなければ釣り人が増えても、いなごの大群に荒らされた稲よろしく、釣れない川が出来上がり、釣れない経験を何度かした人達は難しい、ということで内水面の釣りに入らなくなってしまいます。

逆に言えば、そこがきちんとできる体制であれば、日本全国にある資源である川と魚は十分人が集まる資源に変わりえると考えています。
今の体制・制度のままだと、コロナ禍で増えた内水面の釣りが、早々に頭打ちになるのではないか、と思っています。(ワカサギは多分別。管理しやすく、放流が結果にも出やすいので)。

次回は、何故内水面の釣り人口が減ってきたのか、を記事にしていきたいと思います。

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