改・「60おっさんのタイからラオス・初めてのバックパッカー1人旅」 note版


〜屋台のさつま揚げ風とカットマンゴーとビールでラオスの宿探し
No.9

6月20日(水)、6日目

『そろそろ溜まった服も洗わないと・・・』

洗濯機を借りる。
30THBと書いてあるが40THBと言われる。
量が多いからかなと、黙って渡す。
その間、のんびり本でも読もうかと風通しの良い、
軒下のテーブル席で、朝ビール。

そのうち、私を気にしてやって来たお嬢さんと、
隣国のラオスの話になり、

「近いよ、いい経験だわ」
行き方、いい所よ云々と続く。
「明日、150THBでバスステーションまで送るよ!」
いつの間にかラオス行き、決定!
お願いすることにした。

勢いもあるが、
どこかで、折角だから慌ててバンコクへ戻るより、
未知への新体験、ラオスへの国境越えを経験してやるぞ!
という気力が生まれたんだろう。
そう決めると、
彼女に明日、ラオスで一泊か二泊したらココへ戻ってくるけど、
いいかいと相談。
ニッコリ、笑うお嬢ちゃん。

そうと決まったものの
ラオスのどの街に着くのか
全然、頭に入ってなかった私。

「そや、ラオスのどこに着くの?」
「パクセー」
マップを開き、
「ほら、ここ、パクセー!」
「フムフム・・・」

少しばかりの予備知識を仕入れ、
宿を取っておかなくちゃと、
iPhoneをなんとなくチェック!
国境越え、国が変わり、言葉も、貨幣も変わる・・・、
行き当たりバッタリの宿探し、やはり、心許ない・・・。

『あっ!洗濯物だ!!』
行って見ると、すでに干してある。

『?!・・・あの、ピンクのTバックまで・・・』

呟く。
『恥ずかしい、お父さん、自分のことは自分でやるのに』

すると、
近くにいたお父さん、身振り手振りで、
「干したよ、OK!」
とニターッと。

ピンクのTバックも一緒に堂々と並んでいる。
「・・・(恥ずかしい)」


その後、一家はランチかどうか知らないが
オシャレな服を着てベンツで出かけて行った。

僕は、もう一箇所のガーデンで太陽の下、
身体を灼きながら、しばし読書。
いい感じだ。最高!!

『やっぱりもう一泊してから、ラオスかな・・・?
もう、何もしたくない。
ただただ、のんびり、それだけしたい。
でも、動かなきゃ・・・』
と近場を散策。

昨日と違う方へ足を向ける。
しばらく行くと、
車がよく通る国道に出て
沿っていくと学校が見え、
その敷地の柵の脇に露天の屋台が幾つか並んでいる。


美味しそうな、さつま揚げ風のモノが目に入る。
オヤジに幾らか聞くと6THBとニッコリ。
『いいやん!』

その直後、横から即座に奥さん
「No!10THB!」と言い放つ。
「えっ、6THBじゃないの!」と再確認するように値切る。
「No!10THB!1カップ!」
10THB=38円、怒ることもないだろう。

日本人の私としては安いモノ。
でも、タイの人たちにとっては10か6は大違いで大事なことなんだろうな。
これが、文化の差、考え方の差で、
日本人からはガッポリ取るという公式が生まれるんだろうと、
一瞬、思いながらも同時に、オヤジの言った6THBと違う、
この嵌められた感のイヤな気分も抱いたまま、
『ま、いいか!』
と、10THBを渡す。

「何かつける?」
「No!要らない」
タイの人はやたらと何かつける。
つけるからマズくなる。と、僕は思うんだが。
そして、口に入れる。

「ウマイ!!!」
すべて忘れる。

『これは、イケる。あの、ワッフル以来だ。ウンウン、ウマイ』
と、食べながら、道なりに国道の先へ少し進む。


だだっ広い芝生に囲まれた家々が整然と並んでいる、
アメリカ軍基地的マイホームといった感じのエリアが現れ、
私は入っていった。

直線に伸びる道を、どんどん奥へ。

突き当たりは別の地域に出るのかなぁと思えども、
全然、そんな雰囲気がしてこない。

ズーッと芝生とアメリカンホーム。
たまに、
軍関係の立て看板と
ジープに乗って横切っていくそれらしき風体の人間。
先が見えない、
僕は不安になり後戻り。

そして、学校のところまでに戻り、
何気に校門の所に目をやると、
日本語学校の看板が掲げてあるではないか。

『見落としてたんだ・・・あるんだ、こんな所に』


校門から見える広い運動場の片隅に、
児童と用務員らしき男性が集ってワイワイしていたので、
その場へ割り込んで行った。

「Japan School Teacher」
と単語を並べる。
しばらく、その男性とやりとりして、
彼は思案。

「先生居るけど、居ない。居ないけど連絡取れる」
と、なにやら携帯で連絡取り合って、
電話番号の書かれた紙片をもらう。

だけど、
私のスマホは電話では使えないし、使わないようにしている。
使えたとしても、使い方知らないし、
多分、国際ローミング何たらかんたらで
お金もタップリ掛かるらしいと思う。

私は、礼を述べ、学校を後にする。
「サンキュー、バーイ!」

今に思えば、
宿に戻って、
電話を借りて、
連絡取っていたならば、
そして、その方が日本人、あるいは日本語のわかる方ならば、
また、別の展開があったんだろうなと少々、惜しまれる。

で、再び、学校脇のあの屋台へ。
気に入ったのである。

あの旨かったさつま揚げ。
だから、その横にあったチキン。
多分、旨いんだろう。
気になる。
行く。

言い放ったお母さんに、チキンの値段を聞く。
「1本、10THB」

『フムフム、そうか・・・』
と、ナルホドと感心してる時、
知らない、お姉ちゃんが割って入って来る。

「フルーツ、どう、買わない?」
と売り込む。


喉も渇き始めていたし、
誘惑に乗せられ、成されるまま、
向かい側に停まっていた軽トラ屋台に連れられて行く。

荷台の奥で兄ちゃんがニッコリ。
その前には個体の物やカットされたフルーツの数々が並んでいる。
カラフルの色で華やかだ。

一度は屋台のフルーツ食べたいと思っていたので丁度いい。
スイカやパイン、タイ独特のフルーツの中から、
マンゴー、一袋20THBを買う。

「ウマい、Good!」

チキンは、ひとまず置いといて、
左に折れる道があったので、なんとなく曲がって行く。
甘くて美味しくて水々しいマンゴーを
次から次へと口に頬張りながらプラプラと。

あっさり平らげ、
グーグルマップでチェックしていた気になるスーパーマーケットを目指す。

20分ほど探すが、見つからない。
今日もハードに動かず、早めに戻ろうと宿へ引き返す。

途中、
お菓子や雑貨がひっそり並んでいる、
簡素な小さな店の奥の冷蔵室に、チラリとビールが見えたので寄る。

留守番しているらしき面倒臭そうな風体の兄ちゃんがノソッとやって来た。

ビール、ARCHA(30THB)2缶と
シンハー(37THB)2缶を頼み、
ポテトチップ、1袋を渡す。
スローな動きの兄ちゃん。
奥からお姉さんが慌てて出てきて、電卓叩き、清算。

『心配だったんだろう・・・しっかりしろよ、兄ちゃん』
と、要らん心配しながら、
僕は微笑む。

『だって、シンハーは普通、40THBだぜ、それに、30THBのビールやん。
ウキウキ、お前はやっぱり貧乏性だな』ってな気分のまま、
吸い寄せられるように屋台に行く。
三度目だ。

『そう、そうです。あのチキンを2本、買うためです』
後悔先に立たず。

心穏やかで帰り、早めのシャワーを浴び、質素だが夕食もバッチリだ。

(ここで、1点。
シャワーの出る量がなんとも頼りない。ブヴァーと出なくて、
ヒョーッと出るだけ、弄ってもマシにならないので、仕方ないなぁと使う。
ここはタイ、暑い国だからいいんだけどね!
でも、夜は結構冷える。肌掛けは要るよね。)

あのチキン、
昨日、仕入れたパン、
ビール4缶を前に、
ラオスの宿探し。


「パクセーって?メコン川に沿った街。
おおっ!日本人の老人がいるジャパンのレストラン?!
料理もカツ丼、うどん、カレーライス・・・決まり、ここにしよう。
複数ベッド男女混合のドミだが、まぁいい、決めた!」

別の声が囁く、
『行き当たりバッタリ精神じゃなかったんかい!』

『私の心は弱い・・・情けない、でも、こうしないと、不安なんだ・・・
しかもさ、スマホで決めると料金も安いし、カードで支払える・・・』

別の声が、
『言い訳無用ちゅうの・・・きちんと泊まれる先が見えてるってことが、とっても安心なんだろう?』

そう、図星!!!・・・なんだ。


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